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77話 本選開始


 SSS全国大会アマチュア部門本選DAY1。

 覇権ゲームの一番大きな大会ということで、下手なゲームのプロ環境より注目が集まっているといっても過言ではない。


 司会には普段からテレビでSSS好きを公言している芸能人が呼ばれ、開会式の挨拶と解説はSNSでユーザーとの距離も近くフランクに対応してくれることで人気なSSSのゲーム調整班のリーダーが務める。

 規模の大きさに負けない豪華なゲストたちだ。




「さて開会式の挨拶も終わり、早速ですが本選のルールを説明していきましょうか!」


「アマチュア部門の本選にはこれまでの厳しい予選を勝ち上がってきた100チーム400人がここドーム会場に集っています」


「これだけのデバイスが並ぶ姿は壮観ですね」




「DAY1の最初はその100チームを4ブロックに分割、25チームごとにバトルロイヤルで戦います。SSSの基本的なルールですね。

 そしてバトルロイヤルルールですから戦う内に途中で脱落するチームが出てくると思います。

 その脱落したチーム数が4ブロック合計で25チーム溜まった時点で、その25チームで次のマッチを開始します」




「つまり25番目に脱落したチームは即次のマッチに、ってことになるんですか?」


「そうですね。その後また25チームが溜まったら次のマッチ……という要領です。タイミングが悪いとほとんど休憩もとれませんね」


「ひー、それはしんどそうだ」




「マッチ開始は10時。終了の18時までの8時間、とにかく戦い続けてもらいます」


「フルマラソンみたいですね。ゲームの上手さだけでなく、スタミナも必要そうだ」




「マッチごとにこれまでの予選と同様なキルと順位によって決められたポイントを獲得、全てのマッチで手に入れたポイントの合計でDAY2に進出できるか決まります」


「DAY2に進出できるのは何チームなんですか?」


「25チームですね。4分の1に絞られることになります」


「ごっそり削られますね」




「またDAY1を突破した順位に応じてDAY2の開始時にボーナスポイントが付きます。DAY2を有利に、ひいては優勝に近づくため、なるべく高い順位を取れるように選手の皆さんは頑張ってください」


「応援しています!」




 司会と解説によるルール説明が終わる。




「しかしどうしてこんなルールになったんだろうな」


 チームのスペースで僕はぼそっと呟く。

 これまで3戦ですぱっと決まった予選と比べて、8時間戦い続ける本選DAY1。言われたとおり長丁場集中を続けるスタミナが重要だ。


「上手なプレイはプロ部門の方で見ればいいからでしょ。観客がアマチュアに求めているのは熱量と泥臭さよ。だからこんなルールになってんじゃない?」

「なるほど」


 アカネがさらっと出した返答には頷けるところがあった。




 もちろんルールは事前に分かっていたため、今日のために戦い続ける特訓はしている。

 しかし事前に想定出来なかった部分を既に感じ取っていた。


 それはこの会場の雰囲気だ。


 昨日、準備の段階ではがらんとしていたドーム会場だが、今日は一転観客が押し寄せて満員となっている。

 その大勢の注目を肌で感じるというのは僕にとって初めての経験だった。


 ゲーム配信やスター杯、予選を経て注目を向けられるのには慣れてきた……って思ってたけど、それはネット上、オンラインでの注目。

 オフラインで、現実に注目を集められるというのがここまでのものとは思っていなかった。視線が物理的な威力を持って押し潰さんと迫っているかのようだ。


 そのような外患に加えて、内憂もあった。

 本選という緊張やプレッシャーが僕の内側から蝕む。


 足下がふらつく、妙な浮遊感を覚える、自分の身体が自分の物ではないかのように感じられてくる。






「みんな楽しんでいこうね!」


 それでも――悪いことばかりじゃない。


 仲間が触れ合えるくらい近くにいる。


 通話アプリやWEBカメラ越しではこの安心感は得られなかっただろう。




「リリィは緊張とかしてないわけ?」

「もちろんしてるよ!」


「そう見えないですが……?」

「でもやっぱり大学受験とか会社のお偉いさん相手にプレゼンした時とかの方が緊張したなーと思って」


「経験の差、ですな」

「それもあるけど、一番はみんなと一緒だからかな! 受験とかプレゼンのときは一人だったけど、今日はみんながいるし!」


 リリィさんが自分の前で拳を握りしめて力を入れるジェスチャーをする姿を見て。




「リリィさんらしいですね」


 僕は苦笑していた。


「……本当ね」

「らしい、ですな」


 僕に釣られるように苦笑するアカネとジイクさん。


「ちょっとー! どういうことよー!」


 リリィさんも言葉こそ怒っているがその表情は柔らかい。




「さて、時間も近いですし席に着きましょうか」


 みんなを促しながら僕はすっかりいつも通りのコンディションに戻っていることを感じていた。


 よし、これなら戦えそうだ。










「さて、選手たちも準備万端といった様子だ! それでは参りましょう! SSS全国大会、アマチュア部門! 本選DAY1開始だぁぁぁっ!!!!」




 時刻はぴったり10時。

 司会の宣言と共に4ブロックともマッチが始まる。


 激戦の開始だ。


そういえば前回書き忘れましたが、1月1日でこの小説も一周年となりました!

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