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54話 第二予選、開始


 SSS全国大会第二予選、開始一時間前。


 マモルこと僕たちは本番前の最終調整にチームで訓練場に潜っているところだった。


 問題なく勝ち上がった第一予選と違って、今回はステージや敵の力量からして苦戦を強いられると予想出来ていた。

 突破口となるのはジイクさんとアカネ、二人にかかっているのだが……。




「二人揃ってどうしましたか? 調子が悪いですね」


 その頼りとなる二人の様子が明らかにおかしかった。


 SSSの訓練場は色々とCPUのキャラに設定をして訓練出来るのだが、ジイクさんは狙撃手CPUとの勝負にさっきから連敗、アカネは弱めの設定にしたCPUキャラに囲まれたところから抜け出すのに失敗続きである。

 いつもだったらこれくらいの訓練は軽くクリアするだけに、本番前で不調なのが分かるところだ。




「申し訳ありませぬ」

「爺と一緒にしないでよ! ……ふんっ、もう一回やるわ!!」


 平謝りするジイクさん。僕が『二人揃って』と言ったことに過剰に反応するアカネ。


「…………」


 別にただまとめて話しかけただけなのに、アカネのこの反応ということは……ジイクさんはともかく、アカネの不調はジイクさんにある……のか?






『二人ともどうしたんだろうね?』


 どうしたものか、と頭を抱えていると、リリィさんからテキストメッセージが届いた。VCボイスチャットではなくテキストなのは、アカネとジイクさんに聞かれないようにやりとりするためだろう。


『分かりませんが……本番前にこれはマズいですね』


『うん、だからマモル君はアカネちゃんに話を聞いて。私はジイクさんに話を聞くから』


『了解です』


 役割分担して不調の原因を探ることになった。




『アカネ。今日はどうしたんだ?』


 僕は早速アカネにテキストメッセージを飛ばす。

 アカネは訓練を続けながらも、その合間に返信をしてきた。


『何も無いわよ。ちょっと調子が悪いだけ』


 その調子が悪い理由を知りたい、可能ならば取り除きたいわけで……僕は踏み込んだことを聞くことにした。




『ジイクさんと何かあったのか?』


『別に。アカネは悪くないもん、あっちが悪いんだもん』


『……そうか。調子が悪いところにすまないが、今日はおまえが鍵なんだ。頼りにしていくからな』


『うん、大丈夫よ』


 大方想像が付いたので、激励の言葉をかけてやりとりを終える。




『リリィさん、そちらの首尾はどうですか?』


『こっちもOKだよ』


『そうですか、どうやらアカネの不調はジイクさんに原因があるようなんですが……ジイクさんは何て言ってますか?』


『それが何も教えてくれなくて……どんな質問をしても煙に巻かれて』


『……そうですか。となるとジイクさんに何かがあった。それを教えてくれないからアカネがむくれた、って流れですかね』


『うん……でも何があったんだろう?』


『アカネはともかく、ジイクさんは大人です。そしてこの大会で優勝するために今まで頑張ってきた。何かがあって自分とアカネが不調になっているのにそれでも話せない。

 となるとよっぽど重大なことが起きたんだと思います』


『そうだね。あそこまで頑ななジイクさん初めて見たもの』


『……僕たちにどうにかすることは難しそうですね。本番ももうすぐですし、二人を信じるしかないですか』


『…………』


『リリィさん?』


『え、あ、そうだね!』






============






<戦場お祭り隊 VCボイスチャットルーム>




「あんたたち、準備はいいね!!」


「「「うっす、姐さん!!」」」


 バアサーカーの掛け声に、柄の悪い男子高校生3人の声が返ってくる。




 このチームの結成経緯は特殊で、死体撃ちや煽りなどのノーマナー行為をよく行っていた3人が、ある日野良マッチで出会ったバアサーカーに3対1なのにボコボコにされた。

 マッチ後、バアサーカーがメッセージを送り叱りつけると、3人は反省。その強さと自分たちを変えてくれた恩から慕うようになり、今回大会にチームで参加したという、ヤンキー漫画のようなドラマが裏にある。




「第一予選は楽勝だったけど、第二予選は苦戦が予想される! あんたたちもちったぁ働くんだよ!」


「「「押認!!」」」




「さぁてジイク……久しぶりに遊ぼうじゃないか」






===========






<闇夜のウルフ VCボイスチャット





「ハッハー、血沸き肉踊る闘争の刻。ようやく幕が開けるか」


「くっ、逸るな、鎮まれ! 血を求めて我が右腕が疼くわ……!」


「強い者が勝つ、ただそれだけのこと」


「まだかな、まだかな! もう待ちきれないよ!」




 配信などをしているわけでなく、チームメンバーしかいないのにこのテンション。

 色モノ集団のように思えるが、そのリーダー『キラー』選手の狙撃能力は本物だ。




「者共、蹂躙しにいくぞ……!」


「ふん、いいだろう」


「御意に!!」


「りょうかーい!!」






=========






<大会公式配信 331ブロック>


 SSS全国大会、第二予選。


 未だにブロック数が膨大に存在するため、全てに実況と解説を付けることは叶わない。


 そのため注目のブロックだけが解説・配信が付けられるのだが、『APG』が属する331ブロックはその対象となっていた。




「さあて。まもなく始まります、第二予選、331ブロック!! 注目チームは名だたる有名チームが存在した第一予選を勝ち抜いたチーム『APG』でしょうか!!」


「そうですねー、実際実力も頭一つ抜けたところがあると思います」


「おおっと解説からお墨付きもいただいた!」




「とはいえそれに匹敵しそうなチームも存在します。

 『BFT』――戦場お祭り隊のバアサーカー選手。

 『WOD』――闇夜のウルフのキラー選手。

 この二人の選手に注目ですね。またマップもSSS屈指の理不尽マップ『工場』が選ばれているので混沌とした試合になると予想されますね」




「『工場』! 非公式ではありますがSSSで一番嫌いなマップ投票で第二位に入ったこともあるマップですね」


「個人的には私も苦手としているマップですね」




「っと、さてさて。そうしている内に各チームのキャラ選択が終了! 飛行船がマップの横断を始めた!」


「始まりますか、選手皆さん、自分の実力を発揮できるように願いたいところです」




「ええ、そうですね! さて各選手飛行船から降下していく!! 第一マッチ開始だぁっ!!」





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