死にたくなかった。それ以外は建前だったはずなのに
自分は本来こうなるはずはなかった。
神の仲違いで始まった混沌の時代に代わりになるものがいなくなったがために族長の選ばれた。
このまま何もしないでいると確実に死ぬ。
でも、まだ死にたくない。
なので、死にたくないので禁忌される邪神と呼ばれる存在に願おう。
望むものの願いを意に沿わない代償を持って叶える邪神に
代償を自分が背負うと願い、意に沿わないことになるはずだとおもいつつ
自分は生き残れるように。
一応は一族を滅亡から救うことを族長らしく願いつつ。
我が一族が契約せし「神」と交わした約束の儀式を行う前はものすごく体が重く、風邪でも引いてるように気がだるい。
でも、これは毎度のこと。
混沌としていた時代に一族の長となった自分がしでかしたこと。
初めての儀式より、未だに自分の尻を拭い続けているようで自分が嫌になる。
他に方法があったのでは?と思う自分が儀式の度に顔を出す。
自分はこれが最善だったと言い張る自分に嫌気がさす。
でも、「神」との契約で得ているものが一族にとって、ひいては自分ために必要なので。
そして、今日。契約した当時と同じように一族を守るため。
一族を守るために一族の者を殺す。
こんなはずではなかった。
本当は自分が死にたくないがために願ったことが今の一族の繁栄に繋がっているのかと思うと。