オークハウス
スティーグ達は先ほどの分岐地点まで戻って来た。
なので今度はこのまま直進する。
しばらくは真っ直ぐ伸びる一本道だった。
罠に注意をして進むが、やはりオークは罠を作らないらしい。
なんとなくオークは脳筋な気がする。
ゴブリンの方が頭脳派だ。
しばらく進むと階段が見つかった。
全員が顔を見渡してコクリと頷くとゆっくりと下りていく。
下の方から何やら賑やかな声が聞こえて来たので慎重に進む。
階段を下りて、ゆっくりと顔を覗かせるとそこはオークが密集していた。
五十体はいるだろうか。
かなり多い数のオークがわいわいと食事をしていた。
おそらくここが最下層。
ここにいるオークで全部だろう。
誰かがゴクリと喉を鳴らした。
シャルロッテが杖に魔力を灯し、ミューリが弓を構える。
前衛の生徒達は腰を落としていつでも飛び込める姿勢を取った。
シャルロッテとミューリは視線で合図を送り、同時に魔法と矢を放った。
命中。
同時に生徒達が飛び込む。
瞬く間に倒されるオーク達。
だが、今までの小部屋では数体のオークしかいなかった為、奇襲するだけで全て屠ることが出来たが、ここのフロアにはオークが多過ぎた。
スティーグ達侵入者を確認したオーク達は武器を取り応戦してくる。
セリスに向かって斧を振り下ろすオークの一撃を躱し、膝に蹴りを叩き込んだ。
痛そうにうめき、膝を折ったオークの頭蓋に更に一撃を加えて沈黙させる。
「ん!」
確かな手応えを感じ、次の標的に向かうセリス。
ステラは小刻みに左右に身体を振りながら、オークの目標を定めさせない。
通り過ぎる様に後ろに回り込んで腹に一撃。
呻くオークに容赦なくもう一撃加えて黙らせる。
「っし!」
ステラは更に加速する。
「シィ!」
シルフィーの連続突き。
斧は防御向きの武器ではない。
更に言えばオークは腕力はあるが武術に精通しているわけではない。
剣との立ち合いなど当然経験したことなどないだろう。
瞬く間にオークはシルフィーによって蜂の巣にされた。
「油断せずにいきましょう」
自分を戒めてシルフィーは剣を払う。
「くたばれやおらーー!!」
オークが大声で叫んで斧を振り下ろす。
普通ならこの斧を真っ向から受ける真似はしない。
しかし、あえてクレアは受けてたった。
ガキンと剣と斧がぶつかる。
オークもまさか受け止められるとは思っていなかったのか、驚きで顔が歪む。
「はあ!」
クレアは斧を押し返し、一瞬の間に剣を薙ぎ、オークを切り裂いた。
「・・・オークって人の言葉喋るんだ」
むしろそれが一番びっくりしたと思いながらクレアはオークに向かった。
シャルロッテとミューリは後方から遠距離攻撃を行なっていた。
攻撃し、時には牽制して皆んなをフォローする。
ミューリも生徒達の連携に上手く馴染んできた。
問題なさそうだ。
オークはそれ程頭は良くないが、ゾンビの様に目につく標的に群がるだけではない。
後方から支援するこの二人が厄介だと気づく奴も出てくる。
近接戦の生徒達を無視して、二人を倒そうとやって来たオーク達。
だが、ここにはそんな二人を護る守護神がいる。
「ぬん!」
アドルフが群がるオーク達を一刀の元に切り倒す。
アドルフは愛剣となったデュランダルを見て感嘆の声を漏らす。
「素晴らしい」
デュランダルを握りしめて戦いに没頭する。
全員が懸命に戦っている。
そんな中、一番後ろにいるこの男、スティーグはというと。
なーんにもしていなかった。
猫背になり、ポケットに手を突っ込み、欠伸までして早く終わんねーかなとか言いそうな感じで、半眼でぼけ〜と見守っていた。
オーク程度、百体いようと仲間達がどうなるものでもない。
だから、これはある意味仲間達を信頼してのことだといえるが、このだらしなさはどうにかならないものか?
気がつけば戦闘はあらかた終了していた。
クレアが最後の一体を斬り伏せて辺りを見渡す。
五十以上いたオークは全て倒されていた。
「終わったね」
「まあ、あたしらならこれくらい楽勝っすよね」
ステラが首の後ろに手を回し、快活に笑う。
空気が弛緩した正にその瞬間。
「ぐおおおぉおー!!!!」
奥の方から大音量で声が響いた。
びくりとしてそちらを見る少女達。
ズンズンと大きな足音が聞こえて来て現れたのは。
「・・・オーク、キングっ」
ミューリが苦々しく呟く。
基本的にオークと体つきは同じだが、大きさが違う。
オークの身体は百八十から二百センチ。
このオークキングは四メートルはある。
「やっと出たわね」
最後の敵を前にミューリは目を鋭くした。




