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70話 第三予選、2マッチ目

前回投下で総合評価1000pt超えました!

4桁という一つ節目を初めて迎えられて嬉しく思います。

ptを入れてくださった方、読んでくださる方本当にありがとうございます。


第三予選編もここから盛り上げていくので付き合ってもらえると幸いです。


 SSS全国大会、アマチュア部門。

 第三予選、2マッチ目。


 おおよそ同じ戦場に立つ敵全てが僕たちのチームを対策しているという厳しい状況。


 それを分かってなお僕たちは初動、いつも通りマップ南西の閑静な住宅街に降りた。






 1マッチ目と2マッチ目の合間に行った作戦会議について思い返す。


『初動はこれまで通りで行きます』

『え、でも練習配信見られて私たちがどこに降りるのかはバレているんじゃないの?』


『ええ。ですが1マッチ目降下場所を被せてくる部隊はいませんでした。対策しても僕たちと最初に戦うのは避けたいというのが敵たちの本音でしょう』

『そうね、初動は運の世界よ。対策すればどうにかなるというものじゃないわね』


『十分に漁らせてくれるならそれを逃す必要もありません』

『そうですな、しかし分かっているかもしれませんが弊害が一つ。降下場所が分かればその後の導線を予想しやすいということです。先ほどボートの降り場に待ち伏せされていたように』


『ええ、ですからそこからは変化させていきます』






 漁りは順調、4人それぞれ集めた物資の交換も終わり、移動を開始する。

 今回示された安全地帯はマップ南東方面。


「ああもう、どうして南西方面にならないのよ」


 アカネがぼやく。

 南西方面、つまり僕らが今いる位置が安全地帯だったら移動する必要もなく、敵を待ちかまえているだけで良かった。そうなれば対策されていようがこちらの有利はそうそう変わらず楽に戦えただろう。


「さっきよりはマシですが移動は必要です。ルートは……中央寄りを進みましょうか」


 いつもなら南寄り、マップ外周を沿うように移動して接敵を極力防ぐルートを通るのだが、読まれていると考えて逆に中央寄りを選択する。

 とはいえ単純にマップ中央には敵が多いはずだ。注意しながら進まないと。






 SSSには多くのキャラがいてそれぞれに違ったスキルを使うことが出来る。

 カジュアルマッチなら多くのキャラが戦場に溢れるのだが今は大会。

 勝つことを目的に遊びが排除された結果、俗に言う強キャラである数体に使用率が集中することになる。

 酷いときは敵四人と味方四人が全く同じキャラだった、ということもあり得る。


 僕たちのチームも次の安全地帯の分かるジイクさんの祈祷師、一定時間無敵になれる近接最強スキルを持つアカネの巫女、周囲の敵の位置が分かるリリィさんの鳥使いは強キャラの部類だ。

 僕が使う罠使いだけが世間からは弱キャラと判定されている。


 勝つために違うキャラを使うべきなのか、と思ったことは数知れずあるが、既に僕の立ち回りは罠設置までを含めて確立されているため、変更は効かずこの場でも使用している。



 そもそも一般的に強キャラはどんな場面でも役立つスキルであるのに対して、弱キャラは単純に性能が悪いこともあるが、活躍するのが限定的な状況に限るものの強キャラも食える性能であるなどの場合もあり、罠使いは後者の部類だと思うが………………。



 それはさておき、大事なのはこの大会で罠使いを使っているのが僕だけだということだ。

 つまり遠くから罠使いの姿を見られただけで、そこにいるのがチーム『APG』だということがバレてしまう。

 普通キルログでも絡まない限りチームが分からない中、これは大きなディスアドバンテージだ。




 そういうわけで細心の注意を払って進んだ結果、どうにかマップ中央付近、ギリギリ安全地帯にも入っている建物一つを抑えることが出来た。

 さらに次の収縮を見越したらこんな場所にいるわけにも行かないのだが、対策されている中、安全地帯中心ムーブを取るのは難しいと判断した。

 収縮に合わせて安全地帯の端をコソコソと移動することで目立たないようにする。

 あまり強い動きじゃないが、だからこそ練習配信でもあまり取ったことのないムーブ。これでしばらくはやり過ごせるだろう。




 と、考える僕の思惑通り、収縮の2回は生き抜くことが出来た。

 戦場全体ではあちこちで小競り合いが起きたようで、既に残り部隊は17部隊。

 この調子で上位に入り一度や二度の戦闘を経てキルポイントも稼げれば、どうにか優勝争いにも絡むことが出来るはず。


 しかし好事魔多し、そう簡単に上手くは行かない。




「前方より物音複数! 敵部隊かと思われます!」

「あ、収縮も迫ってるのに!?」

「戦うしかないわよ!」


「…………ええ、そうですね。戦闘に入ります!」


 収縮に合わせて移動していたところ、敵の待ち伏せを発見。

 接敵を避けようにもすぐ背後まで安全地帯は迫っており迂回する余裕はない。ここまで段階が進むと範囲外で食らうダメージもかなり大きい。

 そのため前に出て戦うしかないが……こんな安全地帯の端にどうして敵が……。


「偶然の可能性もありますが……おそらく導線を読まれたのでしょうな」

「でも練習とは違うルートを……」

「それでも南西に降りたことはバレています。音からして南方面で小競り合いがあったようですが、そのキルログに『APG』は絡まなかった。ならばもう一つの中央ルートを通る……のだと予想されたのかもしれません」


 ジイクさんのあげた可能性は考えられるものだ。対策されていることでここまで動きが読まれるとは……。


「そんな予想はあとあと! マモル! どうやって攻めるの!」

「……ああ! ゆっくりする余裕もない! 対策の件もあるし、一点突破から乱戦に持ち込む! 乱戦なら地力が出るはずだ! ジイクさんは援護に徹してください!」

「了解!」


 ゆっくり対峙して隙を見つけたところで仕掛けるのが好みだが、そのいつも通りからは外した選択を取る。

 アカネを先頭に僕とリリィさんが続き敵陣に突っ込む。アカネが暴れる中、僕だっていつまでも足手まといでいられない。強化した戦闘力をフル活用して僕も何とか敵一人と相ダウンに持ち込む。

 結果、何とか敵部隊4人を殲滅。


 だが。


「漁夫部隊来ます!」


 戦闘音を聞きつけてやってくる更なる敵部隊。

 安全地帯の端のため逃げる場所もなく、さらにキルログから僕がダウンしたことも分かっている。絶好の仕掛けチャンス、こちらの体勢を整えられる前にと敵は最速で向かってくるだろう。


「マモル君、起こすね!」


 敵部隊が来るまでおそらく数秒、ダウンした僕の応急処置をしようとリリィさんが駆け寄ろうとする中。




「………………」


 僕は思考を巡らせていた。


 必要なのはここをどうやって凌ぐか――ではない。


 優先順位を間違っては行けない。


 僕らの目標は優勝して大会の本選に進むこと。


 つまりは順位とキルを総合したポイントで1位を取ることだ。


 ここから一番ポイントを稼ぐために……部隊の現状と戦況全てを総合した情報を頭の中に走らせて打ち出された方法は――。




「リリィさん、来ないでください!」

「……え?」

「僕は起こさないでいいです! 一人でここから東のボート乗り場に走ってください!!」



「そ、それって……」



「……つまりアカネと爺はその逃走の手助けをすればいいのね」

「なるほど、それが一番良さそうですな。承知しました」



「な、何言ってるの、みんな……? 私一人なんて、そんな……」



「時間がありません! 走ってください! リリィさん!!」



「っ……! 分かった!!」



 リリィさんは困惑した様子だったが、オーダーである僕の命令に突き動かされるように駆け出す。



「……それでいいんです」



 それと入れ替わるように敵部隊が僕らの元に到着。

 ダウンしたままの僕は這いつくばって移動することしか出来ず、隅で大人しくしていたが、当然見逃されるはずもなく銃弾を撃ち込まれて確殺された。





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