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40話 スター杯本選 真の楽しさ


 スター杯本選、2マッチ目。

 マモルこと僕らチーム『APG』は4キルの18位で終わった。


 キルポイントを4取っているとはいえ、順位ポイントは0、かなり低いポイントになった。




「…………」


 違う方法を取るべきだっただろうか……?

 2マッチ目は安全地帯がマップ北東方面で、南に降りた僕らには遠く、その時点で不利だった。

 ポジション取りが重要なスポット『巨大樹』の付近に後から割り込むことは難しいと判断して、安全地帯の端でキルを重ねることでどうにかポイントを稼ぐことを選択。

 狙いがハマって1部隊を壊滅させたのはいいが、その後『GD』に捕まり全滅させられた。


 襲ってきたのが『GD』でなければ、逃げたり返り討ちに出来たかもしれない。

 しかしアマチュア王者に隙は無く、時間を削られて範囲収縮も近いとなれば正面勝負に挑むしかなかった。

 開幕こそ手榴弾で一人削ったものの、その後は慣れないファイトに焦って上手くエイムも合わせられず、僕は完全に足手まといだった。




「……」

「……」

「……」


 VCボイスチャットからは何の声も聞こえない。

 みんなこの手痛い敗戦に意気消沈している。




 リリィさんと、このチームとやるゲームは楽しい。


 でも今は楽しくない。



 ゲームを真の意味で楽しいと思えるのはやはり勝った瞬間だ。


 勝たなければ楽しくない。




 だったら僕が……今足を引っ張ってしまった僕が。


「次こそは……」


 絶対に勝たせないと。






「マモル君……?」

「……そうですな。幸いにもまだ3マッチ目が残っております。どうやら『GD』もそれほどポイントを伸ばせなかった様子」




 僕らを全滅した辺りで第二収縮が始まって、次の範囲外だった『GD』は急いで移動しなければならなかった。


 そこを待ち伏せしていた部隊に狙われて、僕たちの戦いでダウンしていたシズカ選手が回復も間に合っておらずダウンから確キルを入れられる。


 他のメンバーは何とかその襲撃から逃げたものの、3人となっては積極的に動けず隠れながら行軍。第四収縮のどさくさに紛れ漁夫を仕掛けてキルを取るものの、さらなる漁夫により壊滅、6位6キルという結果に終わっている。


 1マッチ目で稼いでいたポイントが大きく、合計ポイントではまだ1位を譲ってないがその差は逆転出来ないほどではない。




「アカネ達は1マッチ目の3位から、2マッチ目で5位に転落したけど、3マッチ目で1位に返り咲くわよ!!」


 アカネの調子が出てくる。


「そうだよね! うん、頑張るよ!!」


 リリィさんがそれに続く。


「ふぉっふぉっ。先ほどは真っ先にダウンして不甲斐ないところを見せました。そのリベンジと行きましょうか」


 ジイクさんも言葉こそ穏やかだが、その内に闘志を秘めていることが分かる。





「そうですね、勝ちましょう!」


 僕は改めて覚悟を決める。




 このみんなのムードを壊さないためにも。


 優勝して真に楽しむためにも。




 僕が出来ることを。

 僕にしか出来ないことをやろうと。






=====






 『GD』カイト選手視点、大会配信にて。




『一位キープ!! やったわね!!』


 2マッチ目を終えての全体順位を見てアルテミスが喜ぶ。




『おうおう、良かったで!! 個人的にも1マッチ目狙撃されたジイクフリートってやつに仕返し出来たからな』


 『GD』と『APG』の直接対決において、ジイクフリートは『以心伝心』コンビによる集中砲火を受けてダウンしたが、実際にダウンさせたのはアポロンだった。




『申し訳ありません、あそこで私が落ちなければもっとポイントを稼げたはずなのに』


 最初に脱落してしまったシズカが謝る。




『仕方ない。『APG』相手に想定以上の時間と被害がかかった。俺の判断ミスだ』


 カイトがかける言葉は慰めではない。シズカは自身の指揮に完璧に従った。それ故の出来事に、自分に責任があると本気で思っている。




『最後の2キルも俺やからなー。視聴者のみんなはちゃんと『#アポロン大活躍』ってタグで拡散してよな』

『あれは私とカイトが援護したおかげのキルじゃない。あんなの『#アポロンおこぼれキル』でいいわよ』

『おこぼれだろうがキルした方がえーらーいーんーでーすー!』

『ムカつくわね……』

『わっ、ちょっ、リアルアタックは反則やぞ!?』


 双子のアポロン・アルテミスは同じ部屋から参加している。




『ふむ……』

『どうしましたか?』

『少し気になることがあってな。『APG』のオーダー、名前はマモルか……』

『直下手榴弾をピンポイントで当てた腕はすごいですが気になるほどですか?』

『…………』

『分かりました。一応情報収集をしておきましょう。時間が無いので手短になりますが』

『ああ、頼む』






=====






 スター杯、公式放送にて。


『さあ、運命を決める最終戦、3マッチ目が始まりました!!』

『いやあ早いものですね』



『現在の順位は先ほど発表されたとおり『GD』が一位! シークレットとして呼ばれた、アマチュア最強チームとしての面目躍如と言えるでしょう!!』

『このまま優勝まで突き進んでもおかしくはないですが、大会には魔物が住んでいることもありますからね』



『一応ルールを振り返っておきますと、本選は3マッチ行って順位ポイント、キルポイントの合計が一番高いチームが優勝となります。

 その内、順位ポイントは有限ですが、キルポイントはキルすればキルしただけポイントが入ります!』

『極端ではありますが、自分のチーム以外の敵全てを倒す、96キルなんて出来たらポイント的に今最下位のチームでも優勝できますからね。諦めず最後まで戦ってほしいところです』



『さて選手たちがマップ『熱帯雨林』を横切る飛行船からそれぞれのポイントに降りて行き…………おおっと! 早速2、3箇所で戦闘が起きているぞ!!』

『降下場所を被せるチームが出てきましたね。先ほども言ったとおり、キルを重ねれば現在下位でも優勝出来る可能性があります。初動から積極的に戦闘を仕掛けてキルを重ねる目論見でしょう。

 とはいえ初動ともなれば降りたところに武器が落ちているか、敵より先に武器を拾えるかなどの運も大事になってきます。現在上位のチームはこれまで通り被らないように降りて、堅実にポイントを重ねて優勝を狙っていく方針を取っていますね』



『さてさて各地で起きた戦闘を見て回る前に今回の安全地帯を見ていきましょう!! 表示されたのはマップ中央『神殿の廃墟』や『森林地帯』の辺りだ!! これはどう見ますか!?』

『難しい場所が選ばれましたね。とりあえず乱戦になることは避けられないでしょう』




『つまりは見応えがある戦いになりそうだ!! さあさあ最終戦!! テンション上げて実況していきましょう!!』





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