今後の方針
--今後の方針
熱々のステーキで口の中を火傷させながら完食。
肉料理二皿は三十路の胃にはきつかった。
だいたい一キロはあっただろう。
だが脂っこくもなくさっぱりした味付けだったので意外とすんなり食べきれた。
しかも貴重であろう胡椒なんかの調味料もしっかり使われていてこれで銀貨一枚でいいのかと悪く思う。
二皿食べきっただけでも結構腹いっぱいなのにあの挑戦メニュー食べきったとかすごいわ。
そして食べきった後のレモン水がうれしい。
腹もいっぱいになったところで周りを見回すともうほとんど客もおらず、店も閉店ムードが漂っている。
「ごっそさーん」
「ありがとうございましたー!」
厨房に届く程度の声をかけ、店を出る。
宿に向かう最中に色街の呼び込みのおねーちゃんたちを見つけて後ろ髪引かれるが今日は少しだけ自重する。
明日な、明日。
酒場を併設している一階の受付を通り抜け、自分に割り当てられた部屋へ。
適度に硬いベッドの上に寝転がりこれからの事をちゃんと考える。
大元の目標は「異世界への移住」
これはすでに叶った。
今後チケットがどうなるのかとかいう問題はあるが、あのレンズという青年の状況を見ると強制送還とはならないだろう。
そうなると後はこの世界で何をするか、だ。
今はなんとなしに子供の世話役として王都を目指しているが王都に何か用事があるというわけでもない。
行ったついでに王に会って挨拶するくらいか。
あの時俺に懐いていた姫なんかにも会わないと煩そうだし。
刀の回収はしないとな。
あいつらを封印したのは竜の山脈の入り口だっけか。
世界中を動き回るのに拠点同士を異空間で繋げておいたのは正解だったな。
刀を手に入れて装備が整った後……何をすればいいんだ。
いまさらまったりと暮らすなんていうのも性に合わない。
かといって冒険者としてまたSランクまで上り詰めて世界中を駆け巡るというのも年齢的にな。
子供らを見ていると後進を育てるというのも面白いかもしれないが。
…とにかくどこに住むか。と決めないとな。
今いるタタールト王国。
いわゆるファンタジー色の強い国で王制。
王都もあればアルプスの麓のような牧歌的な地方もある。
まったり暮らすならそういう地方に行くんでもいいな。
刀を封印してあるのは原初の森から西に行った所にあるドラゴニア竜谷。
ここは竜が治めている国で基本的には温厚で争いもほとんどない。
そもそも気性が荒い性格の竜は二百歳以下の若い竜だけなので大抵そういうのは年長者に吊るされる。
長をやっている五体の竜はいぶし銀なおじさま、ナイスミドル、好々爺、占い師婆、ロリ婆的な人化をする。
しばらく前に山脈越えをしてくれたレンという古竜もその一人だ。
あいつらのところに挨拶にいくと必ず宴会になるんだよな…。
あとは南の海岸沿いにある商国家リフテイン。
ここには貴族はおらず、唯一民主主義制度が機能している国。
金がすべてで、騙し騙され奪い奪われが一番盛んだが一番金が使われ、流通している国。
こういう国で商売をしてむかつく奴から金を根こそぎ奪い取るのも面白そうだ。
東にあるのはタラマン王国という砂漠の国。
オアシスを中心に栄えている国で魔石の輸出が主な産業の国。
アシスとかいうエジプト美人的な女性が女王をやっていたはず。
ここは色街はとてもいいんだがなんせ暑い。
そして夜は寒い。
寒暖の差がひどすぎて体調悪くしたっけかな…。
あとは海を越えた所に島国がいくつかと魔族領となる大陸がある。
実際魔族領にはまだ行ったことはないんだが、魔王と呼ばれている男が統治をしていて、国と言っても間違いない程の物なのだが人族の国家には国として認められていないらしい。
そして魔王とはいいつつも、魔族の王ってだけで別に人族と争ってるわけでもないらしい。
過去に一度そういう魔王がいたらしいが即座につぶされたらしい。
某Sランクのじーさんに。
その魔王から代替わりして以来攻めず攻められずで平和を保っているとのこと。
島国はこの中央大陸を中心に七つか八つ程あるという話を聞く。
それぞれがその島独自の治世をしており、どこの国にも属していない。
そんな様々な国の中で俺が住んで退屈せず、尚且つ平穏に暮らせる国。場所。
それを探すのが当面の目的になるだろう。
そのためには各地各所を回ってその土地の雰囲気を改めて感じなくてはならない。
冒険者として訪れるのと住むのとじゃ違うだろうしな。
いっそ未開の地とかを見つけて国を作ってしまうのもいいかもな。
王とかは別の人間にやらせて俺は政治には参加しないけど。
まぁまずは気ままに世界中を回ることになるかね。
途中で気になったところがあったらそのまま住み着いてもいいかもな。
次回は1/29の予定です。




