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スティーグ対オークキング2

 オークキングが戦斧を振り下ろす。

 凄まじい速度ではあったが、これをスティーグはひらりと躱わす。


「ぬぅ?」


 初手から決めるつもりだったオークキングは意外そうに首を傾げる。


「よく避けたな」


「そんな威張って言う程のものでもなかったがな」


「小癪な!!」


 オークキングは今度は二度戦斧を振るった。

 だが、躱わす躱わす。

 スティーグは難なく避けてみせる。


「ぬぅう!」


 頭にきたオークキングは戦斧を振り回す。

 だが、当たらない当たらない。

 全て避けてみせる。


「ちょこまかと動き回りよって! 逃げるな!」


「いやなに、素晴らしい逃げ足と賞賛してくれて構わんよ」


「減らず口を!!」


 怒り狂ったオークキングは戦斧を振り回すがどんなに振り回してもスティーグにはかすりもしなかった。

 徐々に焦り始めるオークキング。

 意表を突きたかったのかオークキングは前蹴りを繰り出した。

 が、こんな苦し紛れの攻撃がスティーグに当たるはずもなく、ヒョイと躱してみせる。


 ここで初めてスティーグが攻撃に出た。

 伸びた足を下から蹴り上げたのだ。

 足は大きく上に、その反動で上半身は下へと向かい、オークキングは激しく頭を地面に打ちつけた。


「ぐぅう!」


 倒れ伏したオークキングを冷めた目で見つめるスティーグ。

 オークキングは頭を振り、急いで立ち上がる。


「くそが!!」


 振る、振る!

 オークキングは戦斧を振りまくる。

 その腕力から繰り出させる威力はかなりのものだが、スティーグにはその全ての攻撃が通用しなかった。


 ここで初めてオークキングはこの人間は強い。

 自分は勝てないかもしれないという恐怖を抱いた。

 そんな一瞬の恐怖を恥と思ったか、首を激しく振り、スティーグを見下ろす。

 こんな自分の半分もない奴にいい様にされてたまるかと傷ついたプライドをぶら下げてオークキングは戦斧を両手持ちする。


 みちりと筋肉が膨張し斧が震えた。

 渾身の一撃を喰らわせるべく、スティーグの前に立つ。

 スティーグは完全にオークキングの間合いに入っているにも関わらず飄々と佇むのみ。

 それが気に食わなかったのか血管が浮き出て大きく唸る。


「ぐ お お ぉ ぉ お ー ー !!」


 繰り出される渾身の一撃。

 クレアもこれを受け止めようとは思わないだろう。

 だが、スティーグは受けた。

 片手で。


 ギ イ ィ イ ー ン!!


 その衝撃で地面が陥没した。

 衝撃が大気を揺らす。

 だが、それでもスティーグは何事もなかったかの様にただ立っていた。

 オークキングは信じられないものを見るかの様にスティーグを凝視する。


 勝てないのではないか?

 渾身の一撃を止めたこいつをどう殺せばいい?

 どうすればいい?


 オークキングは混乱の坩堝にあった。

 スティーグは無造作に剣を振るった。

 それで呆気なくオークキングの腕が落ちる。


「ぎぁあああああああ!!」


 オークキングは斬られた腕の根本を押さえる。

 二歩、三歩下がりながらスティーグを見る。

 そこで気がついた。


 この男は戦いだというのに向かってくる圧がない。

 怒気もない。

 殺気もない。

 表情も最初から変わらず自然体。

 なんの変化も見られない。


 オークキングはゾッとした。

 この男はなんの感情の変化も起こさないままで、生物を殺すことが出来る。

 オークには無い感情のまま殺す存在。

 オークキングは恐怖を覚えた。

 スティーグの強さよりもその在り方に恐怖した。


 だからオークキングはスティーグに背を向けて逃げ出した。

 こんな化け物と戦うのではなかったと後悔しながら。

 だが、この男がその逃亡を許す筈がなく、無情にも後ろからバッサリと斬られた。


「ぎょええぇーー!!!!」


 こうしてオークキングは絶命した。


「王が逃げ出して背中を斬られて終わるとか、締まらない最期だったな」

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