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いざこざ

 スティーグはもらった花をもてあそびながら、頭をかく。


「さて、どうしたもんか」


「先生!」


 仲間達がスティーグを睨む。

 様々な感情が渦巻きながら。


「よう」


 スティーグはやましいことなんか何一つありません、なんて顔で仲間達を迎える。


 その顔を見ているとなんかもう!

 なんかもう!!

 なんでこいつはこうなのか。

 これ以上増えたらどうするんだと女性陣は思った。

 アドルフは巻き込まれては堪らないと、隅に寄った。


「先生。その花」


「ん? ああ、さっきもらってな。ミューリ、あの家に取り敢えず飾っていいよな?」


「まあ、いいけど・・・」


 ミューリは複雑な顔で頷く。


「で? お散歩は終わったかしら?」


「いや、まだだ」


 眉間に皺を寄せて顔をひくつかせるミューリ。


「あのね! エルフは皆んなが皆んなあんたと友好的じゃないの! 一人で出歩くと余計なトラブルになりかねないでしょう!!」


「あ〜、そうか?」


 分かってないなーこいつ、と思いながらミューリは顔に手を当てた。


「散歩ならあたしも付き合うから。で? 何処行くの?」


「ん、ああ。ちょっと昨日のオークの所までな」


「オークの?」


 ミューリも仲間達も首を傾げる。


「残党退治でも買ってでようってこと?」


「や、それはエルフに任せるが、俺は倒したオーク自体に用がある」


 仲間達はますます首を傾げる。

 死んだオークに一体何の用があるというのか?


「ほら、オークの顔って豚に似てるだろ?」


「まあ、似てないこともないわね」


「だから、食えるんじゃないかなってな」


 ピシい!


 空気にヒビが入るのを感じた。

 仲間達は慄く。


「食べる? オークを?」


「おう。食べたことないからな。試しに」


 さーっと青ざめる一同。

 ステラが口を開く。


「いやいやいや! やめましょうよ! オークを食べるなんて!」


「いや、案外美味いかもしれんぞ? 豚に似てるし」


「似てても嫌ですよ。だってあいつら喋ってたじゃん! 二足歩行で歩いて、喋って、知能もある生物を食べるなんて生理的に無理!」


「そうかー? 人類は長い年月をかけて、こんなの食えるのかーって物を色々な調理法を見つけて食べてきたんだぜ?」


「無理です! ぜーったいに無理!」


 スティーグは額をかく。


「そうか? 誰か賛成の者は・・・?」


 ブンブンブン!


 全員激しく首を横に振る。

 スティーグは大きくため息をついた。


「はぁー。しょうがないか。諦めよう」


 ほぅっ、と皆が息を吐いた。

 なんとか阻止した。


 安堵した時、何やら数人のエルフ達がやって来た。

 道を譲ろうと隅に寄ろうとしたのだが、エルフ達は、険のある顔でスティーグ達を見る。

 これは嫌な予感がする。


「人間! いつまでこの里にいるつもりだ!? とっとと出ていけ!」


 痛烈だった。

 歓迎されていないエルフもいるとは聞かされていたが、ここまで言ってくるとは。


 ミューリがさっと前に出た。


「サマス。あなた誰にものを言っているかわかってるの? スティーグ達はこの里の恩人よ? それをいきなり来て出ていけですって?」


 ミューリが眉を吊り上げて噛みつきそうな目でサマスというエルフに怒鳴る。

 殺気すらこもっていそうなその視線にサマスは若干弱腰になるが、自分を奮い立たせたのか、ミューリを睨み返す。


「オークなんて俺たちでなんとかなったんだ! 恩着せがましい!」


「そうかもね。でも、間違いなく犠牲者が出た。全員が無事でいられるのはスティーグ達のおかげ」


 サマスは奥歯をグゥと噛んだ。


「目を覚ませよミューリ。人間なんてかつて、神の怒りに触れて世界を滅ぼしかけた罪人だぞ? そんな奴らと仲良くするなんて」


「昔は昔。今は今よ。スティーグがあなたに何かしたわけ!?」


「先祖の罪は子孫の罪だ!」


「あんた!」


 そろそろ本気でミューリがサマスに殴りかかろうかという雰囲気になった時スティーグがそっとミューリの肩を叩いた。


「スティーグ?」


「ま、耳が痛い。こいつらはともかく、俺と妹は何度でもお前らには頭を下げなきゃならん。気が済むまで謝るぞ。済まなかったな」


 そう言ってスティーグは頭を下げた。

 続けてアティシアも頭を下げる。


 びっくりした。

 あの傲岸不遜が歩いているようなスティーグが頭を下げることなどないと思っていたので、生徒もミラもアドルフも大層驚いた。


 スティーグは王として、かつて多くの種族の前で謝罪をして力を求めたことがある。

 事この件に関してはスティーグは何度でも頭を下げると決めている。


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