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生徒達の反発

 二日目。

 生徒達四人は明らかに昨日よりもやる気が感じられなかった。

 まあ、クレアだけはまだマシな方か。

 なんだろうね。俺があいつらくらいの頃はもっと・・・

 いや、かわんねーか?

 まあ、あいつらの態度がどうだろうと俺のやることは変わらない。


「さて、今日も引き続き、じしゅーー」

「いい加減にしてくださいませ!」


 俺の言葉をさえぎって、シャルロッテが食って掛かった。


「なんなんですのあなた。全くやる気が感じられないじゃないですか? 自主練なんてどこでもできます。真面目に授業を進める気があるんですの!?」

「そりゃまー、それなりに」

「信じられません」

「いやいや、本当だぞ? 俺はお前らの成長、これは身体って意味じゃなくて戦闘力の意味でな」

「わかっています。何を改まって」

「いや、お前のその胸の成長はこの先あまり期待できないんじゃないかとー」

「ぶっ殺して差し上げますわよ!!」


 予想はしていたがキレるのが早いことで。しかし、教師ってのは面倒だね。

 どうするよ? あれこれ言葉を重ねて説得するか? 俺が?


「そもそも、あなたの逸話は本当なんですの? 一人で小隊を壊滅? 真祖を倒した? とても信じられませんわ」


 んん? なんだか最近似たようなフレーズを聞いた気がするぞ。あ、アドルフが遠い目をしながら天を見上げている。

 いや、待てよ。てことはこの後の展開は・・・


「あなたの実力、確かめて差し上げますわ。勝負です!!」


 俺は今は亡き、先日倒したドラゴンの冥福を祈り謝った。バトルマニアはお前だけじゃなかった。

 あ、なんかアドルフが自分の黒歴史を見たような顔で身悶えておる。


「なんつーか。ドラゴンだけじゃねーな。単純な奴って」

「何のことかはわかりませんが、馬鹿にされているということは伝わってきましたわ」


 おいおい、色白の美人が青筋立てんじゃねーよ。めっちゃ目立つぞ。

 さて、どうしたものか。けど、考えようによっちゃ、言葉よりもこっちの方が俺向きか? 一度俺の実力を見せればおとなしくなるかもしれんし。


「いいぜ。どうせならお前ら四人で来い」

「よ、四人がかりですの?」

「四人なんざ、小隊に比べたら大した数じゃねーよ。それとな、お前らの実力も見ておきたいから、使い慣れた武器で来い。刃がついていてもいいから」

「そ、それはさすがに・・・」


 ステラが自分の双剣をみつめて、遠慮がちに言った。


「俺がいいって言ってんだから、構わんよ。ほれ、どうした。始めてもいいぞ」

「ま、待ってください。先生の武器はどうするんですか?」


 こいこいとジェスチャーする俺に、今度はクレアが戸惑う。


「あ? 俺はなくていい。そうだな。一発でも俺に入れられたら、お前らの勝ちでいいぞ。俺の方からは手を出さないから」

「だ、ダメですよ。私は先生の実力を疑ってませんけど、万が一ってこともあるじゃないですか!」

「そん時はそん時だ。いいからこいよ」

「ダメです!!」


 うーん。真面目な優等生だなー。正直まとものくらってもまず大丈夫なんだが、ここで変に手を抜かれると訓練にならんしな。

 困っていると、アドルフが俺にすっと剣を手渡した。

「使え」

「お? なんだこれ」

「刃のない模造剣だ。だが、鉄製だし、攻撃を受けることぐらいはできるだろう」

「じゃあ、使わせてもらうわ。初めて役に立ったぞお前」

「ちっ。お前の実力を見せんことには彼女たちは納得しないだろう。さっさと終わらせて来い」

「スティーグ。あの子達に怪我させちゃだめだからね」


 ミラに注意され適当に受け流すと、二人はベンチに引っ込んだ。

 ふん。さすがに生徒に怪我はさせねーさ。本気を出せば一瞬で終わってしまうしな。

 これも授業の一環。かわいい生徒達に付き合ってやろうかね。


「ルールを確認するぞ。一発でも俺に入れられたらお前らの勝ちだ。そうだな、俺が一通りお前らの攻撃を凌いだら俺の勝ちってことにしよう。準備はいいか?」


 少し離れて作戦会議を始めた四人に俺は呼びかける。

 四人は覚悟の決まった顔でこちらに向き直った。

 ふむ、いい顔するじゃねーか。


「こちらも準備できましたわ」

「よし、いつでもこい」


 こうして、特別クラス初めての模擬訓練が始まった。

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