悪夢の宿屋と呼ばれた宿屋
今回はちょっと短いです。すみません。
--悪夢の宿屋と呼ばれた宿屋
今俺は何を見た?
宿の扉を開けた。
一階は食堂のようで開けた部屋に結構な数のテーブルが備え付けられていた。
そこを何かの生物が一生懸命拭いていた。
そう、なにかの生物だ…。あれはヒトではない。
浅黒い肌のムキムキマッチョのがヒラヒラのメイド服を着て尻をフリフリしながらテーブルを拭いていた。
その生き物がこっちを向いた瞬間に止まっていた時が動いた。
二つに割れたゴツイ顎にびっしり生えたヒゲを蓄え丸いめがねをかけたツインテールの…おっさん。
その姿を見た瞬間に扉を閉じた事でギリギリ精神が保てた。
あと3秒見ていたら錯乱の状態異常になっていたかもしれんな。
子供らも青ざめていて、お互い顔を見やっている。
見ちゃいけないものを見た…とか言ってるのはしょうがなかろ。
「あら。お客様なら早く入ってきなさいよ」
せっかく扉を閉めて落ち着こうとしていたのに扉が勝手に開いてさっきの生き物が顔を出した。
「「「「ぎゃあああああああああああああ」」」」
子供らの絶叫で俺の意識が再起動し、子供らを守る様に立ちふさがる。
「失礼な子たちねぇ。人の顔を見るなり叫ぶなんて」
目の前の生き物がぷんぷん。といったように両手を腰に手を当てて口を尖らせている。
…女の子がやれば可愛いのに、別の意味で破壊力高いな、これ。
「自分の姿を鏡で見てからその言葉を言えや…」
「え?この可愛い姿がどうしたの?」
「え?」
当然、といった様な目の前の生き物がなにかをのたまっているが…俺には解読できない。
おかしいなぁ、翻訳機能がチケットにあるはずなんだが…。
翻訳機能が無くても大陸共通語なら理解出来るはずなのに。
「…もういいわよ。ご飯?宿泊?」
「どちらもなしで」
「…あぁん?」
本性むき出しいくない。
その格好で凄まれたら違った意味で怖さがだな…
「そんな調子でやってるから怖がられてるんだよ…自分の異様さをそろそろ自覚しろ」
子供らは俺の後ろに隠れてガクガク震えている。
「悪いが子供らがこの調子だとさすがに宿泊というわけにはいかない。他を当たらせて貰う」
「…そうね。可愛い子達を怖がらせちゃいけないわよね」
目の前の怪物はそう言うと、諦めた様にまたのお越しを。と扉の中に入っていった。
「…ここでこうしてても先に進まないから違う宿へ行くぞ」
「はい…」
ルブラがかろうじて返事をするが、他の3人は返事をする気力も無いようで、黙って後をついてくる。
その後しばらくして空いている宿を見つけ、部屋を取る。
子供らはそれぞれ男女に別れた部屋に声もなしに入っていく。
あれは相当トラウマだな…。
一人残された俺は併設された食堂へ向かい、夕食を頼む。
当然米でだ。
出てきたのは豚肉の生姜焼きとご飯とスープ。
惜しい!味噌汁なら完璧だった!
「お客さん、だいぶやつれた顔をしているけど大丈夫なのかい?」
綺麗なウエイトレス…だったであろうおばちゃんが机に皿を置くついでに話しかけて来たのをこれ幸いとさっきの宿屋の事を聞く。
「あぁ、悪夢の宿屋に行ったのかい」
「悪夢の宿屋?」
「あぁ。店主があんな感じだからなのかわからないが、泊まると必ずといっていいほど悪夢を見る宿屋なんだよ」
「へぇ」
「でも見た夢はどんなんだか覚えていないっていう始末。こわいねぇ」
「確かに変ですねぇ。誰かしら覚えててもおかしくないのに」
夢魔でも取り付いてるのかね。淫魔とか。
「ま、うちはそんなことないからうまい物食ってゆっくり休みな!いい男が台無しだよ!」
「そうしますね」
とはいいつつも…なんかが気になるお年頃。
近いうちに調べてみますかね…。




