表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/520

クギュール砦の戦い

 寒い。

 立ち寄った村で防寒具を揃え、北上を続けること三日。

 今は降っていないが、あちこちに雪が目立ってきた。

 これからさらに北上するならば、雪に対する備えも必要だろうが、多分その心配はないんじゃないかと思っている。

 何故なら北上はここまで。カルドニアの王都はここから西南の方に位置しているからだ。

 これがあと一月もしてさらに冬が深まればここいらにも雪が降り積もるのだろう。今なら寒いには寒いがまだなんとかなる。

 俺は先ほど、なんとかクギュール砦が見える辺りまで到達した。


「揃えてきたな」


 おそらくは二個大隊、つまりは連隊を揃えてきたようだ。

 クギュール砦の前には物々しい警戒態勢が敷かれていた。

 あのまま警戒態勢を続けていたら、旅人や商人が困るだろうな。

 まあ知ったことじゃないが、さっさと決着をつけるかね。

 俺はクギュール砦目指して駆ける。

 先手必勝。まずは砦に一撃。


「閃けダーウィンスレイブ!」


 砦めがけてダーウィンスレイブの剣閃がほとばしり、砦に直撃した。

 手加減をしたので、直撃した辺りが崩壊した程度の被害で収まったが、砦は大混乱に陥った。


「なんだ今のは!」

「ス、スティーグなの、か?」

「て、敵襲、敵襲ー!!」


 突然の攻撃に慌てふためく兵達の正面から俺は突っ走る。

 何が何だ解らない内に斬られていく兵士達を追い越して、俺は次々に斬りつけていく。

 といっても、急所は狙っていない。武器や腕などを浅く切る程度に留めている。


「うお、なんだ」

「ス、ティーグだ!」

「総員武器を構えろ」


 ようやく事態を理解した兵達が俺に向かって斬りつけてきた。だが、まだ浮き足立っている攻撃。躱すのは容易い。

 ひょいひょいと攻撃を躱しながら、兵の間を縫うように疾駆していく。

 そういえば、鬼ごっこ大会もこんな風に動いたっけな。元々俺はこういう乱戦が得意なのだ。

 だが、今回は規模が違う。大人数の連隊なのだから当然だが。


「くそ、疾い!」

「捕えられないぞ」

「慌てるな。囲め囲め!」


 そうはさせるか。さすがにこの人数で囲まれたら厄介だからな。ジグザグに動きながら兵達を翻弄し、次々に斬り付けていく。

 斬り付けながらさらに疾駆する。

 どれだけ大人数であろうが、全員が俺へと攻撃することは出来ない。

 城門まで俺が相手にするのは、精々が百に届くか届かない程度の兵しかいない。

 城門が目前に迫ってきた。


「おっらぁ!!」


 巨大な城門に蹴りを入れる。バキっと派手な音がして城門の一部が壊れた。


「そ、そんな馬鹿な。あの城門を一蹴りで・・・」


 呆気にとられる兵をすり抜け、砦内に進入すると今回も司令官を倒すことを目標にする。

 先ほど、城塀の上で指揮を執っている人物を目撃した。おそらくはあれが司令官だろう。

 俺は階段を使わずに壁を蹴り、塀を駆け上った。


「ば、バケモノだ」


 城壁を登り、上まで登っていく俺を見上げた兵士がポツリと放心状態でそう言った。


 ダン! と、塀を上り、上まで来ると司令官や周りの兵士達が口をあんぐりと開けて俺を迎えてくれた。

 それからすぐに表情を引き締める辺りはなかなか立派だ。


「ま、魔人スティーグ」

「魔人じゃねーけど、スティーグだぜ」

「よもや、この連隊に正面から挑み、城門を蹴破ってここまで上りきるとは・・・」

「とっとと降伏してくれるか?」

「それはできん!」


 きっぱりと断るその言葉には重みと覚悟が見受けられた。

 俺は頭を掻く。軍人てのは頭が固いっていうか・・・


「じゃあ、お前を倒せばいいのかな?」

「・・・私を倒しても無駄な事だ。ここにいる兵達には私が死んでもここを死守するように命じてある」

「おいおい・・・」


 死守かよ。無駄に兵を死なせるなっての。

 しかし、俺にもやられた怒りがある。クレアを襲われ、俺もひどい目にあったのだ。

 もう二度と俺達に手をだせないようにする必要がある。そのためには徹底的にこいつらに俺の強さと恐怖を植え付ける必要があるのだ。

 それにはここである程度のダメージをカルドニアに与えておかないとな。


「んじゃまー。とことんやろうか」


 俺はそう言うと、ぴょんと塀から城門の外に飛び降りた。


「な、おい!」


 ここでこの司令官を倒して間違って死なせてしまっては、後に残ったこいつら兵士達が止め時が分からなくなる。最後の一兵になるまで戦うなんて馬鹿な真似をされたら敵わない。あの司令官には生きていてもらわなくてはいけない。

 俺は着地するとまだ十分残っている兵士達と向き合う。


「さあ、第二ラウンドだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ