65話 第三予選組み合わせ
第二予選明けて月曜日。
今日は第三予選の組み合わせが発表される日だった。
「それにしても第二予選よく勝てたよなあ……」
マモルこと僕は改めて振り返って思う。
第一マッチも第二マッチもパッとしない結果に終わって後が無くなったところに、チームを二分する賭けでどうにか勝ちをもぎ取った。
正直なところ人数不足から即負けもあり得ただろう。勝てたのは運が良かったからに他なら無い。
次の第三予選、勝てば本選進出となる最終予選は出来れば堅実に行きたいところだ。
「アカネにとっては大満足よ、配信にもたくさん人が集まって盛り上がったし」
ご満悦な様子のアカネ。
古今東西、劣勢からの大逆転はテンションの上がるものだ。ぶっつけ本番の奇策によるいつもにはない絵面も加えて、第二予選は配信映えしていたと言えるだろう。
「視聴者数すごかったよねー。あ、視聴者が上げてたアカネちゃんのお母さんとの電話のクリップがバズってましたけど、あれからどうなったんですか?」
「ふぉっふぉっ、それなら私が対処しておきましたよ」
リリィさんの疑問にジイクさんが答える。
アカネが親に捨てられてジイクさんに引き取られるまでの詳しい経緯を聞いたことはない。
本当の親が現れてアカネを本気で取り戻そうと思われたら何やらかんやら問題がありそうだけど…………まあジイクさんが対処したというなら大丈夫なのだろう。
ジイクさんのサブch、お悩み相談の方を見るといつも色々な悩みに答えているからなー。本当すごい人だ。昔は凄腕の傭兵だったっというアカネの話も、もしかしたら本当で……。
「そういえばバアサーカーさんとは予選の後、連絡取ったりしたんですか?」
「ええ。対処に力を貸してもらうついでに勝利したことを煽りに行ったら『タイマンじゃ負けてない!』と言われて、訓練場で1対1地獄の50先に付き合わされましたよ……はぁ、やれやれ」
「それは……煽った方が悪いのでは……?」
ジイクさんもバアサーカーさん相手だと行動が少し子供っぽい。
「あーでも僕もキラー選手からDMが届きましたね。何でも『次戦うときは、拙者、完全な狩人になってそなたを討つ』って」
「へえ、じゃあ戦うときは言ってよね。コラボ動画として上げるから」
人気の出そうな企画に食いつくアカネ。
「ま、それはともかく。そろそろ時間ね、今日集まった目的の方に移りましょう」
「っと、ページも更新されたみたいだな」
アカネに言われて僕はSSS全国大会、公式ホームページをリロードすると、アマチュア部門、第三予選の組み合わせの項目が追加されていた。
僕たち四人はしばらく無言で読みふける。
一回予選を経るごとに25チームから1チームに絞られる。二回の予選で既に125分の1となっている計算だがそれでもまだまだたくさんのチームが残っている。覇権ゲームの人口を思い知るところだ。
「『GD』は別ブロックみたいね……配信盛り上がりそうだけど、流石に予選で当たらなくて良かったかしら」
以前にスター杯で戦ったアマチュア最強と名高い『ゴールデンドラゴン』も当然第三予選まで駒を進めている。僕らの配置された58ブロックにいないのでどうにか予選で当たることは回避出来たようだ。
強い敵と当たればそれこそ第二予選のように盛り上がるかもしれないが、僕としては勘弁だ。出来ることなら強いチームと当たらず余裕綽々で本選進出を決めたいところで――。
「あれ、もしかしてこれ……有名なチームは存在しなくないか?」
58ブロックのチームリストをもう何度も繰り返し眺めるが、見覚えのある名前がない。
オーダーとして、大会を勝ち進むため、アマチュア界隈の情報収集は常日頃からしている。それなのに知っている名前が無い。
「そうですな……少なくともアマチュア大会上位常連、といったようなチームはいないように思われます」
「有象無象ね。これならアカネたち楽勝で勝てるんじゃない?」
ジイクさんとアカネも同じように思ったようだ。
「といってもみんな第一予選、第二予選は勝ち進んできたんだから普通に実力はあると思うけど」
「……ああ、そうだな。油断はしないように行くぞ」
リリィさんの懸念に僕はチームの気を引き締めるように言う。
それでも内心、こう思うのは避けられなかった。
これなら……勝ったんじゃね? と。
結論から言おう。
実際に第三予選は僕らより有名なチームは存在しなかった。
こういう展開にありがちな落とし穴、無名だが強い、いわゆるダークホースも存在しなかった。
そう、つまり、僕らチーム『APG』にとって第三予選は――。
これまでで一番困難な戦いになるのである。




