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クレアの真価

 開始と同時にクレアが攻める。

 得意の上段からの振り下ろしだ。


「はあ!」


 シルフィーはこれを受け流すようにしながらも細身の剣でしっかりと受け止める。

 そのまま剣を滑らせ、クレアに迫る。


「く!」


 クレアは体を回し、遠心力をたっぷり乗せた横薙ぎのフルスイング。たまらずシルフィーはこれを間合いの外まで避けて回避した。


「やりますね。隙の多い大剣を器用に使う」

「まだまだこれからです」


 クレアの次の手は大剣の突き。

 シルフィーはこれを横に避ける、追随するように横に薙ぐクレア。これも読んでいたか、シルフィーはダッキングして躱してしまう。

 しゃがんで懐に迫ってきたシルフィーにクレアは蹴りを放つ。

 この状態で避けることができないシルフィーは片手でガード、クレアは数歩下がって距離を取った。


「本当に、その剣でうまく立ち回る」

「自分の武器の長所も短所もよく理解していますよ」

「ならば、今度は正面から」


 シルフィーが仕掛ける。

 先ほどクレアが仕掛けた仕返しとばかりに突きを繰り出す。

 だか、これは。


「速い!」


 カカカカカカン!!!


 大剣のクレアの単発の突きではなく、細身の剣の長所を生かした連続突き。

 クレアは大剣の腹の部分でこれを受けるが、いつ終わるともしれない連続の突きが容赦なく続く。


『シルフィー選手の怒涛のラッシュ。クレア選手なんとか大剣を盾にして受けているが、この状態はいつまで続くのか!?』


「それなら!」


 クレアはシルフィーの突きだすインパクトの瞬間に盾代わりしていた大剣を前に突出し、その衝撃で長剣を弾く。

 攻撃が一瞬途切れたところに大剣を振り上げる。


「なんの!」


 シルフィーも弾かれた剣の軌道を戻し、クレアの大剣と交差する。


 ギイン! ギイン! ギィンー!


 何度も剣戟が続く。

 シルフィーは細身の剣を巧く使い、衝撃を逃がしながら、受け続けている。

 何度も剣が交差し、今は一歩も引かない鍔迫り合いが始まった。


「やりますね。私とここまで打ち合える人間は三年にもいません」

「あたしがここで簡単にやられることは先生の恥じです」

「なるほど。信頼しているわけだ」

「困った人ですけど、ね!」


 クレアは剣を弾き、一旦距離を取る。

 ここで息を止めていたように見守る観衆から大声援。


『こ、これは見応えのある素晴らしい試合になってきました。どちらも剣士として一歩も譲らす! 剛剣を振るうクレア選手。しなやかに長剣を操るシルフィー選手。正に柔と剛。本当に見事な試合です』


 声援を受け、二人は再び切り結ぶ。

 お互いの武器の特性をよく理解し、攻防を繰り返している。

 剣戟はいつ終わるともなく会場に響く。


 ガキン! ガイン! キィン!!


 剣戟は続く。

 観衆は再び息を止め、会場を見守る。

 くくく。楽しいか? クレア。


(楽しい!)


 クレアは笑っていた。

 特別クラスの誰もが自分とはタイプが違う。剣を交え、火花を散らし、鍔迫り合いをするようなタイプの人間はいない。

 稽古をつけてもらっている俺は規格外だ。

 これまで、自分と同じ土俵で。

 今日まで自分と同じレベルで打ち合える人間をクレアは知らない。


(もっと戦っていたい。もっと長く。この人と!)


 何度目かの切り結びを終え、二人は距離を取る。

 これまでお互いにクリーンヒットがない。

 だが、徐々に疲れが出てきたころだ。

 拮抗は直に崩れる。


「嬉しそうですね。クレアさん」

「はい! 先輩と戦えて本当に良かったです」

「私もあなたと戦えて本当に良かった。正直この学園には敵はいないと慢心していました。ですが」


 シルフィーは正眼に構え、クレアに迫る。


「そろそろ終わりにします!」

「まだ終わりたくない! あたしはあなたに打ち勝ち、もっと強くなりたいんです!」


 二人の剣が再び交差する。


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