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吸血鬼

今回は短いです。すみません。

--吸血鬼


「私は…吸血鬼(ヴァンパイヤ)なんです」


 俺の目の前に座っている、俺の惚れた女がそんなことを言い出した。

 これは遠回しに断られてるのか?


 俺が少し考え込んだ様子を見せるとロザリアがしょんぼりとして「やはり…そうですよね」とか言い出す。


「一つ聞かせて欲しい。その告白は『俺を断る為のもの』なのか?」

「いえ、違います。後々まで隠しておく物でもないので最初からお伝えしているだけです」


 …なんだ。


「ふむ。では隠し事とかは他にないと?」

「え?」

「吸血鬼であることはわかった。受け入れよう。他には?」

「え?吸血鬼なんですよ?怖くないんですか?変に思わないんですか?」

「え?」

「え?」


 全然怖くない。むしろこの戸惑っている様子がとても可愛い件。


「…いまさら吸血鬼くらいじゃぁな。俺の僕には銀狼どころか火竜もいる」

「竜種ですか…」

「僕に頼らなくても吸血鬼位に負ける物でもないしな。それで、それだけなのか?」

「は、いや。え?」

「娼館にいるという時点で清らかな身体じゃないというのはまぁ我慢しよう。俺が塗り直すだけだ」

「え、ちょっと…」

「身請け金に関してはすでに用意はしてある。心配しなくてもいい。住処もすでにある」

「ちょっとまってください!こちらは真面目に話してるんですけど!」

「こちらも大まじめに話してるんだが?」


 だいぶ混乱している様だがこの時に一気に攻める。


「吸血鬼だと言うくらいでロザリア、君を諦められるわけがないだろう。実は男でした。っていうオチでも君ならかまわない」

「えー…」

「着いててもそれを含めて君を愛すと誓おう」

「着いていませんから!」


 そう言い放った所で何を言ってるのかに気づいたロザリアは顔を真っ赤にして下を向いている。

 可愛いな。

 ロザリアなら男の娘だったとしても十分受け入れられる。

 なんせ…俺の刀が一本そうだしな。


「なんなら必要なときに必要なだけ血を吸ってくれて構わない。精が欲しいなら…年齢的に頑張れる所まで頑張ろう」

「血を頂けるのはありがたいですが…ほんとに大丈夫なのですか?吸血鬼なんですよ?」


 吸血鬼だからってことで迫害でも受けたのか?

 ずいぶんと自分を卑下しているが…。


「まったく問題ない。改めてきこう。俺の嫁になってくれ」


 真剣に、真面目に、俺の想いを告げる。

 すると、ロザリアは下を向いたまま、「…ちょっと考えさせてください」とだけ呟いた。


「わかった。考える時間は与える。一週間後にまた来るからそれまでに返事を決めておいて欲しい」

「わかりました…」


 多分次に来る時にはSランクの冒険者になっているはずだ。

 それに惹かれてくれるとも思えないからそれは今の段階ではまだ話さないでおこう。


「では今日の所はこれで帰る。見送りをしてくれるか?」

「あ、はい。またお待ちしておりますね」


 そうして玄関まで見送って貰って月夜夢を出た。

 途中、主任とやらになにか不都合があったか聞かれたが問題はない事を伝えるとほっとしていた。

 あんないい子と一緒にいれたのに不都合なんかあるわけがないだろう。


 明日から一週間、まずはとっとと王都に行ってしまって子供らの面倒を見ることから解放されてからその後戻ってこよう。

 しばらくは焦らず口説き落とす方向で。

 …まぁ周りから固めていくことは忘れないがな。



----


 …なんであの人は私が吸血鬼と言うことを信じてくれなかったのでしょう。

 成人直前の子がよくやる痛い子扱いでもされたのでしょうか。


 もし…吸血鬼であることを本当に気にしないでいてくれるのであれば…。

 もし…私でも誰かを愛すると言うことが許されるのであれば…。


 もし…。



次回は2/24の予定です。

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