死闘の爪痕
「何? ここ? ・・・」
一行はポカンと口を開けた。
その光景に目を奪われたのである。
今まで草の生えた平野だったのに、急に草が見当たらなくなり、岩肌が剥き出しになった。
所々、岩が隆起し、何か抉れた跡があり、それが遥か先まで続いている。
まるで、そう、巨大なブレスで大地が抉られたような。
あまりにも巨大なクレーターの後。
一体何が落ちたのだろう?
そして、大の男の大人が寝転がっても余るほどの巨大な足跡らしきもの。
これは・・・?
「お兄様、まさかここは?」
「そうだ。ここが俺と神獣が戦った場所だ」
「・・・ここが」
あまりにも凄惨な戦いの爪痕。
一体どれだけ激しい戦いが繰り広げられたのか、想像も出来ない。
これが神との戦い。
戦っただけでこれだけ地形を変えてしまった戦いがここで起こったのだ。
「あの時は天変地異が起こったかと思ったわよ。不定期に地面は揺れるは、轟音は鳴り響くは、光だすはでね」
この世の終わりだと思ったとミューリは言った。
確かにこれだけ凄惨な現場を見れば然もありなんといった所か。
スティーグは思い出す。
あの思い出したくもない死闘を。
まだ慣れない能力を駆使して懸命に戦った。
死んだと思ったことも何度もあった。
むしろ、生きていたことが奇跡的だ。
今でも夢に出るし、思い出したくない過去の出来事。
「スティーグ」
ミューリは神妙な顔でスティーグを見た。
「ありがとう。世界を救ってくれて。全てのエルフを代表してお礼を言うわ」
ミューリはゆっくりと頭を下げる。
スティーグは居心地が悪そうに顔を歪めた。
頭を下げてもらうことには慣れている。
かつては王族だったから。
だが、今は違う。
普段偽悪的に振る舞っているだけに、こんなに正面から礼を言われると落ち着かない。
「気にするな。これは俺の義務だ」
「でも」
「こっちこそありがとな。あの時助けてくれて。あのままだったら俺は死んでた。こうしていられなかったからな。感謝している」
スティーグもミューリにお礼を述べた。
あの時、スティーグは満身創痍でエルフの森まで辿り着いたがそこで力尽きた。
ゆっくりと死んでいっただろう。
それを助けてくれたのがミューリだ。
エルフにとって人間は歓迎すべき種族ではない。
反対も当然あったはずだ。
それを押し切って助けてくれた。
感謝しても仕切れない。
「「「む〜〜」」」
なんだか二人がいい感じになっている。
他の少女達は頬を膨らませてぷんすこである。
「わ、私も人類を代表して感謝します」
「あ、ずるいですわシルフィー先輩。わたくしが人類を代表して」
「あ、あたしも感謝してますよ!」
「クレア先輩押さないで。感謝はあたしがしておきますから!」
「感謝」
生徒達は我先にとスティーグに感謝を述べた。
というか、二人のいい感じを消し去りたかった。
「騒がしいな。ったくよぉ」
スティーグが嘆息して、ミューリが苦笑した。
「おら、進むぞ。エルフの森までもう少しだ」
スティーグ達は更に進む。
荒れ果てた大地を突っ切り森の入り口に。




