サウナ女性編1
スティーグが頭を下げたことで気をよくしたサマス。
だが、この程度で許してやろうとは思っていないのか、顔を歪めてニヤリと笑う。
「ふん。少しは話ができるやつみたいだな。だが、そんなことくらいでこの里での逗留を認める訳にはいかない。即刻出て行け!」
「あんた!」
今にも掴み掛かろうとしているミューリ。
これ以上騒ぎが広がるとまずいと思った少女達は止めるべきかと思案する。
そこにー。
「なんの騒ぎじゃ、これは」
「族長」
騒ぎを聞きつけて族長が何人か引き連れてやって来た。
皆、胸を撫で下ろす。
「これはなんの騒ぎじゃ?」
「族長。こんな人間達をこれ以上この里に滞在させていいはずがない。即刻出ていってもらうように言ってください!!」
いきり立つエルフ達を見て、族長はため息を吐いた。
「なるほどのぉ」
それからスティーグを見て。
「スティーグ殿。すまんな。頭の硬い連中は貴方の偉大さが分からんようじゃ」
「や、俺は全く偉大じゃないし。気にしていない。ただ後1日は滞在させてもらいたいな」
「無論じゃ」
「族長!?」
族長は胡乱な目で反対派のエルフ達を見る。
「分かった。お主らにはよく話を聞かせなければならんな。この方がどういう方なのかということを。来い。とくと聞かせよう」
「・・・望むところです」
反対派エルフ達は族長に連れて行かれていく。
その時にスティーグ達をキッと睨むのも忘れない。
連れていかれたエルフ達をスティーグは特になにも思うことなく見送った。
沈黙が降りる。
なんとも気まずい空気が流れた。
「・・・ね? 言ったでしょう。ああいう頭硬い連中もいるって。ごめんね」
「いや、謝っていただくようなことじゃ」
「え、ええ。元は人間が悪いんですし」
歯切りが悪い感じで少女達は受け答えした。
ミューリは腕を組んで唸る。
なんとかこの気まずい空気を払拭させたいのだろう。
「よーし。皆んなでサウナ行きましょう!」
「「「サウナ?」」」
よく分かっていないまま強引にサウナに連れてこられた女性陣。
ちなみに男性陣も男湯に放り込まれた。
よく分からないまま裸にされ。
タオルを巻いてサウナ室の前までやってきた。
「さーサウナに入りましょう」
「・・・何故、いきなりサウナに入ることに」
「ストレスを感じたら私はすぐにサウナに入ることにしているの。皆んなも付き合いなさい」
「・・・はぁ?」
ストレスとサウナが結びつかない女性陣。
だが、割とクレアはうきうきしていた。
「あたし、サウナって初めてです」
「そうなんだ。他にサウナ経験者は?」
アティシアだけ手をあげた。
ほとんどサウナ初心者のようだ。
「そうなんだ。じゃあ、私がサウナの何たるかを伝授してあげるわ」
フンスと鼻を鳴らすミューリ。
乗り気な人間、戸惑う人間がいる中で、明確に腰が引けている人間が一人。
ステラである。
「えー、あたしサウナのよさが全く分からないんだけど。だって暑いんでしょ? めっちゃ暑いんでしょ? 何でわざわざ暑いところに行かないといけないわけ? あたし涼しいほうがいいんだけど」
「ふんふん。まあ、気持ちは分かるわ。でも、一回体験してみて。文句を言うのは体験した後からでも出来るでしょう?」
「・・・まぁ」
ステラは渋々了解した。
笑みを浮かべたミューリはいざ! と、サウナ室の扉を開けた。
「うっ!」
入室した瞬間。凄い熱気が押し寄せてきた。
暑い。
想像よりもはるかに暑かった。
「ここがサウナなんだねぇ」
「あっつ〜。予想よりはるかに暑い」
クレアは興味津々で、辺りを見渡し、ステラは既に嫌気がさしている。
室内は座れる所が三段ほど段差があり、カンカンに熱せられたストーブの横に水の入ったバケツと柄杓がある。
ミューリは迷わず一番高い段に座った。
「皆んなは下の段がいいと思うよ。サウナって上の段にいくほど暑いから」
「じゃあ、あたし下の段」
「あたしも下にしようかな。初めてだし」
勧められるがままに下の段に座ったステラとクレア。
他の面々は顔を見合わせながら下の段に座るものが多い中で。
「私は上の段にします。心頭滅却すれば火もまた緩し」
「ではわたくしも上に挑戦しますわ」
シルフィーとシャルロッテの二人が上級者向けの最上段に挑戦した。
「いいじゃない。挑戦者は大歓迎よ」
ミューリはニンマリと笑って二人を迎え入れた。




