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50話 SSS全国大会 開会式

『SSS全国大会』編、開始!


 合宿から一週間が経った週末。


 合宿の後半はほとんど遊んでしまったリカバリーとして、その後の平日はチームでの練習を控えめに、それぞれ個人に課された練習をする時間を多めに取った。


 その結果、マモル君、ジイクさん、アカネちゃんの三人とも成長が見られる中で、変わりが無いのがリリィこと私である。




『まあリリィさんのは元々難しい目標ですから』


 とは言ってくれたが、みんなが前へと進んでいる中、一人取り残されている感がすごい。




「…………」


 マモル君に言わせれば『技能』とはその人の強み。私のSSSにおける強みはというと……。


「強いチームメンバーに恵まれたってことくらいしか思い付かないんだよねー……」


 戦況を創造するオーダー、敵を破壊する前衛、どんな情報も見逃さないスナイパー、そこに連なる私という一般人。

 本当どのような奇跡が起きれば、私みたいな凡人がこんなチームに所属することが出来るというのだろうか。


「こんな強みが『技能』に繋がるわけがないってのは私でも分かるけど……うーん、でも他に私の強みって言われてもなあ……」




 嘆きながらもパソコンを操作してSSSのプロゲーマーの凄技がまとめられた動画を閲覧する。

 ジイクさんに言われた『技能を知らなければ技能を習得することが出来ない』を実践しているのだが、見れば見るだけ自信が無くなってくる気がする。




 技能『中間支配』


 アサルトライフルの反動制御リコイルが完璧で、中距離での撃ち合いにおいて絶対的な力を持つプロプレイヤー『グラン』選手の技能。

 チートによるオートエイムかと思ってしまうほどに、敵にぴったりと吸い付く照準は見ていて美しさすら感じる。




 技能『格闘王』


 キャラ『ロボット』のスキル『ロボットアーム』の効果は格闘が1メートルほど伸びるというもの。

『たった1メートル伸びたくらいで銃に勝てるわけ無いだろ』とネタ扱いされていたキャラを使いプロで活躍しているのが『マーズ』選手。

 巧みな体裁きと格闘のノックバックが上手く噛み合うと、至近距離で乱射された敵の銃弾を一発も食らわずに格闘だけで倒すこともある。




 技能『トラップマスター』


 キャラ『罠師』の『罠設置』をマモル君以上に巧みに使い、レベルの高いプロの世界でも罠にひっかかる敵が続出する腕前を持った『プルート』選手。




 その他にも様々な技能による短編動画集を見ていく。

 なるほどこんな技術があるのか、とはなるが、だからといって私の技能に繋がるかというと……。




「ああもう……こんなことやっていて強くなれるのかな…………って、やばっ!?」


 頭を抱えて突っ伏しようとしたそのとき、視界の隅に捉えた現在時刻を見て、反発して起きあがる。

 今日はチームで集合する約束をしており、その時間が近いことに気付いた私は慌ててVCボイスチャットアプリを立ち上げてルームに入るのだった。






「こんにちはっ!! ギリギリセーフ!!」


 自分でセーフと言いながら挨拶をかましていく。


「こんにちはー。まあセーフですけど……いつもなら早いのに珍しいですね」


 ルームには既にメンバーの三人が集まっている。マモル君が挨拶を返してくれる。


「こんにちは、でございます」

「ああもう、やっと来たわね! 番組始まるから配信も始めるわよ!!」


 マイペースなジイクさんに対して、何やら焦った様子のアカネちゃん。


 その言葉通り『アカネのSSS爆勝ch』の特別配信、『SSS全国大会開会式を一緒に見る回』が始まるのだった。






「アカネよ!」


 開口一番、視聴者に向けて挨拶を……挨拶でいいのだろうか? とにかく放り投げるアカネ。

 心配は杞憂なようで訓練された視聴者は特に気にせず挨拶やありがとうございますとお礼のコメントを残していく。


「休日の昼、値千金な一時にこのチャンネルを閲覧していただきありがとうございます。親衛隊の一人、ジイクフリートですぞ」

「リリィでーす! こんにちはー!」

「……マモルです」


 自分のサブチャンネルも持っているジイクさんは流暢な挨拶を、とりあえず元気に行けば失敗は無いと学んだ私、未だに慣れていないのか一言だけ発するマモル君。

 最初こそ配信となると緊張していたけど、チームで活動していく中でアカネちゃんの配信に出た回数もかなり増えて、これくらいは普通にこなせるようになった。




「概要欄に書いたとおり、今日はみんなでSSS全国大会の開会式を見ていくんだけど……うん、番組始まってるわね」


 挨拶を終えて本題へと入っていく。


 私たちも目標としているSSS全国大会が来週末から開催される。

 その詳細や諸々の情報を発信する公式番組が、開会式としてネットで今から生配信されるわけだ。


 MCとゲストによる開幕の挨拶の後、SSSのゲームプロデューサーからのメッセージが流される。

 覇権ゲームと言われているSSSの開発の偉い人も顔を出すくらい大きな公式大会。注目度も凄まじく、開会式の閲覧者数は動画プラットフォーム全体での1位を叩き出している。


 メッセージが終わった後は大会の詳細説明に入る。

 例年通りプロとアマチュアの2部門に分かれ、一ヶ月ほどの期間に渡って戦うことになるようだ。

 プロ部門は主要なチームのほとんどが参加してリーグ戦を行う。毎年色んなドラマが生まれており、今から観戦するのが楽しみだったりする。




 対してアマチュア部門は予選と本選からなるトーナメント戦だ。

 予選はオンラインでSSS基本の25チーム100人によるバトルロイヤル形式のルールで行われる。

 3マッチ行って、キル数と順位にそれぞれ割り振られたポイントの合計を競う。


 スター杯のときと同じルールだが、勝ち進めるチームはその内の1位だけとかなり狭い門となっている。

 プロと違って参加チーム数が莫大な数となっているため、容赦なくふるいにかけて落とされるようだ。


 さらに予選は第一予選、第二予選、第三予選と3回あり、それを全部勝ち抜いてようやくオフラインで行われる本選に進むことが出来る。




「えっと25分の1が3回だから……」


「15625の内の1チームが本選に進める計算ですな」


「うわっ、すごい数ね……まあ優勝目指してるわけだし、アカネたちは余裕で勝ち進むつもりだけど」


 運ゲーだったらものすごい確率だけど、強ければ、勝てさえすれば残れるわけで……いやそれでもアカネちゃんのメンタルすごいなあ……。




 競技者向けの情報はそこで終わり、その後は大会を盛り上げる特別ゲストの話だったり、ゲームの最新情報などといった観戦者向けの情報が流されて、開会式は終わりを迎える。




「さて、と。まあ大体知りたいことは知れたかしらね。最後に大事なアカネたちの対戦相手の情報について見ていこうかしら」


 アカネちゃんの配信画面にSSS全国大会、公式ホームページが表示される。

 開会式を終えたことでアマチュア部門参加者向けのページが更新されて、自分のブロックに参加するチーム、つまりは対戦相手を見ることが出来るようになった。




「アカネたちは629ブロックだから……っと」


 参加者数が膨大なだけに、ブロックの数字を打ち込んで呼び出す形となっている。そうして表示されたチーム名を見ていく内に。




「これ……ヤバくない?」


 アカネちゃんはポツリとこぼした。



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