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それはいつかの物語7

 それは竜に似ていた。

 巨大な翼、雄々しい角、太い尻尾。

 しかし、細部は違った。

 刺々しい角のようなものが至る所から生えており、尻尾も二股に分かれていた。

 何よりも大きさだ。竜は精々が数十メートル。だが、今見上げているそれは遠いここからでもはっきりと見える。

 おそらくは五十メートル強はあるだろう。

 更に纏っているオーラが桁違いだった。

 離れたここからでも感じるプレッシャー。あれは神気だ。

 あの超大型の竜は神気を纏っていた。


「なん、なんだよあれ?」


 俺は呆気にとられた。

 あの竜(仮)はこれまでに見たどの存在よりも圧倒的だった。

 俺は生まれて初めて畏怖を覚えた。

 竜(仮)はゆっくりを向きを変える。

 その方向はガガドームの工場がある方向。

 神獣は口を大きく開いた。


「ブレスを吐くつもりだ!!」



 ドォ!!


 放たれた火球は正に砲弾だった。

 すべてを打ち消す破壊の火炎弾が一瞬にして地下工場の辺りに突き刺さり、大爆発を起こした。


「わ、わしの工場が!?」


 ガガドームがここまで届く轟音で飛び起きる。

 この期に及んでも自分の工場を心配するガガドームに呆れていいのか一回りして感心すべきか一瞬本気で悩んだが、今はそんなことを気にしている場合ではなかった。

 マダドウムが俺を見る。


「俺は竜族の王を見たことがない。あれが、竜王なのか?」

「ちがう。あれに比べたら竜王すらも生まれたてのヒナだ」

「じゃあ、あれは一体なんだっていうんだ」

「わからない。だが、明確な意思を持って魔導工場を破壊した。あれは人間を憎んでいる」

「まずいぞ。すぐに王宮に戻ろう。緊急会議だ!」




 俺達は戻ってすぐに緊急の会議を開こうとした時、神官から神託の間へと急ぎ来てほしいと言われ、俺は胸騒ぎを覚えそれに従った。

 神託の間はおびただしい数の精霊たちが飛び交い、荒れ狂っていた。


『人の王よ。もはや猶予はなくなった』

『女神が、大地母神が怒り狂ってしまった』


 大地母神が!?

 俺たち人間にずっと警告を鳴らし続けた慈愛の女神が。


『女神は怒りのあまりその姿を変えた』

『もはや止められぬ』

『もはや聞き入れられぬ』

『人を、最後の一人を殺し尽くすまで』

『あるいは我等すべての存在を焼き尽くすまで』

『止まらぬ』

『もはや滅びは免れぬ』

『滅びた世界はいずれ再生するだろう』

『遠い時間をかけて生まれ変わるだろう』

『だが』

『一度この世界は』

『死ぬ』


「俺達はそれを甘受するつもりはない。どうすればいい。力を貸してくれ精霊達よ」


『まずはお前達だけでやってみるがいい』

『抗うがいい』

『我等は傍観する』

『すべてはお前達人類が招いたこと』

『すべての責任を取るがいい』


 言うだけ言うと精霊たちは霧散して行ってしまった。

 くそ。すべては俺達の責任。

 自分達で何とかしろってことか。わかってんだよそんなことは。

 やれるかやれないかじゃねー。

 やらなきゃ人類が、あるいは世界が滅びる。

 シンプルだ。

 やるしかないってことだろうがよ!

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