救助
慎重に、しかし、出来るだけ急いで先を急ぐ。
急げばそれだけ救えるエルフが増えるからだ。
と、ここで道が分岐した。
果たしてどの道が正解だろうか?
「さて、どうする? 分かるやつはいるか?」
スティーグが尋ねるとステラが床を指差す。
「引きずった後が右に続いてる。まだ新しいし、こっちに行ったんじゃない?」
引きずった後。
それがエルフが引きづられた後だと思ったのだ。
確かめる様にステラはスティーグを見た。
スティーグは頷く。
「よく見たステラ。俺も同じ意見だ」
ステラは誇らしそうに笑う。
左右に分岐している道をスティーグ達は右へと進む。
もしかしたら左にもオークはいるかも知れないが、スティーグ達の目的はエルフの救助である。
先ずは救助を優先する。
進んでいくとミューリの耳がピクリと動いた。
「女の人の悲鳴が聞こえる!」
ミューリが駆け足になり、それに少女達が続いた。
走って行くとこれまでで一番大きな部屋が見えた。
そこではオークがエルフの服を今にも破いていかがわしい事をしようとしている正にその瞬間であった。
「この!」
怒りに燃えるミューリは矢をつがえて射る。
見事その矢はオークの頭蓋を撃ち抜いた。
そして、生徒達が殺到する。
オークは何事だと、慌てるが、少女達は武器を振るい、オークを次々仕留めて行く。
対してオークはまさか侵入者がやってくるなど思いもよらなかったのか、武器すら携帯していない。
太い手を伸ばすが、むざむざと捕まる少女達ではない。
クレアは伸びるその手を切り落とした。
悲鳴を上げるオーク。
シルフィーがオークの首を飛ばす。
一瞬の早技である。
オークはなす術もなく倒された。
あっけに取られたエルフ達だったが、ミューリがいたことで、安心したのか皆んなミューリの元に駆け寄る。
「ミューリ!」
「助けに来てくれたの?」
「ありがとう!」
ミューリは頷く。
「捕まっている人はこれで全員?」
「生きてる人はこれで全員だと思う」
暗に男達は皆殺されたと言った。
ミューリは苦々しく顔を歪める。
その後でかぶりを振った。
「生きててよかった。さあ、ここから出ましょう」
「うん。あの、この人達は? 人間、よね?」
尋ねられて、ミューリは頷く。
「そう、知ってるでしょう。スティーグよ」
「あ、ああ! 前に里にきた」
「そう。彼らがいたからここまで来れた。私一人だったら間に合わなかった思う」
暗にお前達が今無事でいられるのはスティーグ達のおかげだから、人間だからとか色眼鏡をかけずに感謝しろと強めに言っておく。
これが通じたのか、女性エルフ達は一同、ぺこりと頭を下げた。
「ありがとう」
「私たちが無事でいられるのはあなた達のおかげよ」
照れる一同。
どうでもよさそうにしているスティーグ。
「じゃあ、あなた達はここから出て。オーク達は倒して来たから安全だと思う。ダンジョンの入り口に仲間が二人待機してるから合流して」
「分かった。ミューリ達は?」
「ここで叩いておかないとまた同じことが起きる。オークを壊滅させるわ!」
強い言葉に息を呑む女性エルフ。
本当にそんなことが可能なのか?
「オークはまだ大勢残ってるよ?」
「大丈夫。スティーグ達はとっても強いから」
ミューリは拳を握って力説した。
まあ、これまでの道中で、それ程苦戦はしなかったが。
「分かった。武運を祈ってるわ」
救出したエルフは出口に向かい、スティーグ達は更に奥に進む。




