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成功率100%の罠

お待たせしました。

50話達成です。

6万pv、1万uvという個人的には快挙、皆様には感謝感謝。


--成功率100%の罠


 ルブラからの緊急通話から数時間。

 依頼を受けて飛び出していった冒険者達と共にけが人を引き連れた面子が帰ってきた。

 その中には怪我もなく元気な姿のルブラたちがいる。


 怪我を負ってないのはルブラとウォートの他は二人しかおらず、けが人は十人を超えていた。

 うめき声や泣き声も聞こえ、楽しい食事の場だった所が急遽野戦病院の様な雰囲気になる。


 ギルド長はいまだに気を失っているらしい。

 

 まぁなんというか、無事でよかったと喜ぶべきなのか豚王を倒せる程度まで育った彼らの成長を喜ぶべきなのか。

 あれ、喜ぶ選択肢しかないな。


「師匠、無事帰還しました。手配ありがとうございました」

「おう、無事でなによりだ。たまたまギルドにいたからタイミングはよかった」


 そういい、ルブラとウォートの頭に手を乗せぐりぐりと撫でる。


「…ヒフミがデレてる。これは驚きだ」


 撫でられ心の底から喜んでいる様子の子供らの後ろでミシェルがなにか余計なことをほざいている。

 子供らは俺に気安く話しかけてきたミシェルのことを不審人物でも見るような目で見る。


「あぁ、そいつは初対面の奴なんだがさっきから馴れ馴れしくてな…」

「うぉぃ!?ヒフミさんや!?」


 ミシェルをからかっていると子供らはさらに警戒を深める。


「ヒフミさん?なんか子供たちが好戦的なんですけども?」

「豚王狩って気が高ぶってるんじゃないか?まぁ大人しく狩られておけ」

「お断りですけども!?」

「まぁそういうな。案外いいものかもしれないぞ?」

「なにがだよ!切られていいわけないだろう…」


 ミシェルとの掛け合いをしていると子供らの警戒が急に解かれた。


「師匠の友人なのですね?初めまして。ルブラと申します」

「初めまして。師匠に師事しているウォートといいます」


 急に挨拶をし始めた子供らにミシェルは戸惑って「お、おう。ミシェルだ」としか返せない。


「子供らの方がちゃんと挨拶できるってどういうことだね」

「うるせぇや。急に態度変えられたら戸惑うだろう」


 そんなやり取りを見て子供らがくすくすと笑っている。


「師匠がこんなに饒舌に喋ってるの初めて見ました」

「だね。雰囲気も心なしか柔らかいし。よほど気を許してるんですね」


 …うーん、そんなに違うだろうか。


「あぁ、改めて紹介する。こいつはミシェル。過去俺とパーティを組んで斥候をやっていた奴だ」

「ミシェルだ。ランクはA。ヒフミとは5年ぶりにあったんだがその前は2年ほど一緒に動いていた。よろしくな」

「適当に弄っていいからな。俺が許す」

「そんなこと許さないで!?」

「まぁそんなことは置いといて豚王はどうだった?」


 ミシェルは「置いとかれた!?」とかがっくりしているが、そんなのは大事な事じゃないからほっておく。


 豚王の話が出た瞬間、けが人たちは身を強張らせ、その他の冒険者達は耳を傾けている。


「豚王ですか…あれ、こんなもの?っていうのが第一印象でした」

「たしかにちょっと拍子抜けでしたね」


 周りでは冒険者達の「王になったばっかりだったのか?」とか「でも最低Cランク相当だろ?」という声が聞こえる。


「奇襲をかけられたのでけが人は多かったですが、僕とウォートだけでなんなく倒せました」

「ほう。大きさや獲物はなんだったんだ?」

「武器は豚王の身長くらいの斧槍(ハルバード)でした。大きさはそうですね。8mくらいですか」

「8mじゃ王になり立てってことはないな。さらに金属武器持ちとなるとそこそこ成熟しているレベルだな」

「そうなんですか?」

「あぁ」


 豚王(オークキング)にしろ小鬼王(ゴブリンキング)にしろ、金属武器持ちというのはえてして強さがある。

 冒険者や商人を襲い、手に入れた武器防具を自分の群れで自分に合わせて作ることのできる知識と環境がある。

 なりたての王とかだと棍棒だったり弓矢だったりと木製の武器が多いのだがね。

 それだけの集落が傍にあるという事実にも繋がる。

 近々緊急依頼とかで殲滅依頼とか出てきそうだな。


「何はともあれお疲れさん。明日の朝までゆっくり休むといい。朝一番で北門集合だ。遅れるなよ?」

「はい。それでリアとマヤはいかがでしょうか」

「今は模擬戦闘の後で魔力欠乏症を起こしてギルドの治療室で休んでいるはずだ。行ってやるといい」

「「はい」」


 そう元気よく返事をして治療室へと向かって小走りしていく子供らを生暖かい目で見守っているとミシェルから肩を捕まれる。


「おいヒフミ。お前さん明日、街出るのか?」

「あぁ。そうだが?」

「なぜ俺に声をかけない。久々に会ってまた一緒に行動をするつもりだったのに」

「え、だってお前さん明日デートだろう?」

「え?」

「前に飲みに行ったところの女の子とそんな話をしていたじゃないか」

「レジーナちゃんと?うぅん…覚えてない」

「明日の昼に西門前って約束してただろう」


 ミシェルは一生懸命思い出そうとしているが、ふと何かに気づいたようで顔を上げる。


「だ、騙されないぞ!そうやって俺を置いていくつもりだろう?」

「そう思いたいならそう思えばいい。約束をすっぽかされててもずっと待ってるんだろうな、あの子…」

「う、嘘だ…」

「まぁそんなことはどうでもいい。着いてくるのであれば朝の日の出までに北門集合だ。遅れたら置いていくぞ」

「…わかった。絶対行くから待ってろよ!」


 まぁ女の子とのデートの約束なんて嘘っぱちだけどな。

 せいぜい誰も来ない西門で待っているがいい。


----


「ミシェルさん来ませんね…」

「俺らと一緒に行くより女を取ったんだろう。悪く言わないでやってくれ」

「わかりました」


 次の日の朝、やはりミシェルは集合場所に現れなかった。

 あんな単純な嘘に引っかかるなんて…残念な人。


 ロタラさん達の準備も終わっているしモス達深紅の斧も揃っている。

 子供らもすでに出発の準備もできているので後はロタラさんが出発の号令をするだけだ。


「ではそろそろ出発します」


 ロタラさんの出発の号令と共に荷馬車がゆっくりと動き出し、それと共にモス達が散開、護衛のフォーメーションを取る。

 なにやらモス達の気合の入りようが今までとは違うな。

 まぁこっちに何もないなら放置でいいか。


「次の街は…アルファミラか。懐かしい。ガンドルフに挨拶しないとな」


 朝の冷たい空気が肌を刺す中、馬車の上で胡坐をかき、先を見る。

 次の街まで順調に進んで後3日。

 何日逗留できるかわからないが挨拶回りで終わりそうだな。


 王都まではもう少し。

 そうしたら子供らとは別れることになるからもう少し実践的な訓練を始めるかね。


次は1/9の予定です。


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