ステア快進撃
シャルロッテは控室で一人、目をつむり精神統一をしていた。
セリスとの戦い。何も思わないと言えば嘘になる。
しかし、それ以上に喜びもある。
自分の成長を確かめるにはそこいらの生徒では測れない。
セリスならば自分の成長を確かめるには申し分のない相手。
「わたくしは少しでもあなたに近づけたでしょうか?」
誰に聞かせるわけでもなく一人ごちた時、会場から今日何度目かの歓声が聞こえた。
「今は誰が戦っているのかしら? クレアさんはもう終わったでしょうし、ステラさん?」
******
『長らくお待たせいたしました。Cブロック第三試合。特別クラス双剣ダガー使い、ステラ選手の登場です!』
歓声が起きる。
クレアが会場を温めてから、少し時間が過ぎていたから丁度良いだろう。
ステラは注目されてまた調子に乗っているのか、両手を挙げて歓声に答えている。
『先ほど行われた特別クラスのクレア選手は素晴らしい試合を見せてくれました。このステラ選手はまだ一年生ですが、いったいどんな試合を見せてくれるのか非常に楽しみです。対しましてこちらはオオバロッコ選手。両手持ちの剣を使用します。さあ、両者前にお願いします』
二人は競技場中央に向かい合った。
ステラは軽くステップを踏んでいる。調子はいいようだ。
「ひょう! 君かわいいね。特別クラスはかわいい子ばっかりだな」
「口説いてるんすか?」
「いやいや。特別クラスが顔立ちのいい子ばかり集まってるって噂は本当なのかな?」
(あー、そうゆうこと。この人クレア先輩の試合観てないのかな?)
対戦相手はステラの思考を先読みしたように、にやりと笑う。
「クレアって子は二年生だし。そもそもあの子は成績が良かったんだろ? 君はどうなのかな?」
「じゃあ、見せてやりますよ。特別クラスの力を」
『おやおや~。どうやら早くも二人の間では舌戦が繰り広げられているようであります。それでは待ちきれない方々もいるようですので、始めてもらいましょう。試合~はじめぇ!』
ステラが開始と共に飛び出した。
自慢の脚力を生かし、一気に対戦相手の間合いに入る。
(うお。この子速い!)
対戦相手は慌てて剣を構えるが、ステラが速いのは足だけではない。剣を振る手数は更に速い。二刀のダガーが次々と繰り出され、対戦相手を容赦なく襲う。
「くわああ! 速い!」
『おおおおお! これはすごいぞステラ選手。開始早々から怒涛のラッシュ~。オオバロッコ選手なす術がありません。防戦一方』
ステラの連撃に対戦相手はかなり戸惑っている。ガードが間に合わず、いくらかは当たっているようだが、防御魔法が会場に張り巡らせてある為、決定打にはなっていない。
(く。でも、少し慣れてきたぞ。この子、速いけど動き自体は単調だ)
ステラはリズムカルに同じような攻撃を繰り返している。徐々に対戦相手は攻撃を捌けるようになっていく。
(よ、よし。なんとかこの攻撃を凌いで、反撃だ)
だが、ここでステラは急に攻撃パターンを変えてきた。
単調な動きから不規則な動きへと。
「え? ちょ、ちょっと!?」
俺が散々ステラの単調な動きを注意してきたんだ。
改善されていない方がおかしい。
しかし、対戦相手にはたまったものではないだろう。
これまでずっと単調な動きに慣れてきたこの対戦相手に。
「う、うわーーーーー!!!」
この動きがついてこれるか?
『すごいぞステラ選手の連続攻撃。オオバロッコ選手の両肩、胸に攻撃がヒーット! さすがにこれは耐えられない。オオバロッコ選手崩れ落ちる~!!』
ステラはすでに剣を収め、バク中などのパフォーマンスをして会場を沸かせていた。
「どうっすか? 顔で選ばれた特別クラスも結構やるもんでしょう?」
一拍遅れてステラの勝利宣言がなされ、試合は終了。大いに盛り上がったのだった。




