戦争終結。そして
俺が城壁の下に降りると、兵士達は俺を恐れ、引いた波のように俺から離れ、道が出来上がった。
中には膝間付き祈る者さえいた。
うーん。だからやりたくなかったんだよなアレ。
何もない荒野を狙ったけど、しばらく冷えたらあの辺りはガラス化するだろうし、もう草木が生えることはないだろうな。環境によろしくない。
問題はあれを見た生徒達の反応だな。
さすがにやりすぎてしまったから、俺を見る目が変わるかもしれない。
最悪、特別クラスを去る人間もいるだろう。
それも仕方がないかもしれない。あんなものを見せられてはな。
あいつらの前まで歩いて行くと、やはり俺を見る目が何か違う。
「いくらなんでもあれは・・・」
「規格外中の規格外というか・・・」
「あきれてものも言えませんわ」
「もうなにがあっても驚かないつもりだったんすけどね」
「あれは無理。すごすぎる」
んん? あれ、こいつらが俺を見る目って畏怖というよりも諦めて言うか、投げやりというか。
俺はもっと違う反応を想像していたんだけどな。
「お前ら怖いとかないのか?」
思わず俺としては珍しく、自分がどう見えるのかを聞いてしまった。
皆が首を傾げる。
「え、怖いですか?」
「すごいとは思いましたが」
「あれは教えて頂かなくて結構ですわ」
「シャルロッテ先輩があんなの使ったらえらいことですよ」
「やめてせんぱい・・・」
なんか思ってた反応と違うな。
アドルフがにやりと笑っている。
「カルドニアがお前を恐れたのはお前の事を知らずにいたからだ。ここにいる皆はお前を信用し、信頼している。変な気を使うな」
「ふん」
ち、アドルフに一本取られちまったぜ。
「まあいい。あちらさんとは話がついた。あれをお前らの国に落とされたくなかったらもうちょっかい出すなと言っておいたから、もう大丈夫だろう」
『あ~。それは安心です~』
なんだよ。その棒読みな反応は。
本当なら地道に何日もかけて俺の恐ろしさを兵達にじわじわとわからせていく作戦だったんだぞ。
お前らが来たから勝負を急いだというのに。
「ふん。まあいい。それじゃあ帰るぞ。俺達の学園に」
『はい!』
こうしてカルドニアとの戦争は幕を下ろした。
これ以降カルドニアが俺達にちょっかいをかけてくることはないだろう。
*****
コルムンダル要塞から遥か離れた地で、一人の少女がその光景を見続けていた。
遠く離れたここまで地面が地震のように揺れる。
そしてなによりもあの光。
「あの光は、最終消滅魔法。滅びの光≪メギド≫」
少女は確信した。あの人だ。あそこにあの人がいる。
やっとみつけた。
少女の頬に涙が伝う。
この涙は喜びか、憎しみか。
「お兄様・・・」




