Fランクというのは喧嘩を売られるフラグ
--Fランクというのは喧嘩を売られるフラグ
収穫祭二日目。そこで始まるのは武道会決勝。
イベントは今日はこの決勝だけで、歌唱大会と美男美女大会は最終日の明日に行われるらしい。
「優勝は!チーム『漆黒の鎌』のリーダー、リズテインだー!」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおという歓声と共にステージの上の男が両手を挙げて観客に答えている。
優勝したのはあのモヒカン大男か。
世紀末なんたらに出てきてヒャッハーとか言ってそうな風体だな。
「ではリズテインさんにインタビューをしたいと思います!まず、この優勝を誰に伝えたいですか!」
「そりゃ当然支えてくれたチームメンバーだな」
「なるほど。いいメンバーに恵まれていたんですね」
「おう。最近ギルドでうろちょろしてるガキ連れのFランクなんかもいるが、そんなのとは絆が違うんだよ」
…あ゛?
「そういやそいつ、なんでも『暴虐』とかいう二つ名の凄腕らしいがな。どうせ騙りだろうよ。Fランクなのに元Sランクの名前騙るとか。がはははは」
「へぇ、そうなんですかー」
司会役の子が目が泳いでるなぁ。
あの子は俺のこと知ってる感じだな。
「実際元Sランクだかなんだかしらねーが、今はただのロートルじゃねーか。武道会にだって怖くて出てこれなかったんだろよ!」
興味がないから出なかっただけなんだが?
その後もなんだかいろいろ言ってるが…わかった。その喧嘩を買おうじゃないか。
「…師匠、俺が行って潰してきましょうか?」
ウォート君、君はおとなしくしていてくれたまえ。
「…んにゃ、俺が行くわ」
うん、自分でも今一番怖い笑顔なのがわかるわ。
子供らもドン引きしてるわ。
空歩を使って観客の上を通り、ステージに向かう。
いきなりステージに現れた俺をビックリした顔で見ているリズテインとやら。
司会の子はそそくさとステージから離れ、委員会のテント方に向かっていった。
「んで、俺に何かようなんだって?」
口臭洗浄薬みたいな名前してる男に向かって笑顔で問いかける。
「あぁ?あぁ、お前暴虐とかいうFランクの雑魚じゃないか。なんだ?俺様に稽古でもつけてほしいのか?」
「…あぁ、稽古ってことにしておけばいいか。そうだな。そうしようか」
リズテインは大剣を肩でトントンとやりながら俺を睨みつけている。
口を開く度に唾を飛ばしてくるのはどうにかしやがれ。あと口が臭い。
「あの…お二方。すみません、ちょっとよろしいでしょうか」
いつの間にか戻ってきていた司会の子が恐る恐る話しかけてきたのをきっかけに一度ガンのくれあいを落ち着かせる。
「先ほど領主さまから提案がありまして。このままお二方でエキシビジョンマッチとしてやってはどうかと」
「俺はかまわんぞ」
「…俺もだ」
司会の子が二人の確認を取ると、ステージから降り、拡声石を使ってアナウンスを始める。
「皆様!ただいまより今回の優勝者リズテインと!Fランク冒険者、ヒフミのエキシビジョンマッチが開催されます!」
おおおおおおおおおおおお?という最後に疑問が残るような歓声があがるがまーしょうがないだろうなー。
片や優勝した強者、片やFランク。
お、あそこらへんで賭けが始まってるな。
子供らは俺に賭けてるのかね。
「今回、特別に領主軍筆頭魔術師による、戦闘結界を作成してもらっています。こちらの結界内では死に至る攻撃は全て無効化され、結界の外に置かれた水晶球が割れていく仕組みになっております」
なんだ、殺れないのか…。
「それぞれに5個。水晶球が用意されています。5回即死攻撃を受けた場合は結界の外にはじき出されその瞬間に負けが決定します」
5回か。あっという間だろうな。
少し…遊んだ方がいいのか?
目の前の口のくさい男が大剣をブンブン振って力強さをアピールしているが…所詮子供だましだ。
それに対して俺はさっき食べた肉が刺さっていた串。
あんなのに刀を使うなんてもったいない。
つーかこれで十分だろう。
「では、優勝者のリズテイン!冒険者のヒフミ!どちらが強いのか!」
観客は一気に静まり返り、その瞬間を見逃さないようにしている。
「エキシビジョンマッチ!レディ…ファイト!」
…どこのモビルスーツの格闘大会ですか。




