第1話 ある異世界の情景
どうも皆様。翔という者という者です。(誤字にあらず)
はじめましての方は、はじめまして。
会ったことがある方も、面倒なのではじめまして。
異世界モノに初挑戦です。
よく知らないなりに、一風変わったものが書ければな、と思います。
どうか、生暖かい目で見守ってもらえれば、と。
それではごゆっくりどうぞ。
空は、星一つ見えない、黒い夜空。
ここは、巨大な円形の闘技場。
本来、人間の闘士たちが戦うであろうその場所に、悠然と立っているのは巨大な赤いドラゴンだ。四足歩行で、立派な翼を背中に持ち、尾は力強くしなっている。
この恐るべき赤竜に対抗するのは、黒い馬にまたがる騎士。
漆黒の鎧に紅色のマントを羽織り、黒い盾、真銀の槍を携えて、竜と相対する。
だがこの騎士も普通ではない。敗残兵のごときボロボロの鎧姿で、首から上は何もない。首無し騎士なのだ。
巨大なドラゴンが炎を吐いた。
首無し騎士に向かって、容赦なく吹きつけられる。
炙られた地面が溶融するほどの大火力だ。
首無し騎士は盾を構え、馬を走らせる。
灼熱のブレスを正面から突っ切るつもりだ。
黒い盾が、鎧が、炎を受けて赤熱する。
馬がとうとう炎に耐え切れなくなり、倒れた。
首無し騎士は落馬するも、なんとか受け身を取って、再びドラゴンへと立ち向かう。
とうとう首無し騎士がドラゴンの懐へと肉薄した。
だがドラゴンは無慈悲にも、首無し騎士目掛けて右前脚を叩きつける。
それを正面から盾で受け止める首無し騎士。
叩きつけの衝撃で、騎士ごと地面が陥没した。
だがそれでも、首無し騎士は盾で前脚を受け止め、耐えている。
およそ常人の膂力ではない。恐るべきパワーだ。
そしてドラゴンの前脚を押しのけると、一気に大ジャンプ。
そのまま、ドラゴンの喉にある逆鱗を、銀の槍で貫いた。
「グガアアアアアアアッ!?」
ドラゴンの悲鳴がこだまする。
首無し騎士は、槍を引き抜いて地に降りた。
だがドラゴンは、まだ倒れない。
目の前の首無し騎士を捉えると、大きな顎を開いて噛みつきにかかった。
咄嗟に盾を構える首無し騎士。
だがドラゴンは、騎士のちっぽけな防御などものともせず、丸ごと鎧にかぶりつく。
首無し騎士も、ドラゴンの口の中に槍を突き刺して反撃する。
ドラゴンも、顎の力をさらに強める。首無し騎士を噛み潰す勢いで。
ここからは、もはや意地と意地の勝負である。
ドラゴンが先に息絶えるか、それとも首無し騎士が音を上げるか。
バキリ、と音がした。
そしてドラゴンが口を開くと、首無し騎士が力無く倒れた。
根負けしたのは、首無し騎士だった。
首が無いとはいえ、騎士が竜に負けた。
本来なら、それはまさに正義の敗北。
世界が魔に包まれる最後の一押し。
あってはならないおとぎ話だ。
……だがしかし。
この世界では、そうでもない。
「勝負ありぃぃぃぃぃぃっ!!!」
試合終了を告げる審判の宣言が、闘技場内に響き渡る。
続いて、満員の観客たちが一斉に歓声を上げた。
わぁっ、という爆音が場内を包む。
「チャンピオン、グレン! これで連続8年の王座防衛達成です! 強いッ! これぞドラゴンマスター! 前人未踏の10年連続王座防衛が、目の前に迫ってきました!」
すると、赤髪の青年が歩いてきて、闘技場内に入ってきた。
場内の巨大スクリーンも、赤髪の青年の姿を映し出す。
彼こそがグレン。
この戦いに勝利したレッドドラゴンの主であり、モンスターと共に歩む者、テイマーである。
グレンはレッドドラゴンに歩み寄り、傷口に回復魔法をかける。
レッドドラゴンの傷が塞がったのを見ると、続いて対戦相手の首無し騎士にも回復魔法をかけた。
スポーツマンシップに則った行動に、再び会場から歓声が上がる。
テイマーバトル。
それは、テイマーたちが育てた、モンスターとモンスターのぶつかり合い。
この異世界、『テミリオン』で老若男女問わず愛される一大競技。
そして、並み居るテイマーたちの頂点を決める、テミリオン最大の競技大会。
それこそが、この『テイマーロード』である。
ようこそ。人と魔が共存する、この異世界へ。