二人の生徒
シャルロッテとセリスはしばらく見つめ合っていた。
思えばこの二人は不思議と馬が合っていた。
シャルロッテはセリスの面倒をよく見ていたし、セリスもそんなシャルロッテを慕っていた。
そんな二人が戦おうとしている。それも一回戦から。
シャルロッテがふいにセリスに笑いかけた。
「楽しみですわ」
「・・・うん」
それだけ言葉を交わすとシャルロッテはトーナメント会場を後にした。
これ以上言葉はいらない。その背中はそう語っていた。
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『さあ! 始まりました第15回バレンティア学武際。実況はこの私、放送委員のマリアンヌがお送りします』
拡散魔法が使われているのか、実況の声が闘技場に響き渡る。
会場には歓声がこだまする。
うちのガキどもの最初の試合は第二試合のクレアだ。
俺は二部屋ある特別貴賓室の一つを用意してもらい、ミラと二人で観戦していた。
ちなみにアドルフは来客した元帥らと共に闘技場の反対側の貴賓室から観戦している。
『では、記念すべき第一試合を開始します。前例に従い武器は真剣を使用しますがご安心ください。今日の為に宮廷魔道師の皆さんが、可能な限りの保護、強化魔法をかけて下さっています。真剣で頭を斬られてもたぶんコブくらいで済むはずです。たぶん』
なるほど。そんな保護がなされていたのか。まあ、学生の大会だし、死人が出るのは不味いだろうな。
その記念すべき第一試合はひどくつまらない試合だった。
俺からしたらお遊戯にしか見えない。これならばクレアは二回戦も楽勝だろうな。
『続きまして第二試合。お待たせしました今大会のダークホース。スティーグ先生の指導する四人の特別クラスの一人。大剣使いのクレア選手です』
つまらない第一試合が終わり、ようやくクレアの試合が始まった。
歓声と拍手が会場を埋め尽くす。
クレアは落ち着いた様子で競技場中央に足を進めた。
『対しますはハンマー使い、アバホーン選手。前大会では三回戦まで進んだ猛者ですが、今回はどうか?』
両者は向き合い、試合開始の合図が響き渡った。
「特別クラスの力。見せてもらうよ?」
「ええ、見せて差し上げますよ」
珍しく挑発的な口調で話すクレア。
対戦相手の生徒はその挑発に乗り、ハンマーを振り回し、クレアに振り下ろした。
ガチーン!!
奇しくも重量武器同士が火花を散らす。
対戦相手はハンマーを振り回し、クレアはそれを器用に大剣を立てて攻撃を受け流している。
一瞬、対戦相手の攻撃が泳いだところで、クレアは反撃に転じた。
「はあああ!!」
ガチーーーーーーーーーン!!
先ほどまでよりも遥かに大きな音が闘技場に響く。
ハンマーは防御には不向きな武器、大剣に弾かれ大きく体が流れる。
そこにクレアは上段から勢いよく大剣を振り下ろす。
「ま、待て、ストップ。ストーーーップ」
手を前にかざし、ストップを呼びかける対戦相手。振り下ろす寸前でクレアはぴたりとクレアは剣を止めた。
「ま、参った」
静寂の後に大歓声が闘技場を支配した。
『な、なんという剛剣! 上級生のアバホーン選手を一蹴! 重量武器対決を制したのはクレア選手。恐るべき剛剣。恐るべし特別クラスぅ!!』
クレアは、はにかみながら手を上げて歓声に応えた。
ミラは嬉しそうに拍手をしている。
順当すぎてつまらないな。
しばらくは暇な試合が続きそうだ。
さて、次はステラの試合か。




