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学武際開幕

 バレンティア学武際はこの学園最大のイベントらしい。

 学園外からも一般市民はもちろん、軍のお偉いさんも見学にやってくる。

 大会当日。

 その日はよく晴れていた。

 朝早くから開催を知らせる花火が打ちあがり、大いに盛り上がっていた。

 大会が開かれる会場は俺たちがいつも使っている、特別クラスとなっているあの闘技場だ。

 会場は全部で三つあり、学年別に分かれている。一番設備の良い特別クラスの闘技場で三年の部が開かれるらしい。

 開会セレモニーのめんどくさい行事は完全にパスした俺はあいつらの試合が決まるまでぶらぶら学園を散歩していた。

 一般人がうろつく学園はまるで違った世界のようだ。

 逆に生徒達の姿は見られない。まあ、当然か。みんな会場に行っているのだから。

 と、思いきや、前方から一人の生徒がやってきた。


「シルフィー」


 学園最強。

 目下うちのガキどもの最大のライバル。シルフィーがとことここっちにやってくる。


「あなたは。スティーグ、先生」


 向こうも一応俺のことは知っているようだ。


「よお。なにしてんだ? 今は開会セレモニーの真っ最中だぞ」

「その。さっきまで迷子の子供がおりまして。一緒に母親を探していたらこんな時間に・・・」

「迷子センターとか設置されてねーのか?」

「!!! 迂闊でした。確かにそんな方法も・・・」


 おい。こいつ大丈夫か?


「先生はどうしてこんなところに?」

「めんどくせーからばっくれた」

「・・・噂通りの方だ」

「お前は戻った方がいいんじゃねーのか?」

「はい。ですが、せっかくの機会です。一つ質問が」


 シルフィーは佇まいを直すと率直に俺に聞いた。


「何故。特別クラスに私を選んでくれなかったのです?」


 あー、それな。

 あの時は始業式の会場でざっくり選んだからな。見逃した奴もいただろうが。

 

「そもそも、お前始業式の会場にいたか?」

「その時は、家の事情で欠席していました。始業式だけで特に授業はないと思ったので」

「だよなー。いれば目立つと思ったぜ。背は高いし、割と美人だし」

「びじ、美人!? か、からかわないでください」

「いや、この手の事で俺は冗談は言わねーんだけどな」


 シルフィーは顔を赤くしてそわそわしだした。

 言われ慣れてないのかもしれない。美人は事実だが、こいつなんか堅そうだもんな。


「し、失礼します」


 シルフィーは俺をすり抜けると会場に向かうのか、走って行ってしまった。

 と、思ったらどうしたんだろうか。戻ってきた。


「も、もう一つ質問が」

「さっき一つって言わなかったか?」

「う、迂闊でした。もう一つ」


 こいつの性格なんか把握したわ。

 再び佇まいを直して、シルフィーは問うた。


「強いですか? 特別クラスは」


 俺はにやりと笑って答えた。


「それは戦って確かめてみろよ」


 シルフィーは微笑むと今度こそ走って行ってしまった。

 面白い奴だ。さて、うちの誰と当たるかね。




*****


 会場に戻るとミラが俺を見つけ走ってきた。

 何やら慌てている。


「ど、どこ行ってたのよ?」

「その辺をぶらぶらと。なんだよ? トイレならあっちだぞ」

「なんでトイレよ!? いいからこっち来て」


 慌てているから親切心で教えてやったのに、どうも違ったようだ。

 ミラは俺をぐいぐい引っ張ってどこかに連れて行く。

 ひっぱられた先はトーナメント発表の会場だった。

 なるほど、これを見せたかったわけか。

 俺はどれどれと、上から順番にうちのガキどもの名前を探していく。

 トーナメントはAブロックからDブロックからなりそれぞれにシード枠が一つあった。

 うちのガキどもにシード枠はいない。まあ、実力は未知数だからな。

 Aブロックにクレアの名前を発見した。一回戦の対戦相手は、知らない名前だった。

 一応、この間目立つ奴はマークしておいたから、知らないってことは特に問題のない相手だろう。

 次に見つけたのがステラでCブロック。

 こちらも対戦相手は知らない名前だった。

 さて、次は。


「へぇ」


 Dブロックで見つけた名前に俺は思わず声をあげた。

 Dブロック一回戦。


 シャルロッテ対セリス


「まさか、この二人が一回戦で当たるなんて」


 ミラはトーナメントを眺めながら複雑な表情をしていた。

 いつかは当たると思っていたが、最初とは思わなかったのだろう。

 対照的に俺はニヤケ顔が止まらない。

 一回戦はどいつもつまらない試合になると思っていたんだが。


「こいつは面白くなってきやがった」


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