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立つ鳥跡を濁しまくる

--立つ鳥跡を濁しまくる


 昨晩のお相手の子はいい子でした。

 イカセすぎて途中で寝ちゃったのは残念だったけど。


 …寝ている子に夜這いするのっていいよね?


 とまぁのっけからピンクの話題をしていてもしょうがないので本題に戻ろう。


 朝になり気分も身体もすっきりした所でいつものとおり、北門前に移動する。

 服やいつものとおりの和装と腰にぶら下げた刀。

 もう和装を着るのも慣れたもので、一人でしっかり着れるようになった。


 んで、北門に到着。


 ロタラさん達商人軍団はとっくに荷積みを終わらせており、打ち合わせをしている。

 あとは深紅の斧の面子と子供らが来れば出発か。


「ヒフミさん、いつも早いですね」

「普通に起きたら来てるだけだよ。早いかどうかは意識してないしなぁ」


 今日なんかは特に朝から一戦してきてるから余計だわな。


「ヒフミさん、武道会見てたよ!つえー人が一緒にいてくれると安心だ!あと儲けさせてくれてありがとな!」


 という声が唐突に商人たちの方から聞こえた事に苦笑していると、ロタラさんに肩をたたかれた。

 気にするなということかね?

 まぁ気にする程度のメンタルじゃないんで問題はないんだがね。

 「儲けたんなら色街奢れ!」とだけ怒鳴り返しておいたら爆笑された。解せぬ。


 そんなやり取りをしていたら深紅の斧のメンバーと子供らが揃って門から歩いてきた。


 領主をつれて。


「ヒフミさん。お呼びをかけたのに無視するとはひどいじゃないですかね?」


 一緒に来ることになった深紅の斧の面子や子供らはすまなさそうにしているのがわかる。

 待ち伏せされたとかそういう感じなのかね。


「俺の方には用がないからなぁ」

「そうですか…お礼と報酬の話だったのですがその話はなかったということで」


 …そういう話なのかよ。まぁ素直に受け取ろうとするとまた何か押し付けられそうだけどな。


「その報酬とやらは温泉街を発展させるのに使ってやってくれ。むしろ貴族連中で常連になってやってくれ」

「それについても礼を言いたかったのだよ。あれができてから街中から異臭を放つ人間が消えた。たかが三日でだ」

「そりゃそうだろう。風呂に入って垢を落とせば匂いは減る。後は着ているものを洗濯すれば匂いなんて消えるだろう」

「そして温泉に向かう通りで商人達が店や屋台を出す許可を求めてきている。これだけでも税収が上がる」


 鼻息を荒くしている領主を冷ややかな目で見てる俺含むその他大勢の視線に気づいていないのかフリなのかわからないけど領主の熱い演説は続く。


「税収が上がればもうスラムなんて作らせない。街をもっと発展させて苦しむ子供らを減らすことができる」


 ふむ。

 自分の利益を追求するタイプの貴族でないのは知っていたが、きちんと街のためになるのであれば少しだけアドバイスしてやるか。


「税収を上げたければ税率を下げろ。あとは自分で考えな」


 それで話は終わりだと商人達の方に向かって歩き出す。

 後ろでは領主が首を傾げているがヒントはあげたんだ。放置だ放置。


 そのタイミングでちょうど商隊も出発し、グランジの街を後にする。


 後ろで領主がなんか言っているが無視。

 統治者ならそれくらい自分で考えろ。


----


「師匠、さっきのことで質問があるのですが」


 昼ごろまで何事もなく進んだ先の休憩の時に、ルブラとウォートが二人して地面に座り込んでいた俺の前に座り込んだ。


「さっきのって?」

「領主さまに言ってたやつです。なんで税率を下げると税収が上がるんですか?」


 あー。それか。


「んー。じゃあたとえばだ。お前らがギルドで依頼を受けて受け取れる報酬ってのは税収を引かれた後ってのは知ってるよな?」


 二人は首を縦に振っているのでそのまま続ける。


「その税が高くなって手取りとしてもらえる額が減った場合、お前らはそのお金で何かを買ったり贅沢しようとか思うか?」

「思いませんね。必要最低限の物しか買わないでしょうね」

「逆に税が減って手取りが増えればいつも泊まってる宿を1ランク上にしてみるとかポーションも低級じゃなくて中級にしたりするだろう」


 二人は真剣に聞いている。

 後ろで休んでいる商人達もこっそりと耳を傾けているのは見なかったことにしてやろう。


「それが商人、一般市民でも同じことが起こる。商人は税率の低い場所で売り買いをするようになり、その商人たちが運んできた物を市民が買う」


 商人の何人かがメモを取り始めたが、この話をメモしてもしょうがないだろう。

 まぁいいけど。


「人の流れもそうだ。税金が低い街だとわかればどこの町に行くにしても必ず寄るようになり、物資と金を落としていく。そしてそれを欲する商人もまた集まる」

「なるほど…」

「まぁ税金のことについてはこういうものだ。ちなみに商人の商売にも同じようなことが活用できる」


 そう言った瞬間、ロタラさん含む商隊の全員が俺の目の前に座り込む。


「ぜひご教授ください」


 まったく。高いぞ?


「俺の故郷に『薄利多売』という言葉がある。儲けを少なくして数を売る、といった方法だな」

「ほう」

「一品一品の儲け幅を少なくすれば価格が下がるよな。他の商人が売っている同じ品質の商品のものと比べて」

「そうですね」

「そうすることによって買う側にお得感を出す。買う側も他より安ければ、といった考えで財布の紐はゆるくなるだろう」


 商人達は子供らの後ろでメモを取りながら自分が実際に売る場面を想像しているっぽい。


「他の店より売れる、というだけにとどまらない。その安さは口コミで他の客に繋がり、最終的な売り上げの増加につながる」


 なるほど…と考え込んでいるロタラさん達商人軍団は商人達でこうすべき、とかこういう場合はどうだ。とか議論を始めてしまっている。


「注意点としては、税の話と違って、『品物の質と数』というのがある。数が用意できるものであればこういう手段も使えるが、数がない貴重なものは逆に値段を上げてそれを売りにする事もある」

「なるほど。勉強になります。ヒフミさんはどこか商人や貴族の所で師事を受けたことがおありで?」

「ないぞ。この程度の知識は俺の故郷であれば興味があれば成人する前に勉強していることだ。もっと専門的な手法とかを勉強するならそのさらに先になるがな」


 俺は正直勉強とかは嫌いだったし、こういった知識は仕事をしながら現場で身につけた知識だ。

 実践で使ったこともあったがこっちの世界でうまく使えるかはわからないし、講釈だけして後は商人達で勝手に考えてもらおう。


「ま、何事もやりようはあるってことだ」


 商人達の議論が終わるまで時間がかかりそうだ。

 そのまま地面に寝転がり、昼寝でもしてようかね。


「出発するときに起こしておくれ」


 おやすみ。

年末年始は更新が鈍くなります。ご了承くださいー

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