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不穏な影

お待たせしました。

--不穏な影


 今回の旅路は深紅の斧の面々が頑張っていた。

 なんでもここしばらく護衛としての出番がなく、やることと言えば野営の準備と子供らが倒した魔物からの剥ぎ取りという、到底護衛依頼を受けている冒険者がやることでない事ばかりだったことが腐っていた原因らしい。


 モスの話では、先日街についた直後に向かった酒場で緊急会議をしたらしい。

 「これ、俺らいらねえんじゃね?」とか「Eランクの子供らより働いてない現実について」とか「首きられるかもね?」といったネガティブな話し合いがされたそうだ。

 その後一晩かけて話し合った結果、最低限子供らより早く動こうという結論に達したとのこと。

 いいことだ。


 そんな状態なので道中に危険もなく、順調に平和な時間を過ごせている。


「平和ですなぁ…」

「平和なのはいいことですよ。おかげでだいぶいいペースで進めてますよ」

「別に波乱がいいってことじゃないんですけどね。暇すぎて眠くなる…」


 御者席に座っているロタラさんの隣であくびを繰り返す。

 想定していた速度の五割増し位のペースで進んでいるらしく、この調子で行けば馬に適度な休憩を与えながらでもあと二日もかからないで次の街に着く見込みだそうだ。


 これが乗っているのが騎走竜(オスタード)だったりすれば半日で街に着いてしまうんだろうな、とふと昔を思い出す。


 俺は昔は赤い鱗で覆われた騎走竜(オスタード)に乗っていた。

 移動の際はお世話になったものだ。


 馬車を引く程の力はないのだが、単騎なら騎走竜(オスタード)は馬より早い速度を出せる。

 スタミナはないけど回復も早く、馬の半分程度の時間で体力は全快にできる。

 性能だけではない。外見も愛らしく性格もおとなしい。

 外見は翼のない孔雀の様な形状で鎧みたいな鱗に全身を覆われている。

 長い尻尾は停止時には地面につくほどで、走るときにはそれを後ろに伸ばしバランスを取りながら疾走する。


 食性は雑食で主に葉ものを好む。

 ただ俺が乗っていた奴は俺が何かを食べていると擦り寄ってきて俺にも食わせろと鳴く。

 ほとんどが肉だったからか性格も好戦的になっていた。

 元は大人しい生物なのに。


 そういえばあいつ元気してるのかな…?

 まぁそのうち縁があればまた出会えるだろう。

 別れたのも竜の国の傍だしな。


----


 というわけで夜の野営地。

 夕方くらいに抜けた森で森狼に襲われたくらいでほとんど何もなく進んだ。


 子供らは途中、モス達が狩った森狼の剥ぎ取りを教わったらしく野営地の端でおさらいをしている。


「ヒフミよ。しばらくは俺らがメインで動くぞ」


 夕飯の支度をしている背後から唐突にモスに声をかけられた。


「はいよ。手が足りない時だけ手伝うからその時は言ってくれ」

「それで十分だ。助かる。しかし子供らは強くなったなぁ…村出たときはこんなに自信もなかったのに」

「誰が教えてると思ってるんだ?一二三さんだぞ?」

「非常識なお前さんが教えてれば弟子も非常識になるってことか。よくわかった」

「それは心外だな」


 まあでも子供らはいい具合に育ってきていると思う。

 これなら王都でも馬鹿にされずにやっていけるだろう。

 王都まで行って何をするのか、とかそういうのは今まで聞いたこともないけども。


「あれだけ知識や技術に貧欲だと教えるほうとしても楽しくなるよな」

「それは同感だ」

「子供らが護衛依頼を受けられるまでそう遠くはないだろうからいろいろ仕込んでおくさ」

「そうだな。いろいろ仕込んで王都で恥をかかせないようにしなきゃな?」

「それはいいな。周りの冒険者達を絶望させよう」


 モスと二人で黒い策略を練っているとロタラさんが話しに混ざってきた。


「楽しそうな話ですね。私にも一口乗らせて貰えませんか?」

「ほう?」

「当商会で武器防具などの装備品はご用意致しますよ。彼らが有名になってくれれば宣伝にもなるでしょうし」

「あいつらはすぐに上がるぞ。Aから先は人外の領域だから常人には上がれないけどな」

「おい、それは俺に対する皮肉か?」

「当たり前だろう。元とはいえ、Sランクの冒険者なんて初めて見たぞ」

「そういうお前さんもBランクだろう。今回の護衛依頼を報告すれば上がるんじゃないか?」

「どうだろうな。ロタラさんがよい報告をしてくれればそういうチャンスもあるかもな?」


 モスはそういい、ロタラさんをちらっちらっと見ている。


「深紅の斧の皆さんにはお世話になっていますからね。悪い報告はしませんよ」


 ロタラさんのその言葉を聞いてモスが内心ほっと息をついた様子を見て、俺とロタラさんは声を上げて笑った。


 うん、久しぶりに笑った。

 …よかった。まだ笑えた。


「そういえばヒフミさん。話は変わりますが、先ほど野営地にこられた商人から情報をいくつか頂きました」

「ふむ?商界の話は俺にしても意味ないぞ?」

「いや、そういう話ではなくて次の街、アルファミラのことです」

「ふむ。なにやら深刻な話か?」

「いえ、そこまで身構えるほどの話ではないです」


 俺、モス、ロタラさんで三角になる様に座っている場所は少しだけ緊張した雰囲気をもつ。


「最近街の雰囲気がおかしいというのが街の商人達の印象です」

「おかしい?」

「はい。前にもましていかついゴロツキが増えた、というものもありますが、なんというか…」

「はっきりしないな。どうしたんだ?」

「人の流れがはっきりしないんですよ。突然見知らぬ人達が街中を闊歩してたかと思えば次の日にはその人たちは見ない」

「いなくなるのは町の人なのか?」

「いえ。そのいかついゴロツキ達とのことです」

「普通に街を出て行ったとかじゃないのか?」

「門番も出て行ったところを見ていないとのことなのでそれはないと思います」


 うーむ?

 入ってきたのも出て行くのも把握できていない?

 単純な門番の怠慢ってことじゃなさそうだな。


「旅の楽団が街に逗留している所からそれの熱烈な追っかけだったりするのかと思いきやそうでもなさそうですし」

「…うーん、俺にはなにがなにやらって感じだ。すまん、力になれそうにない」

「あ、いえいえ。どうこうしてくれというわけではなく、雰囲気がおかしいから気をつけましょう。って話ですよ!」


 やはりモスは頭を使うのは苦手だったか。

 しかし…どういうことだろうな。

 まぁ街に着けばわかるか。

なお今日は作者の誕生日なので皆様からのポイントのプレゼントを前後半年無期限で受け付けております(笑


次の更新は1/11予定です。


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