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「はじめ――」

「ごっぼぉおーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

「「「え?」」」


 合図が聞こえた瞬間。俺は突進を開始し、瞬時にアドルフの間合いに入る。そのままみぞおちにアッパーカット気味のボディーブローを叩きこんだ。

 反応できなかったアドルフはまともに食らい。舞い上がり、体感ではゆっくりとゆっくりと宙に浮き、そして落ちた。


「げほぉ!げえぇーー」


 みぞおちにまともに食らい。ごろごろ転がりながら苦しむアドルフ。俺は追撃で連打を叩き込んでいく。


「ちょ、ちょっと待て、げほ、ごほ、うげ」

「す、スティーグ殿。それまで! それまでですぞ!!」

「ん? まだ始まったばかりだぞ」

「モウタタカエルジョウタイジャナイデショーーーーー!!」


 元帥は顔を赤くして絶叫しながら止めに入ってきた。

 しかし。


 ボコボコボコ。


「いや、この手のタイプは後で根に持つ。ネチネチ何かを言ったり、何度も懲りずに挑戦して来たりする。それを防ぐ方法はただ一つ」

「・・・なにをするつもりです?」

「圧倒的恐怖を植え付ける。二度とは刃向えないほどの、次刃向えば確実に死ぬと感じるほどの恐怖を」


 そんな訳で俺はボコるのを止めない。

 ボコボコボコ。


「ソコマデスルコトナイデショーーー!!」


 キンキン声で叫ぶ元帥。仕方ないので攻撃を中断する。

 まあ、鼻の高かったイケメンが、いい感じに腫れてきているので良しとしよう。

 お歴々はアドルフを担ぎ上げ、家に戻った。

 ちなみにミラは俺の勝利を疑っていなかったようで、家に残って救急箱の準備をしていた。



*********


 唸りながらのびているアドルフを治療するミラ。

 それを横目で見ながら元帥らは項垂れていた。勝てるとは言わないまでも、もう少しは善戦すると思っていたのだろう。それが、一瞬で決着がついてしまったのでは仕方のないことかもしれない。とはいえ、決してこの男が弱いわけではない。むしろ人間レベルでは十分強い。

 もし不意を突かずにまともに戦ったら、もう少し長引いたかもしれない。


「それでは、どうしても軍に加わる気にはなりませんか?」

「くどい。もう来ないでくれるか」

「しかし、アドルフがあの有様では、軍の士気にも関わります」

「それはそっちの問題だろう。それに喧嘩を吹っかけてきたのはそっちだぜ。一度は断ったのにさ」


 正にその通りなので、がっくりと肩を落とす元帥。取りつく島なしと思ったのか、さすがにあきらめムードが漂う。

 よしよし、このまま帰ってくれ。


「よろしいですかな。スティーグさん」


 これまでずっと黙っていたモノクルをかけた男が、初めて口を開いた。実はずっと気になっていたが、このまま退散してくれればそれでいいと思っていたので黙っていた。ここで動くか。


「私は国王軍直轄、人材発掘開発育成機関長官ベネデットと申します」

「長いな。スカウトマンでいいじゃん」

「先の大戦で我軍は人材不足なのですよ。腕の立つ人材がいればスカウトする。あなたの場合は元帥が直接参ったわけですが、本来であればこれは私の仕事です」

「ほーん」

「スティーグさんとはもっと早くにお目通りしたかったのですが、遅れてしまい申し訳ない」

「・・・・・・」


 俺はまともに取り合わなかった。こいつは狸だ。その眼は軍隊気質の元帥らとは違う。もっと陰湿な、貴族などの魑魅魍魎らと渡り歩いてきた者特有の目だ。どんなからめ手で来るかわからない。


「私は兼任で軍直轄の育成機関、バレンティア学園の理事を務めているのですが」


 何を言うつもりだこいつ・・・


「単刀直入にお願いします。教師になりませんか。スティーグさん」

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