身請け
なんとか書き上がりました。
--身請け
「くはああああああああ。この皮膚に突き刺さる感覚、いい!」
かけ湯をして軽く体をこすり、一番大きな湯船に肩まで浸かり体を伸ばす。
やはり湯に浸かるという文化は日本人ならではだな。これがないと心が休まらない。
一応温泉宿の息子として生まれた所も大きいんだろうな。
スラムの住人達もどんどん服を脱ぎ、俺の真似をしてかけ湯をした後、布で体を擦った後に湯に使って顔を緩ませている。
出来上がった温泉施設は湯船5個。そのうち2個づつは男女専用で、一番奥に配置されている最大の湯船は混浴としている。
専用風呂はゴーレムが続々持ってくる木を加工して板を作り、間仕切りを作っている。
こっちは専用風呂とか混浴とかそもそもそういう概念がないから全部混浴にしちゃってもよかったんだけどな。
岩棘で作った塔の天辺から噴出しているお湯がいい感じで打たせ湯みたいになっているし急造としては十分いい出来だと思う。
あとは小さい子が素っ裸で走り回ってたり、酔っ払いが長湯してたりするからそういうのを注意する人員を用意すれば十分施設としてやっていけそうだな。
市営プールみたいだな。とか苦笑していると、目の前にタオル代わりの布を巻いたいつもの5人が並んでいた。
うん、お湯で濡れててスケスケですが。
「だんな様。ご一緒してよろしいでしょうか」
「一々許可を求めるものでもない。好きにしてくれていいよ」
というと俺を囲むように5人の娘っこが湯に浸かる。
目の前で浮いている10個の何かが俺の目をひきつけてやまない!
「あの、だんな様。なんでここまでしてくれてるんですか?」
「別にお前らのためじゃない。俺がやりたいからやっただけだ」
はいツンデレ入りましたー。って俺が言ってもキモイだけだな。
「これから俺はお前らをここの従業員として使い倒すつもりだ。だからそんなに喜んでもいられないぞ?」
「…はい。わかりました。私達の仕事として以前と同じようにお使いください」
後ろの娘達からは「あぁやっぱりか」とか「夢見すぎたね」とか言う声聞こえる。小声だけど。
「何を勘違いしてるのか知らんが、以前と同じようなことはさせないぞ。娼館はそのうち勝手に出来るだろうが、お前らにはさせない」
俺の台詞を聞いた娘達はきょとんとしているが、そのまま畳み掛ける。
「温泉内ではあぁいった行為は一切禁止だ。温泉というのは体を休め清めるところだ。疲れ果てるところじゃない。まぁ宿の中で致すのは勝手にすればいいが」
「は、はぁ…では私達はなにをすれば?」
「なんでも出来るぞ。やりたいことをやればいい。むしろ何をしたいかを教えてくれ。ソレル。君だけはちょっと違うことをしてもらうがな」
ソレルがビクッと肩を震わせ俺を見るが続ける。
「ソレル、君の社交性と礼儀作法、そして人身掌握術を借りたい」
「はぁ…」
「別にスラムに来る前に君が何をしていたとかなぜここに来ることになったのかとかそういうのには興味はない。たとえ元貴族だったとしてもだ」
「なっ・・・!」
そう、このソレル。解析をかけたら称号のところに『元貴族(子爵)』と書かれていた。
なんで解析を使ったかは秘密だ。決してスリーサイズとか知りたかったわけじゃない。
君は何も聞かなかった。いいね。おじさんとの約束だ。
ちなみに90/55/82でした。何がとはいわない。
「…何をさせる気ですか?」
「難しいことじゃあない。この元スラム、今後は温泉街を君の力で盛り上げてほしい。俺は収穫祭が終わったらこの街から出て行くからな。後を任せたい」
「もっと具体的にはないのでしょうか?」
「おう。管理者代行として好きにここを発展させればいい」
正直こういう内政ものとかめんどくさくてやってられん。
ぶん投げられるところはぶん投げる。
「困ったら領主へ聞け。つなぎくらいはしてやる。」
「もう最初から困ってるのですが…」
「まぁやれるだけやってみればいい」
だいぶ長い時間湯に使っていたためそろそろのぼせそうだ。
よいしょっと立ち上がり湯船から出る。
その際ブラブラしてた物を後ろからガン見されてたのは気にしないことにする。
その後領主の館へ向かい、スラム街をどう改造したのかを告げ、支援をさせる約束を取り付ける。
館を出て行って半日程度でスラムの改良が終わったことに驚きを隠して切れていなかったが、魔術使えればこんなもんだろうさ。
スラム街を温泉街としたことに領主はそういう考えもあるのか、と感心していた。
貴族連中には風呂なんて体を洗うだけのものだし、そうじゃない連中にとってはそもそも風呂に入るという習慣がない。
それを『娯楽施設』として用意し、楽しめるものにすることで、風呂に入るという習慣が身につき、そして衛生もよくなり病気も減る。
裸になっていることで男女のトラブルなんかもあるだろうがそれは些細なことだろう。
むしろ裸の突き合いして仲を深めろ。
金銭的なもの、人員的なものの支援を領主の裁量で動かせる範囲で行うといった契約書を交わす。
これは後でソレルに渡そうかね。
「そういえば貴君が気にしている娘達は身請けはしないのかね?」
唐突に領主が言ってくる。
身請け…ねぇ。
「身請けしても俺に旨みがない。せいぜい温泉街を盛り上げてもらうだけだ。第一彼女らは奴隷じゃないだろう。ということでこれで俺の管理者としての仕事は終わりだ。後はよろ」
「よろって…。貴君を縛り付けてはおれまいと思っていたが一日たたずに、とはおもわなんだ」
「そこは諦めろ。俺は収穫祭までしかおらんのだし、後のことは後に残る人間だけでやればいいだろう」
それはそうだがなぁとか言ってる領主の苦笑に合わせてにやりと笑ってやる。
「まぁ俺の思うとおりの成果が上がったのなら身請けも吝かではないがな」
これで後は収穫祭までまったりできるな。




