騒動の幕引き
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ptもどんどん増えていてびっくりです…
--騒動の幕引き
「ヒフミ、そこまでだ。これ以上はだめだ」
街中で張られていた隠蔽結界を破った直後に俺が見た光景は、黒髪の男が武器を振りかぶり男爵を斬り付けようとしている場面だった。
慌てて腕にしがみつき、振り下ろされる武器を男爵に届く前に止める。
ギリギリだが間に合ってよかった。
地面にへたり込んでいる男爵はもう抵抗する気力もないのか座り込んだ状態で失禁をし、放心している。
残り少ない髪の毛も真っ白になるくらいの恐怖を味わったのだろう。
男爵とその取り巻きを捕縛し、連行する。
広場では血と臓物の臭いがものすごい。
これは…今日は徹夜で掃除だな。とか思っていると抱きついていた黒髪の男の身体から急に力が抜ける。
よく見ると腹からものすごい量の血が出ている。
「おい、医療班はそばにいるか?」
近くを検分している他の自警団の連中に声をかけると「あそこらへんにいますよー」と返ってきたのでそちらへ向かって気を失ったと思われる黒髪の男を担いで歩く。
医療班の所にはけが人などは誰もいなかった。
すべて毒物により息絶えていたらしい。
どこの所属のものなのかは聞けず仕舞いか。
「あの隊長、怪我の具合みたいんですが…この服切っちゃ駄目ですよねぇ?」
そう言われて初めてこの男が着ている服を見る。
縫製はしっかりとしており、細かく、生地の質もよい。
貴族が着ている服よりもよい服なのは見た目でもわかる。
たしかにこれを切るというのは憚られるだろうな。
実はこの男が貴族で後で弁償しろと言われても困るだろうしな。
「貸せ」
医療班の女性から刃物を奪い取り、腹にある切れ込みから一気に服を切る。
腹があらわになると左のわき腹から中に向けての刺し傷が見える。
そこからいまだに血が流れ出ているところを見るともう結構な量の出血のはずだ。
「傷口を洗い流してからヒールをかけてやってくれ」
水生成で血を洗い流して傷の状況を確認してから治癒をかける。
失った血は戻らないが傷はこれで綺麗に治るだろう。
後は救護室に運んで意識が戻るのを待つしかないな。
次は…男爵か。
詰め所に連れて行かれた男爵のところに向かい、取調室にて椅子に座っている男爵を目の前に語りかけるように話す。
「キリス様。言いましたよね。彼に手を出すなと」
いまだに放心状態の彼の前で仁王立ちのまま。
「そもそも各所に確認を取ったところ、貴方の言う『イカサマ行為』は見受けられなかった」
冷静に、静かに、会話を続ける。
「よって、今回の事件は『街中』での『殺人未遂』で貴方はその『首謀者』となる」
男爵はいまだ放心状態でなにかを思い出した様にブルブルと震えている。
「…連れて行け」
この男爵はこのまま投獄され、後に王都へ搬送され、爵位剥奪の上処刑となるだろう。
小金に執着した結果がこれとは。
貴族とはなんなのか。
貴族の責務とはなんなのか。
王都にいる貴族がみんなこんなのとは思いたくないが。
きっと大半がこんなやつらなんだろうな。
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「知らない天井だ」
はい、言ってみたかっただけです。
さすがにここが救護室なのは周りを見ればすぐわかる。
あれだな。刺されて出血多量で気を失った感じか。
掛けられている布団をめくると全裸であった。
…血だらけだったんだろうな。
刺された腹を見るとどこを刺されたのかわからないくらい綺麗に傷は治っている。
やはり魔術ってすごいわ。
窓から見える外の景色がすでに日が昇ったものなのを見てそのままベッドに倒れ込み、ぼーっと天井を見る。
あの後はどうなったのかなぁ…
子供らももうさすがに起きてるだろうなぁ。
「お、起きたか」
そういってドアを開けて入ってきたのはクィルだった。
「あぁ。世話になった」
「まだ寝てろ。泊まっていた宿にはこっちから連絡してある」
「さすが気遣いの出来る男は違うな」
「何いってんだか」
どういうわけか俺の泊まっていた宿は把握されていたらしいが、あえてそこは気にしないでおこう。
そのおかげで子供らにも連絡が行くんだろうしな。
「その後の男爵はどうなったんだ?」
「…一応機密だから言えないが君の望まぬ結果にはならないだろう」
「そうか。ならそれでいい」
最初はただいちゃもんをつけてきただけの男爵。
そこで終わっていれば良かったものを殺意を持って接してきたらそれはやり返すのも当たり前だろう。
「いろいろ考えることはあるだろうが、もう少し休むといい。もう少しこの街にはいられるんだろう?」
「ああ。明日には出るがな」
「早く元気になってくれ。…楽しい楽しい取り調べが待ってるからな?」
そうニヤっと笑うクィルの顔を見て、いつ逃げだそうか本気で考えなきゃいかんと思った今日この頃。
俺は無実だ!!!
…ちょっとやり過ぎた感があるのは否定しないが。
感想や誤字脱字報告などもありましたらよろしくお願いいたします。




