族長になった
死にたくなかった。
その日のその日がギリギリでいつ死んでもおかしくない日々。
見知った顔が目の前で死ぬことなど日常的で
自分の生まれた当時は良かったと年長者たちは語る。
当時は神々が世界を治めていたらしく、一族の信仰している神の加護があり、一族も万単位で存在したらしい。
自分は族長の一族に生まれ、教育をうけた。
そこは覚えている。兄弟が上に居ることを何となく知っていた。
知ってはいたが具体的にはよく知らなかった。
神代の時代の終末を迎える前兆なのか。自分の家族は忙しく動いた気がする。
自分はまだ、幼くよく分かっていなかった。何かが起きようとしていることは分かった。
その当時の自分は漠然と恐れていた。よくわからないが恐ろしく思っていた。
そんな中、神々の争いが起こったため神代の時代は終焉を迎えたらしい。
そして、世界に生きるすべての種族が生き残りを変えて争いだした。
私の属する一族はある意味、拠点特化型の種族で防衛戦に関しては全種族でも上位に位置するほど強かった。その反面、それ以外の戦いは下位に位置する程度の実力だった。
神々の戦いは天変地異など当たり前で、混沌の時代が始まってすぐに一族は住処を追われ得意分野での戦いを行えないようにされた。それでも、信仰していた神の加護、すぐに拠点を作り上げてはあくまでも得意分野での戦いを行える状況を作り上げることができる組織力と当時の族長が優れていたのでなんとか出来ていた。
混沌の時代が続く中、倒れる神がでてきた。
そんな中、倒れた神を信仰していた種族より
神代の時代には禁忌されていた邪神と契約した種族が現れた。
契約した種族は願いを叶えたがその代償を支払った
あるものは子孫繁栄のために知性を削がれ、
あるものは生き抜く力のために狂気に侵された等々。
ハイリスクハイリターン
代償は大きいが得られるものも大きい。
契約した種族は滅びつつあったが契約した後は盛り返していき、勢力を広げ他種族を蹴散らしだした。
その影響で自分の一族も勢力を失いつつあり、自分も戦った。
自分が成人する頃には族長と自分以外の族長の家系は死に絶え、一族もかなり減っていた。
そんな中、私は死にたくないがために禁忌とされていた邪神について調べていた。
もしもの時に契約するために。
そして、族長が死に一族も五十人を切った頃に自分が族長となった頃
信仰していた神が倒れた。