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36話 スター杯本選 1マッチ目


「まさかシークレットチームが『GD』だなんてね」


 午後から本選開始前にチームで集まって、最初に口を開いたのがアカネちゃんでした。


「『GD』……って、何?」


 リリィこと私は聞き覚えのないアルファベットに問い返します。




「チーム『ゴールデンドラゴン』略して『GD』ですな。チーム名はこのようにアルファベットで略される傾向にあります。

 ちなみに私たちは『アカネ様と親衛隊』Akane and Palace Guardから『APG』となります。

 そして『ゴールデンドラゴン』は午後から本選に出場するシードのチームです」


 ジイクさんが補足する。




「あー『ゴールデンドラゴン』ですか。それなら聞いたことがあります。確かこの前公式大会で優勝したところですよね。……って、そこが参戦するんですか!?」


 SSSをある程度プレイしているなら知らない人はいないだろう。

 というのも公式大会『SSS祭り』の結果はゲーム内のお知らせにも載ったからだ。

 気になった私は大会の動画も見て、アマチュアでもこんなに強いチームがいるんだ、と感心した覚えがある。


「ええ、そうよ。ああもう忌々しいわね……強いだけじゃなくて人気もあるから、完全に話題が乗っ取られたもの。

 午後からの本選は運営公式で見る人が増えるとは思ってたけど、GDの視点に乗り換える人も出そうで嫌だわ」


 SSSの大会はプレイヤーがそれぞれの画面を配信している場合、視聴者は誰の配信を見るかを選べるわけで、自分が応援している人の視点で見るという人や単純に強い人の視点の方が爽快感があるからその視点で見るという人もいる。

 あと午後からの本選は大会公式が神視点と言われる、戦場を上から見下ろした全体が見える視点での配信を行うはずで、そこでは司会による実況とゲストとして呼んだプロプレイヤーによる解説も行われるとあってそちらで見る人も多いだろう。

 頑張って有名になろうとしているアカネちゃんにとって視聴者を取られるのは痛い話だ。




「基本的な立ち回りは変えませんが、出来ることなら『GD』とは戦わずに行きたいですね」

「何よ、弱気なこと言って。これだけ注目の集まっている『GD』を倒す! そしたら一躍アカネ達が有名になれるじゃない!」

「逆に倒されて『GD』の強さを証明するだけになる可能性もあるんですが……。もちろん戦うべきところで躊躇するつもりはありませんが、避けられるなら避けていこうという話です」


 マモル君が慎重論を唱える。

 特定のチームに対して警戒をする……そんなの初めてだなあ。まあ普段の野良マッチでは他にどんなチームが参加しているか分からないし、大会に参加するのは初めてなので機会が無くて当然だ。


「『GD』ばかり気にしても話が始まりません。他のチームも予選を勝ち抜いてきた、力ある者ばかりです。ちゃんと戦えるように、最終確認に移りましょう」

「雑魚死なんてしたらしゃれにならないものね」

「はーい」

「その通りですね」


 ジイクさんが流石年長者ということで雰囲気を締めていく。


 私たちは舞台での連携や立ち回りについて確認をして本選開始を待つのだった。








 スター杯公式放送にて。


「さあさあ、皆さまお待たせしました! スター杯、午後の部! 本選1マッチ目を行っていきたいと思います!

 実況はこの私『マーク』が、解説にはプロチーム『デザリアスヘル』より『トーテル』選手が行っていきます!」

「『トーテル』です。よろしくお願いします」


「さてさてプレイヤー達は既に飛行船から各地に降下していくところです! 綺麗に分かれて降り場所が被っている部隊はいなさそうです」

「大会本選、それも初戦となれば、武器が拾えるかの運ゲーになりがちな初動被せに出るチームも中々いないでしょう」


「ではこの動きが無さそうな間に、参加チームとその使用キャラ一覧の情報を見ていきましょうか…………表示されました!」

「これは……結構偏っていますね」

「パッと見で多いのは、索敵の出来る『鳥使い』、安全地帯を把握する『祈祷師』、一時的に遮蔽を作る『ウォール』を使える『工作家』ですかね。次点で突撃から戦闘の起点を作れる『巫女』、味方を回復出来る『衛生兵』辺りですかね」


「手堅く使える強キャラが多いですね。プロだと一芸に特化したプレイヤーがいわゆるマイナーなキャラを選んでたりもするんですが」

「『格闘王』だったり『トラップマスター』だったり異名を持った方々ですかね。あ、そういえば今回の参加者に一人だけ『罠師』を使っているプレイヤーがいますね」

「ほほう、それは興味深いですね」




「と、語っている内に戦闘が発生した模様! ああっと、これは午後から参戦のシークレットチーム、『GD』が早速仕掛けているようだ!!」

「マップ端での戦闘ですね。序盤で戦闘を仕掛けると漁夫を招きやすいのですが、おそらく降下する際、近くに他部隊がいないのを見てのことでしょう。オーダー『カイト』選手の采配が光りますね」


「戦闘は既に相手チームの一人をダウンさせている模様! 崩れた敵部隊に竜の両翼、双子プレイヤーの『アポロン』選手と『アルテミス』選手が追撃!!」

「『以心伝心』とも呼ばれる連携は流石ですね」


「さらに二人をダウンさせて……おおっとラストは『シズカ』選手が取り切ってこれで部隊壊滅! 『GD』は初っぱなからキルポイントを4ゲットだ!!」

「チャンスを逃さず取りにいけたのは流石アマチュア最強といったところでしょうが……しかしどうやらここに絡んでいくチームがいるようですね」



「何と! 倒した敵の棺桶を漁っていた『アポロン』選手が狙撃によりダウン!! 撃ち抜いたのは『APG』の『ジイクフリート』選手だ!!

 流石王者チームと思っていたところから一転ピンチに!! 『APG』はこのチャンスにどう動くか!! 目が離せません!!」


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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、格上相手に後手に回ったら勝てないのは目に見えてますからね。 チャンスがあったら仕掛けるのは良い判断だと思います。
[良い点] いや、さっき何て言った!? 舌の根も乾かぬうちに襲撃ですか!? 展開面白すぎてクソワロタ [一言] Q相手の連携が厄介です。どうすればいいでしょう? A一方を先に倒してしまえばいいじゃない…
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