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序章
~Prologue~
昔から時々、同じ夢を見ることがあった。いつから見始めたかははっきりと思い出せないけど、確か小学生の時からだったと思う。
その夢には必ず一人の女性が登場した。特に何かをするわけではないが、ただ、女性と向かい合っているだけの夢。
腰まで伸びた長い黒髪と琥珀色のカチューシャ。顔は白くぼやけていて口許くらいしか認識できないが、おそらく20代くらいの女性。
知らない筈、なのに何故だか懐かしいと感じてしまう。不思議な感覚…。
そして、同時に走る胸の痛み。この人を見ていると、胸を締め付けられるようで、苦しい。それでも、目を離せなくて。
だから、まっすぐこちらに顔を向ける彼女から、視線を逸らすことができず、見つめ返していた。
夢の深意なんて、知らない。
目の前の女性も。
この痛みの、理由も。
……その夢も、今はもう見ていない。結局、何もわからないまま。いつしか夢のことも、俺は忘れていた。