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こしぬけ侍

作者: 大空まえる
掲載日:2020/04/17






   はじめに


 長い間あたためていたテーマですが、なんとか形にさせていただくことができました。短編ですが、お楽しみ頂ければ幸いです。




   刀を封じる

   

極意






   こしぬけ侍

          大空まえる


   刀を封じる


 ザクッ!ザクッ!

土を耕す鍬の音がしている。

尾上龍之介おのえりゅうのすけ

畑仕事が好きなのであった。

くわを振り上げた途端、土が飛んだ。

それが、そばの街道を歩いていた侍の顔へ当たってしまった。

「無礼者!

ここへなおれ。

武士の顔へ土を飛ばすとは何事だ。

許せん。

ここへ参れ。」

大変なけんまくである。

「これはこれは、ご無礼をつかまつった。

お許しくだされ。

ひらに、ひらに。」

龍之介は侍の前で土下座をして謝る。

しかし、そんなことで収まるけんまくではない。

「いいや!許せぬ。

腰のものを持って参れ。

尋常じんじょうに勝負だ。」

侍は刀に手をかけている。

「いやいや!ひらに、ひらに。

どうぞ、お許しくだされ。

この通り。ひらに、ひらに!」

龍之介はひたいを地面に擦り付けて謝る。

しかし、どうしても許してはくれない。

「おぬしも武士ならば刀で勝負だ。

早く腰のものを持って参れ。」

龍之介は万事休した。

仕方なく刀を腰に差した。

「本意ではないが致し方ない。

お相手仕る。」

そうして龍之介は静かに刀を抜いた。

「父上!

抜いてはなりませぬ。」

三男の清三郎が止めに入る。

しかし武芸者の刀は止まらなかった。

振り下ろした刀は、間に入った清三郎の肩から切り下されたのだった。

「清三郎!

しっかりせよ。

清三郎!」

龍之介は清三郎を抱きかかえる。

「父が悪かった。

許せよ。」

龍之介は詫びた。

「間に入ったのが悪いのだ。」

武芸者は、そう捨てぜりふを残して立ち去っていった。

無刀流では真剣勝負を禁じていた。

龍之介は師範代なのである。

免許皆伝なのであった。

しかるに、禁を破るところだったのだ。

清三郎は、幸い命には別条なかった。

龍之介は、今後は絶対に刀を抜かないことを誓うのだった。



   極意


 それからは、事あるごとに、ただただ謝る龍之介なのであった。

その噂は、人々の間に広く伝わってゆく。

いつしか、こしぬけ侍とのあだ名がついてしまった。

しかし、それでも龍之介は一向に介すことはなかったのだ。

そうして、ついには刀を捨ててしまった。

しかしながら、それこそが無刀流の極意なのであった。








   おわりに


 長編は苦手で、ついつい短編になってしまいますが、ご勘弁ください。




    著者 大空まえるー藤本楠庭


   えいめいワールド出版

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