厄介ごとはごめんです。
短くてすみません(´・ω・`)
--厄介ごとはごめんです。
「終わり!これにてエキシビションマッチを終了いたします!」
司会の子が拡声石を使って終了の宣言をする。
その直後、空に舞い上げられた細かい氷の破片がステージ上に舞い降りる。
…血に染まった赤い氷が。
静まりかえった観客からは「魔王だ…」とか「悪魔」とかいう声しか聞こえない。
もうそれも飽きたわ。たまには違うこと言え!
「大番狂わせでした…気分が悪くなった方は医療室を解放しますので係員に一言お願いします。では皆様ご観覧ありがとうございました!」
観客席の後ろの方では賭けに負けた奴らが落ち込んでいるが大穴を当てた奴らは狂喜乱舞している。
「ほんじゃな。邪魔した」
「あ、お待ち下さい!領主さまがヒフミさんをお呼びとのことです」
「え、いやだよ」
引き留めようとしている司会さんを無視してステージを降りて観客席へと向かうと、モーゼの前の大海のように観客が割れ、道が出来る。
んむ、苦しゅうない。
そのまま子供らがいた所まで移動すると、子供らは賭けで大勝ちしたらしくニマニマしていた。
「師匠、お疲れ様でした」
「やっぱり師匠最高」
「ちょっと怖かったです」
「師匠は師匠だった」
子供らがそれぞれ感想を教えてくれるがやばいなぁ。だいぶ俺に毒されているな。
「さ、うるさいのが来る前に逃げよう」
どうせ後になって領主の使いとやらが追いかけてくるんだろうから逃げないとな。
----
収穫祭最終日はこっそりと変えた宿屋に一人で引きこもって過ごした。
ちょっとお高い所で名前も偽名を使って泊まっているから追っても来ないだろう。
子供らは歌唱大会と美男美女大会を見に行ったりしているはずだ。
ロタラさんとは話はしてあって、明日の朝一番に北門前に集合という事は聞いている。
さすがに暇をもてあましているので刀を取り出し鞘から抜く。
日の光に刃を透かすとほんの少しだけ欠けている所を見つけたので砥石を出して研ぐ。
あの時の貴族の配下達とやり合っただけで欠けちゃうとはなぁ。
まぁしょうがないか。
研ぎ終わり、布で油を染みこませてから拭き取る。
白粉を塗してその後は乾いた布で拭き取る。
うん、良い。
刀身の湿気が飛んだことを確認して再度鞘にしまう。
…やることが無くなった。
昼まで寝ていたのにまだ夕方にすらなってない。
…もう一眠りするか。
----
やっと時間は夜になった。
というか夜になる直前くらいで目が覚めてしまった。
部屋に夕食を持ってきて貰って食べる。
今日の夕飯は細かく刻んだ鶏肉を玉子でとじたものをご飯の上にのっけた物。
まぁいわゆる親子丼だ。
そこそこうまかったが物足りないので子供らが泊まっている宿に行って夕食を食べよう。
「師匠!」
食堂で一人で夕飯を食べていたウォート君が席を立ち上がり45度の礼をしてくる。
やめて?
「まぁ座れ」
そう言うと席に座ってくれたので同じテーブルにつく。
注文を取りに来た給仕の子に適当に、と食事を頼む。
「他の子らはどうしたんだ?」
「疲れたみたいでもう寝ちゃいました。明日も早いですし」
「そうか。お前はいいのか?」
「はい。この後武具の手入れだけしてから寝ようと思います。あ、そうだ。ミントさんってご存じですか?」
残っていたご飯を食べながらウォートが質問してきた。
ミントミント…。
誰だっけ。
「美男美女大会の優勝者がミントさんっていう方だったんですが、優勝のコメントで師匠の名前を出していたのでお知り合いかと」
「んー?…誰だっけ」
「温泉街の宣伝もしていたからそれ関係じゃないですかね」
ミントミント…。
「あぁ、ムチムチの子か。物静かだったから印象に薄かったわ…。そうかあの子が優勝したのか」
「男性の圧倒票で優勝だったみたいですよ」
だろうな。あの身体は着飾ればものすごい破壊力ありそうだし。
「あと領主の使いの方が来ていましたがいませんと追い返しておきました」
「助かる」
やっぱり来てたか。
逃げてて正解だったな。
「まぁもうこの街から去るんだから何もしない。いいな?」
「当然です」
ウォート君が食べ終わった所で俺の飯も来たが、ウォート君は先に部屋に帰してさくっと食べる。
周りの客の目線も…なんというか怖がられてるしな。
もうとっとと宿に戻って寝てしまうに限る。
…女の子でも呼ぶかな。




