これから
電撃を食らいながらもシャルロッテに体当たりしたセリス。
そのまま二人は抱き合うように倒れ、全く動かない。
『シャルロッテ選手、セリス選手どうしたのでしょうか。二人とも動きません。審判が確認しております。少しお待ちください。え~、はい。はい。気絶? 二人共?』
会場内がざわつく。
『どうやら二人共気絶してしまっている模様です。と、言うことは~! これは珍しいTKO! 引き分けです。えー、この武際のルール上、引き分けの場合は両者失格となります。なんという幕切れでしょう』
会場内がさらにざわつきが増す。
「うおおおおおすげーーー!」
「二人共すごかったぞー」
「再戦させろよー」
そして、ここ貴賓室にも落ち着かないのが二人。
「あ、あたし見てきます」
「あたしも」
クレアとステラが慌てて貴賓室から出ていく。ミラもそれを追う。
一人残った俺はゆっくりと目を閉じ、ふかふかの椅子に深く沈んみこむように座った。
******
「・・・あ」
シャルロッテが目を覚ましたそこは会場内の救護室だった。
どれくらい気を失っていたのだろう。日は傾き辺りは赤く染まっている。
「わたくしは、負けたのですね・・・」
「ちがう。引き分け」
独り言のつもりだったが、返事が返ってきた。
声は自分のすぐ隣からだった。横を向くとセリスがベッドで横になっている。
「セリスさん! 引き分け、ですの?」
「二人共気を失った」
セリスの方が少し早く目が覚めたので事情を知っていた。
お互いの必殺技を食らい、気を失ったこと。ルール上お互い、一回戦敗退であることなどをシャルロッテに伝えた。
「はぁ。まさか、一回戦敗退とは」
情けない。シャルロッテは少し泣きそうになった。
「そうでもない。さっき先生来た」
「先生が!」
聞き捨てならない単語にシャルロッテががばっと起き上がる。
全身が悲鳴を上げ、激痛が襲う。
「あぅ!」
「無理しないで」
体は相当ダメージを負っているようだ。しかし、今は体のダメージよりも精神的ダメージがシャルロッテを支配する。スティーグが来たということは自分の寝顔をしっかり見られたということだ。シャルロッテの顔はみるみる赤くなる。
「せんぱい。顔真っ赤」
「ゆ、夕日のせいですわ」
「先生、言ってた」
「・・・なんと、言っていました?」
「『がんばったじゃねーかよ』って」
シャルロッテは瞬きをした。ぶっきらぼうでもなんでもあのスティーグに褒められたのだ。
それがシャルロッテには何よりも嬉しかった。
「そう。わたくし達はそういう試合をしましたのね」
「せんぱい」
セリスはシャルロッテに拳を突き出した。
「次は、負けない」
「セリスさん。こっちこそ、ですわ」
セリスの拳にこつりとシャルロッテも拳を当てる。
二人はそれから笑顔で見つめ合った。
「これからです。これからわたくし達はもっともっと強くなりますわ」
「うん」
こうして、シャルロッテとセリスは一回戦敗退をした。
しかし、それでも二人にはもう後悔はないだろう。
それだけ貴重な経験を二人はしたのだから。




