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スティーグ再び散歩に出る

 今日、ミューリは上機嫌だった。

 昨日は一悶着あったものの、サウナが気分をさっぱりとさせてくれた。

 嫌なことがあってもサウナに入れば忘れさせてくれる。

 やはり、サウナはいい。

 サウナは全てを解決する!


 そんなわけでミューリは意気揚々とスティーグ達が泊まっている宿舎へと向かった。


「おっはよう!」


 元気よく扉を開けて皆に挨拶をする。

 きっと皆んなも元気よく挨拶を返してくれるはずだ。

 そう思っていたのだが、皆の顔色を伺うとどうも、よくない。

 何故?


「皆んなどうしたの?」


「あ、ミューリさん。おはようございます・・・」


 ミラがぎこちなく挨拶をする。

 態度がおかしい。

 何故そんなに後ろめたそうな顔をする?

 ミューリがキョロキョロと辺りを見渡して、


「スティーグは?」


 スティーグがいないことに気づいて、問いかけてみると、全員がギクリと体を震わせる。


「・・・えー、あー、実は」


 嫌な予感がした。





「はあぁぁーーー! また一人で散歩に行ったぁ!?」


 ミューリは絶叫した。

 何故? 昨日あんな問題があったのに、何故また一人で行動した?


 また里の誰かと鉢合わせしたらどうする?

 ミューリは頭を抱えた。


「わ、私達も止めたのよ? だけど、大丈夫だの一点張りで・・・」


「・・・いえ、皆んなは悪くないわ。あいつはやると決めたら聞かないし」


 ミューリは盛大にため息をついた。

 まったく、厄介な男だ。

 そんな厄介な男に惚れてしまった自分も大概だ。


「しょうがない。探しに行ってくるわ」


「わ、私達も」


「いい。また絡まれでもしたら困るし」


「あ、そうね」


 ミラはしょんぼりして俯いた。

 可哀想な気もするがこればかりはしょうがない。


 さて、どこから探したものか。

 ミューリは髪をかき分けて考えをまとめる。


「あいつ、出かける前に何か言ってた? どこに行くとか誰に会うとか」


「えーとね。『どうしても挨拶したい奴らがいるから』って」


「どうしても挨拶したい奴ら・・・?」


 ミューリは顎に手を当てて推理ポーズを取る。

 どうしても挨拶したい?

 このエルフの里にスティーグがどうしても挨拶したい相手がいるか?

 族長?

 いや、それなら昨日も会った。

 それに出立の時に改めて挨拶すればいいだけの話だ。

 今日挨拶する必要はない。

 では、一体誰に?

 それに「奴ら」というと相手は複数。


 誰だ?

 ミューリの知らないうちに、そんなに親しくなったエルフでもいるのか?

 しばらく考えて、あることを思いついた。


「・・・もしかして・・・」


「何か思いついた?」


「おそらく、いえ、間違いない」


 皆はホッと胸を撫で下ろした。

 ミューリに心当たりがあるのなら見つけるのは容易なはずだ。

 昨日みたいにトラブルに巻き込まれることもない。


「いいわ。皆んな来て」


「行っていいの?」


「ええ、もしかしたら、凄いものが見られるわ!」


 皆は顔を見合わせた。

 凄いものとは一体んだろう。




 ミューリを先頭に一行はエルフの里を歩く。

 結構慎重に。

 昨日みたいに保守派のエルフに合わないように気を遣いながら。

 その様はまるでスパイ活動である。

 ミューリはなんで自分の里でこんなことをせにゃならんのかと思うが仕方がない。


 そして、森の奥へ奥へと入っていった。

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