王国を蝕む災難
視点変わります。
--王国を蝕む災難
「あの件はどうなっている!」
「はっ。未だ情報収集中です。大臣様にご報告出来ることはありません!」
「早くしろ。間に合わなくなっても知らんぞ。王へは私の方から報告しておく」
「はっ」
兵士が敬礼をした後に執務室を出て行ったのを確認し、こちらも椅子から立ち上がり王のいる場所へと向かう。
この時間だと玉座ではなく、王個人の部屋のはずだ。
王城の中を歩いて王の私室へと向かう最中に、すれ違うメイド達に頭を下げられるが一々気にしていられないので軽く手を上げるだけで通り過ぎていく。
階をいくつか上がり、王族専用のフロアに着くと、床はふかふかの全て赤い絨毯で飾られた場所に着く。
なぜこんな慌てているかというと。
最近城下、そして城下以外の王国配下で多発している人攫いについてだ。
ここ数ヶ月ですでに50人近くが被害にあっている。
攫われている被害者に共通点はなく、老若男女問わずだ。
王国では『奴隷』という事を別に違法としているわけではない。
この王国の奴隷というのは『借金奴隷』、『犯罪奴隷』、そして『志願奴隷』だ。
普通人攫いの被害が起こった後は王国内のどこかで借金奴隷として売りに出される事が多い。
だが王国内で奴隷が妙に増えたという報告も聞かないし隣国でも同様のようだ。
この妙な状況がどうもきな臭い。
…王国配下の貴族による王都侵略の為の布石か?とか、大規模の盗賊団が王国に入り込んでいて、とか魔族領の者どもが連れ去っている等、突拍子のない色々なことを考えてしまう。
魔物の大量発生での被害という事も考えたが街中で唐突にいなくなるといった事もあった為考えからは除外されている。
考えながら歩いていたらいつの間にか王の私室の前に着いていた。
「王、クロードです。入ってもよろしいでしょうか」
「おお、大臣か。入室を許す」
許しが出たので取っ手を握り入室をしようとすると扉が先に開く。
「お入り下さい」
王室付のメイドがドアを開けてくれた様だ。
取っ手を掴もうとして手が行き場を失って宙を浮いていたが気を取り直して部屋に入り、テーブルの前に座っている王へ臣下の礼を行う。
それを「よい。楽にしてくれ」と王に言われ姿勢を正す。
「例の件の話ですが…「何か進展はあったのか!?」…いえ、何も情報がない様子です」
食いついてくるように話の最中に言葉をかぶせてきた王はテーブルに乗りだして来たが否定の言葉に消沈する。
「この問題はまだ当分かかりそうだな…」
「そうですね。痕跡すら見つかりませんからね。また目的もいつまで続くのかもわかりません。また外交筋から隣国にも問い合わせを行っていますがいまだ返答がない状態です」
「そうか…」
暗い雰囲気の部屋の中で私と王とで頭を抱え込む。
なにか…なにか解決の糸口さえあれば…。
「あの…クロード様、ガハナ王様。失礼ながら提案を」
先ほどから部屋の隅で待機していたメイドが提案とやらを進言してきたので私と王とでそのメイドを見る。
「提案とは?」
「はい。王剣や騎士、兵士だけではなく冒険者に依頼を出してみるのはいかがでしょうか」
「ほう…」
冒険者という職業の物達がいるのは知っている。
どういうことを生業としていているかも知っているが主に魔物の討伐であったり採取だったりが主なはずだ。
王がなにやら考え込んでいるので代わりにメイドに質問を続ける。
「冒険者にこういった依頼をすることは可能なのか?」
「はい。成功報酬のみにすれば懐も痛まないかと。ただしある程度の情報開示は必要です」
なるほど。
「ギルドでは久々にSランクへの昇格を果たした者もいるようなのでそういった者に指名依頼という事でお願いしてみるのもよろしいかと」
「指名依頼?」
「はい。その冒険者を指名して依頼をすることとなります。それにより内密な依頼などを処理することが可能になります」
ふむ。それなら大事にならないからいいのか。
「その冒険者を呼ぶことは出来るのか?」
考え込む事をやめた王からの言葉に「可能です。手配致します」と早々に答えるメイド。
これ私いらないんじゃないだろうか…。
なんにせよこれで少しでも糸口が見つかってくれればいいんだが…。
--お知らせ--
いつも「暴虐と呼ばれた出戻りさんは異世界で更なる理不尽を繰り返す」を読んで下さりありがとうございます。
しばらくリアルが忙しいのとプロット再構成、書きための為少しの間更新を休止します。
すみません。
書き直しも検討していますがもし書き直す場合はこちらの更新頻度を落として裏で書き溜めしていく方向で考えています。
次回の更新を気長にお待ち下さい。




