決意
--決意
改めて目の前の娘を見てみる。
部屋に入る前に見た様に、髪は黒髪で腰程度までの長さ。
身長はそうだな、俺の首くらいまでの高さだから百五十ないくらいか。
目の色は月明かりだけで照らされている程度の明るさのせいかはっきりとはわからないが、多分黒目だろう。
体つきは少女の様な身長に似合わぬ胸や尻の大きさで、痩せすぎてもおらず、ちょうどいい感じに肉がついている。
娼館の娘という立場なのに薄着ではなく、真っ黒でそこそこ厚みがあり足首まで隠れる程の長さのドレスの様な服を着ている。
体型は好み。
さっきの機転のよさから頭も回るし度胸もある。
まだ一言二言しか話していないが性格もよさそうだ。
「お茶が入りましたよ」
耳を心地よく刺激する声が脳まで届き、やっと意識を正常にする。
ずっと見惚れてた。
「すまない。ジロジロ見てしまった」
「お気になさらずに。見られるのは慣れています」
ちょっと寂しそうな顔で笑うのを見ると胸が締め付けられる。
音を立てないように席に移動して座る。
するとすぐに茶が入ったカップが目の前に置かれ、向かい側に娘が座る。
「改めまして、ようこそいらっしゃいました。お客様。ロザリアと申します」
「一二三という。紹介状を持っているわけじゃないからお客様ではない。すまん」
「ヒフミさまですね。初めまして」
客でないというのに気にする様子もなく、挨拶と共にうっすらとわかる程度の微笑みをこちらに向けてくる。
「招待状を持っていようと持っていなかろうとこの部屋に訪れた方は私のお客様です」
胸を張ってそう言い放つロザリアと名乗った娘は堂々としている。
「突然の訪問だったがもしよければ話などいかがだろうか?」
「今晩はお客様もつかなくて暇でしたので大丈夫ですよ。どんなお話をしていただけるのですか?」
――――話は日が昇る直前まで続いた。
「じゃあまた来る。待っていてくれ」
「お待ちしておりますね」
辺りがまだ暗闇に包まれている間に、入ったときと同じように窓から出て塀を飛び越え、市街地へと戻る。
何事もなかったかのように色街の通りを歩き、宿へ戻る。
部屋に戻るともう一つのベッドで寝ているシルヴァが一回起きるがそのまま寝ていろ、と言い放ち、俺もベッドに寝転がる。
目を閉じて寝ようと思っても先ほどまでの楽しい時間が頭を埋め尽くしているのでとても寝付けない。
身体を重ねてもいないし、口付けすらしていない。
それどころか抱きしめてもいないのにこれだけ夢中になったのは生まれて初めてだ。
そして部屋を出るとき、心の中で既にロザリアを俺のものにすることを決めた。
娼館の娘だから身請けという形で金を渡せばそれはすんなり行くだろう。
どれだけ売れている娘なのかによって金額は変わってくるだろうが。
そうなると後は迎え入れる俺側だな。
家は当然として、稼ぎか。
冒険者である俺が十分なほどの稼ぎを得るにはランク上げか…。
横着せずにランク上げるか。
あぁめんどくさい。
めんどくさいが。
ロザリアを手に入れる為にはめんどくさがってはいられないな。
きちんと会いに行くための紹介状を手に入れることも大事だし、その後迎え入れる為の準備もしなくてはならない。
さぁやることが一気に増えたぞ。
次回は2/8の予定です




