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オークダンジョンアタック

 スティーグ達は息を潜ませ、慎重に足跡を辿る。

 いつオークが飛び出してくるとも限らない。

 五感を張り巡らせて歩を進める。


 緊張の進行が一時間にも上る頃、先頭を歩いていたスティーグがピタリと止まった。


「しゃがめ」


 全員が膝を折り、腰を落とす。

 そして、ゆっくりと前方を見る。


 オークが二匹いる。

 大きな洞窟が口を開けている前に立っている。

 多分、見張りのつもりなのだろう。


「あの洞窟、ダンジョンすかね?」


「多分な。巣になってるんだろう」


 ステラの疑問にスティーグが答えた。

 ダンジョンが特定のモンスターの巣になっていることはよくある。

 今回もそのケースだと思われた。


 さて、速やかにこのダンジョンを攻略しなければならない。

 今この時にもエルフの女性達は酷い目に合っているかもしれないのだ。

 事は急を要する。


「ミューリ。お前は右のを頼む。俺は左だ」


「分かった」


 ミューリは弓を引く。


「カウントに合わせろ。三、二、一。やれ」


 ミューリによって放たれた矢が真っ直ぐオークへと飛んでいき、眉間に突き刺さった。

 同時にもう一匹の方の眉間にもスティーグが指先から放たれた雷光が突き刺さる。

 一瞬で制圧した。



 スティーグ達はゆっくりと茂みから出てきて倒れたオークに近づく。

 死んでいることを確認し、他にも仲間がいないかを探った後、洞窟の入り口を見つめる。


「さて、行くか。ミラ、お前はここで待ってろ」


「・・・分かったわ」


 ついて行きたくはあるのだろうが、自分は何の力もないことは理解しているので、ミラはコクリと頷いた。


「アティシア。お前はミラを守ってくれ。外に出ているオークがいないとも限らない」


「分かりました」


 勿論こんな所にミラ一人を残しては行かない。

 アティシアを護衛につける。


「よし、それじゃあ行くぞ」


 スティーグ達のダンジョンアタックが開始された。




 ダンジョン内は明るかった。

 光苔が撒かれているのだろう。

 火を点けると目立つのでこれはありがたい。


 ダンジョン内は水気がなく、乾燥している様だった。

 足跡を立てない様にゆっくり進む。

 オークはゴブリンほど器用ではないので、罠を作るといった発想がないとされている。

 一応念のためにだが、罠にも注意をはらいつつ、歩を進める。


 いつオークが現れないとも限らないので慎重に、あまり喋らずにスティーグ達は歩く。

 しばらく進むと小部屋のようになっている広さの空間が見えた。

 さっと、身を隠して中を窺うとオークが数匹いた。


 ミューリは弓を構える。


「先生。今度はわたくしが」


 シャルロッテが名乗りを上げたので、スティーグは任せることにした。

 目で合図をし、シャルロッテとミューリは同時に攻撃を行った。

 矢と氷が同時にオークに突き刺さる。

 すると、残りのオーク目掛けて、生徒達が殺到した。


 まず、事態がまだよく把握できていないオークにセリスの拳がうなりを上げる。

 叩きのめされたオーク。

 残りのオークをステラとシルファーが素早く切り伏せた。


 戦闘時間わずか数秒。

 鮮やかな勝利である。


「あたしの出番なかった」


 あははと笑いながらクレアは頭の後ろに手を回した。


「よし、じゃあ進むぞ」


 スティーグは頷くと更に奥へと進んでいく。




 それからもいくつか小部屋は見られ、オークは数匹居たが、生徒とミューリの手で速やかに制圧されていった。

 ちなみにこの間、スティーグは全く働いていない。

 まあ、それでなんとかなっているからいいのだが。


 何匹かオークを倒して、オークが敵ではないと確信した女性達は気が大きくなったのか、歩きに迷いがなくなった。

 これは自信として受け入れてもいいのだが。


「慎重さがなくなってきたな。お前ら自惚れるなよ」


 こういう所でスティーグがしっかりと釘を刺せてくる。

 ギクリとした少女達はコクリと頷いて進むのだった。


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