影に住まう者
本日分です。お楽しみください。
--影に住まう者
子供ら二人とミシェルの模擬戦がやっと始まった所で俺は地面に座り込む。
初手はウィステリアちゃん。
あの筋肉親父を仕留めた方法で矢を増やし随時迎撃を試みるも全てを躱され、落とされ、捕まれる。
その動きが止まる一瞬を狙ってマヤカちゃんの風属性の矢が狙うもそれらも全て躱される。
「ははっ、まだ狙いが甘いね!」
未だに双剣を抜くこともせず攻撃から逃げ回っているミシェルを見ると確かにまだ余裕があるのであろう。
まぁよく動きいい的になってくれ。
「むー。当たらない」
「苛立ちますね…」
子供らはあれで仕留められると思っていたらしく不満を顔に出している。
「魔物や動物と一緒にしちゃダメだぞー。ほらほら。攻撃してこないと揉んじゃうぞー」
手をわきわきさせて少女らに向かってゆっくりと歩いて行く男を見ると「えいへいさんこいつです」って言いたくなるな。
子供らは半分泣きながら攻撃を繰り出しているがそれすらも華麗に躱されている。
うーん、まだ早かったか。
ウィステリアちゃんの矢も同時100本を超え、それが一斉にミシェルに向かう。
物量で押す作戦のようだが…。
矢が地面に突き刺さり、込められていた魔力が爆散する。
爆発が地面を抉り、砂煙を立ち上げ辺りを見えなくする。
そこに向かってマヤカちゃんの火球が数発同時に向かい、更なる爆発を呼ぶ。
息を荒くしている子供らは煙が晴れて結果が確認されるまではそこから動かず体力回復をしようとしているのだろう。
「はい、捕まえた」
そんな少女らの後ろからミシェルが唐突に現れ、少女二人の胸をそれぞれ片手で揉む。
「「!?」」
胸を揉まれたショックか攻撃が一切当たらなかったショックかはわからないが、その場でへたり込んでしまう子供らを見てミシェルは俺の方に歩いてきた。
「こんなんでよかったか?」
「あぁ。ほんとに胸を揉むとは思わなかったが」
「まて!揉めと言ったのはお前だろう?」
「そうだったか?大人なんだから揉まずにもやる方法はあったろう?」
「ひでぇ…ほんとお前って奴は…」
座り込んでいる子供らをちらりと見てため息をつくミシェルが「あの子らはランクいくつだ」と聞いてきたので「最近Eになったという話だ」と言っておく。
「まじか。あれでEランクとか詐欺だろう」
「俺の娘達に酷い言いぐさだな。よしその喧嘩買った」
「まて!そういうつもりじゃない!…ってお前の娘?はぁ!?」
なんか勘違いしてるがこのままほっとこう。
そのままの方が楽しそうだしな。
「実際依頼をこなせばCくらいまではすんなり上がるぞ」
「だろうな…。最後のあれはちょっとひゅんとしたわ。どことは言わないが」
ミシェルと話してると子供らも息が整ったのか近寄ってきたので反省会をする。
反省会の司会はミシェルに任せよう。
「まず自分でダメだったなと思うところを言ってみて」
「…最初から全力でいかなかった」
「素早い動きの標的相手に足止めをしなかったこと」
「そうだな。明らかに格上相手にするときはどんなタイプかわからなくてもとりあえず出せる全力を出して対処をどうやってしてくるかを観察をすることが望ましいね」
「ちょっとづつ攻撃をしていって様子を見るのではダメですか?」
「ダメとは言わない。ただ相手が最初から本気だった場合速攻でやられるぞ」
「…なるほど」
「最後の攻撃は肝が冷えた。あれを初発で出されてたらこっちも警戒していた」
ミシェルが肩を竦め子供らに向かって説明しているのを後ろからニヤニヤして見ているとマヤカちゃんに睨まれた。
「師匠はどう思いますか?」
「ん?俺か?そうだな。初手全開というのは異論はない。それで仕留められなかったら仕留められるのは確かだしな」
「…師匠ならどうやる?」
「そうだなぁ。開幕で視角奪取、聴力奪取、沈黙のデバフ付けて拘束してその後一本ずつ氷槍刺していくかな」
「ひでぇ!なんだその拷問!」
「すでに実施済みのコンボですがなにか」
「更にひでぇ!…やられた相手に同情するわ」
「ほんとなら痛覚奪取とかも合わせるんだがな?」
「鬼だ…鬼がおる…」
「そう怖がるな。さっきみたいに影に潜ればいいじゃないか」
「ちょ、おまっ。ばらすなよ!」
割り込んできたミシェルの隠し技をこっそりとばらし子供らにヒントを出す。
愕然としているミシェルを見て子供らは何か思いついたのかミシェルにもう一戦お願いし始めた。
「体力とか魔力は大丈夫なのかい?こっちはまだ平気だけども」
「大丈夫です」
「…今度は射貫く」
「おお怖い怖い。じゃあおにーさんももう少し本気出そうかね?」
そうして二戦目が始まった。
腹減ってきたな…。これで一端終わらせようか。
評価、感想お待ちしております。




