オークか
オーク
身長は人間よりもやや大きめで、豚の様な顔をしており、二足歩行で歩くモンスターである。
膂力が強く、武器に棍棒や斧を使う。
ある程度集団で行動する為危険度はC級。
上位種がいれば更に上がる。
性欲が強く、他種族であろうとお構いなしに捌け口にする。
特に何故かエルフの女性が大好きな面を持つ。
一説にはオークは元々エルフがなんやかんやで色々あって変異してしまった姿などと言う説があるとかないとか。
まあ、そんなわけでエルフ、特に女性のエルフには天敵の様な存在。それがオークである。
「オークが女性を攫ったって言うの!?」
ミューリは驚愕して叫ぶ。
やはり只事ではなかった。
スティーグ達に緊張が走る。
「あなたが里を出て、しばらくしてから」
エルフの女性は語る。
少し前に狩りに出た仲間が帰らなかった。
心配になったエルフは捜索隊を編成。
仲間の捜索に出発した。
そして出くわしたのだ、オークの集団に。
戦闘になったが、力及ばず敗走となり、命からがら逃げ出して今に至る、ということらしい。
「オークに敵わなかったなんて・・・」
エルフの戦闘能力は高い。
弓も魔法も一級品である。
その彼らが敵わなかった。
これは結構衝撃的な事実である。
「上位種がいたの。オークキング」
「オークキング・・・」
オークの上位種であり、通常のオークよりも数段手強い相手で高ランク冒険者といえども決して油断出来ない強力なモンスターである。
エルフを退けたことからもその力は測れるというものだ。
「みんなは!?」
「女は連れて行かれた。男は・・・分からない」
分からないと言いつつ、内心は分かっていると言った口調。
女は性欲の捌け口に出来るが、男に利用価値などない。
生かしておく理由もない。
ミューリはブルブルと震えていた。
恐怖ではなく怒りで。
だが、ここで怒りに任せて動いてはいけないことくらいは分かっている。
どう動く?
ここから里に帰って装備を揃えて、救助隊を編成して・・・時間がかかる。
その間にも女性達は酷い目に・・・。
ミューリは目を瞑り、カッと見開く。
「スティーグ。力を貸して」
「分かった」
スティーグは二つ返事で了承した。
スティーグはクズ野郎だが、恩義には報いる男だ。
恩人の頼みは大抵きく。
それが命の恩人であるミューリならば尚更のことだ。
「「「むぅ」」」
他の少女達は複雑な思いを抱きながらも嫌とは言わない。
むしろすぐに助けに行こうという心づもりでいた。
普通の人よりも大きな力を人の為に使う。
それが出来ずして何が力か。
「あなた達も悪いわね」
「構いません」
「早く行きましょう。女の人達が酷い目にあう前に」
クレアとシルフィーが言った。
「よし、じゃあ行くか。案内できるか?」
「え、ええ」
逃げてきたエルフはぎこちなく返事をした。
スティーグは以前にも里に来たことがあるので、顔は知っている。
しかし、やはり人間ということもあり、どう接していいのか分からずに戸惑っている様子だ。
女性エルフはゆっくりとスティーグ達を案内した。
女性エルフの案内でスティーグ達は森の奥へと進む。
深い緑が辺りを包む。
気がつけば、鳥の囀りは聞こえなくなっていた。
少し不気味だ。
「ここでオークと接触したの」
案内された場所には無数の足跡があった。
明らかに戦闘があった後だ。
靴の足跡と、大きな裸足の足跡。
血痕。
そして、死体だ。
「うっ」
ミラが思わず口に手を当てた。
透かさずスティーグがミラの視界を遮る。
「あまり見るな」
「う、うん。ごめんなさい」
やはり、男のエルフは殺されていた。
無惨な死体に皆顔を覆う。
「足跡はこっちに続いているな。数人分の足跡だ。見失うこともないだろう」
スティーグはしゃがんで足跡の続いている方向を見つめる。
「案内はここまででいい。お前は里に戻ってこいつらを里に連れて行け。このままって訳にはいかないだろう」
確かに、この無惨な死体をこのまま放置するのは可哀想だと思った。
「分かった。ミューリ、気をつけてね。あなた達も」
エルフの女性はそう言って走り去った。
スティーグ達は足跡の続く方向へと歩き続けた。




