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法律と宗教の違い———博愛主義者が嗤う自称合理主義者———

作者:元ROM専
———あなたの宗派は何ですか?———



一、あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。

二、あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。 それらを拝んではならない。それらに仕えてはならない。

三、あなたは、あなたの神、主の御名を、みだりに唱えてはならない。

四、安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。

五、あなたの父と母を敬え。

六、殺してはならない。

七、姦淫してはならない。

八、盗んではならない。

九、あなたの隣人に対し、偽りの証言をしてはならない。

十、あなたの隣人の家を欲しがってはならない。


 どうも皆さんこんにちは。なろう界きっての博愛主義者、元ROM専です。

 冒頭で紹介致しましたのは有名なモーセの『十戒』です。カトリックとプロテスタントの違いはあるものの、大体こんな条文です。
 名前は聞いたことあるけど、内容知らなかったんだよねって方もいらっしゃると思います。
 では改めてお尋ねします。どう思われますか?
 キリスト教信者の少ない日本ではおそらく「六(或いは五)から九は納得できるけど、一から四(或いは五)と十って必要?」と感じる方が多いのではと予想します。
 何故なら、前者は法律(刑法)という成文化された確たる根拠があるのに対し、後者は宗教・倫理という日本での根拠が不安定な存在であるためです。
 ではもう一つ質問です。

 宗教(教義)と法律の違いって何ですか?

 あぁ、先に私の立場を宣言しておきます。私は一般に無宗教、或いは精霊信仰者と呼ばれる人間です。神も仏も知ったこっちゃないですが、それらを信仰する方がいるならそれを尊重するといった感じです。
 彼らが信じる存在を、ある種の【精霊】として敬う、が私の持つ教義です。ただし他の宗派に迷惑を掛けない範囲で、ですが。

—————さて、質問の回答は出ましたか?では答え合わせをしましょう。
 アンサーはずばり、[無い]です。[答えが無い]のではなく、[違いが無い]です。
 拍子抜けされた方や、んなこたぁねぇだろ!と憤りを覚えた方もいらっしゃるかもしれません。ですが[無い]んです。上記の方は所謂【法律信者】の分類になります。
 ではその訳をお話し致しましょう。


 本来の法律の目的をご存知でしょうか。
 法律が、元を辿って国家・国王が、本来守るべきだったものは国家内の秩序です。ヒューマンライツ・個人を守るというのはごく最近の考え方なのですね。
 その証拠に、明治時代から使われている日本の『刑法』第2篇《罪》の項目において、最も始めに書かれているのは第73条《大逆罪》で、皇室に関する罪に重きが置かれていることを表しています。その次が《内乱罪》です。戦争という社会秩序を乱す行為を禁止しています。
 第73条から第198条までは社会秩序を維持するための法律なのです。放火なども、火を点けることでコミュニティを混乱させるのを禁止しているため、ここに入ります。
 そして第199条。皆さんご存知《殺人罪》です。内容は要するに「殺してはならない」
 ……あれ?この言葉どこかで見ましたね。
 そうです。モーセの『十戒』第6項です。
 「人を殺しちゃいけないなんて人として一番大事なことだろ」と考えていた方には衝撃的かもしれませんね。宗教の『十戒』と法律の『刑法』が同じ構図を採っているのですから。

 さて、では「明治時代なんて昔の考え方じゃん。今の法律(特別法の意)は宗教なんかよりよっぽど合理的だ」と仰る方がいるかもしれないですね。
 そんなあなたは【科学信者】です。合理的で、再現性のある現象を信じるという教義を持つ人間です。
 でもそれって【人の生き方】【倫理】には当て嵌められません。
 「そうだよ。だから宗教は法律より合理的なんだ」と主張されるかもしれません。
 しかしそれはあなたが無意識に法律を信仰しているからに過ぎないのです。
 例を出しましょう。

建築基準法
食品衛生法
道路交通法

 これって必要ありませんよね?
 建物が倒壊しなければ、食中毒を起こさなければ、事故らなければ、別に違反しても問題無い訳です。
 でも守りますよね?
 特に食品衛生法。賞味期限を気にしますよね?別に過ぎても食って大丈夫なのに。一日過ぎたら捨てる人もいるくらいです。
 何故気にするんですか?
 アンサーは[法律に安全性の保障を求めているから]です。
 人間は本来無知です。何が正しくて、何が間違っているか、一人では判断できません。だから専門家にその判断を委ねるのです。
 時速何kmで走れば安全か分からない。だから自分たちが信用を預ける国会の制定する『道路交通法』の中にある、公安委員会が決めた制限速度を守ることで一定の安全性を確保しているのです。
 また、守っていれば理不尽な法によって裁かれることもありません。
 これを保障しているのが皆んな大好き『憲法』の第31条【罪刑法定主義】です。これによって国民の【予測可能性】を保障しているのです。つまり「この法律を決めれば秩序が保たれて国民も安心して生活できる」ということです。
 ではこの専門家に判断を委ねるという考え方。法律だけでしょうか。
 教徒にとって【人の生き方】の専門家は誰でしょう?はい、そうです。神であり、教祖です。
 無知な自分は何が(魂にとって)正しくて、何が(魂にとって)間違っているか、一人では判断できません。だから自分たちが信用を預ける神・教祖、教義に判断を委ねるのです。
 それによって行動や信仰心の正当性を求めているのです。


 教義を真面目に遵守する教徒を、馬鹿ゝゝしいと切り捨てるそこのあなた。自分の魂の安寧に懸けてそれを言えますか?
 不確かな未来を他人に委ねる愚か者と嗤うあなた。法律の基準が実は他人の決めた不確かな存在であると忘れていませんか?
 法律は、民主主義国家の国民が信じる【教義】です。

○お読み頂きありがとうございました。

○「ああ、成る程な」と納得頂けましたか?それが宗教の始まりです。

○感想お待ちしております。
『十戒』はこちらを引用しました。

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