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エルフの里へ

 ガラガラと車輪の音が響く。

 ドワーフの洞窟を出発して数日、スティーグ一行は今日も馬車に揺られていた。

 ドワーフの洞窟を出てからは特にこれといったトラブルもなく、順調に旅は続いている。


 目的のある旅ではあるが、焦っても仕方がない。

 スティーグは気を楽に旅を楽しんでいた。

 まあ、あまり能天気という訳にもいかないが。

 竜の里に住まう神竜が何故錯乱したのか、その原因の究明と、出来れば神竜を鎮めること。

 それがスティーグに任された任務。


 竜はとても力のある種族。

 その竜の一大事はそのまま世界の均衡に関わる大事である。

 遠い地のことと楽観視していると、もしかしたら人間社会にも影響を及ぼす可能性もある。

 解決できるならば解決したい案件だ。


 そして、これには世界の調和を乱す存在が関与している可能性がある。

 世界の調和を乱す存在、即ちガガドーム。

 あいつが関与している可能性もあるのだ。

 スティーグとしては調べてみたい。


 何よりだ、スティーグは金が欲しい。

 それはもう切実に欲しいのだ。

 だってスティーグは金欠だから!

 宝石をたんまりくれるというのだから、この仕事、何が何でも成功させなければならないのである。


 意気込みも新たに、スティーグは馬の手綱を握った。

 視線を前に向けると平原の向こうに鹿の群れを発見した。

 スティーグがこの時思ったのは「食い物」である。


「ミューリ」


「何?」


「見えるか? 鹿の群れがいる」


「ああ、本当ねぇ」


 スティーグは勿論だが、エルフは目がいい。

 スティーグの指差した先にある鹿の群れに確認した。


「一匹でいい。今日の夕飯に仕留められるか?」


「お安い御用。任せて」


 ミューリは弓を手に取ると馬車を飛び降り、駆け足でいってしまった。


「先生。狩りならば私達に任せてくれても」


 シルフィーが自分の胸に手を当てて志願した。


「お前らを信用していない訳じゃない。だが、動物の狩りは狩人こそが専門だ。ここは餅は餅屋に任せよう」


「そう、ですか」


 言っていることは正論なので、シルフィーは渋々自分の意見を引っ込める。

 スティーグは頷くと、ペースを崩す事なく馬を歩かせた。


 しばらく進むと見事鹿を仕留めたミューリがVサインでスティーグ達を迎えた。





「にーくにーく!」


 ステラが嬉しそうにナイフとフォークを鳴らして喜んでいる。

 晩御飯はミューリが仕留めてくれた鹿を使ったジビエ料理だ。


 解体はスティーグとミューリが行い、調理はスティーグが担当する。

 ここはシンプルにソテーにすることにした。

 美味そうな音が辺りに響き、皆喉を鳴らしたり腹を鳴らしたりと忙しい。


「おら、出来たぞ」


「うひよ〜! いっただっきまーす!」


 ステラはかぶりつくように肉を頬張った。

 他の面々も美味しそうに食べている。


「美味しいわー。鹿さんに感謝しつつ頂かないと。ありがたいありがたい」


 ミラは感謝を口にしながら肉を口に運んだ。


「そうよー。自然に感謝しつつその恵みをいただく。それを忘れちゃダメなんだから」


 ミューリは大きく頷きながら言った。


「エルフの里には後どれくらいかかる?」


 アドルフが尋ねるとミューリは水をくぴっと飲んで答える。


「明日にはエルフの森に着くと思うわ」


「そうか」


 アドルフは頷いた。

 竜の里まではまだまだ距離がある為、取り敢えずの目標はエルフの里に定めてある。

 そこに間も無く着くと聞かされて少しほっとしたアドルフである。


「その前に面白いものが見れるわ」


「面白いもの?」


 アドルフを含む全員が目を開く。

 いや、全員ではなかった。

 スティーグだけは実に嫌そうな顔をしている。


「何か知っているかスティーグ?」


「あー、まあ、明日になれば分かるだろう」


 そう言ったきりスティーグは口を閉じた。

 あまり進んで話したいことではなさそうだった。

 皆は不思議がったが、明日になれば分かることとして、それ以上追求しなかった。


 そして、明日になり、一行はその光景を目撃することになる。


お待たせしました。

連載再開します。

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