災厄体質
--災厄体質
つまみも食べ終わり飲み物も尽きた頃にちょうど子供達が合わせて食堂に戻ってきた。
身につけてる装備もボロボロなのを見ると相当激しい訓練まで発展したのだろう。
よいことだ。
子供らは俺を見つけると疲れた体を引きずり俺のいるテーブルまで来て椅子に座る。
「お、おつかれさ…まです」
「もう疲れた…動きたくない」
「…」
「お肉…」
それぞれの呟きを聞くと性格がわかるなぁ。
「訓練おつかれさん。だいぶ扱かれたみたいだな。ゆっくり休め…と言いたいところだがその前にしっかり食え。奢ってやろう」
「ありがとう…ござ…います…」
あ、ルブラ以外が机に突っ伏してダウンした。
「軽いものでいいな…?」
「はい…」
店員にパンとスープとサラダの盛り合わせを頼んでルブラまで落ちないように会話をする。
「訓練はどうだったんだ?」
「はい。いままで漠然とだけ戦っていたのがものすごい半端だったというのがわかりました」
「ふむ」
「個人技も、連携も、剣も魔術も。何もかもが中途半端でした。先生をしてくれたラッドさんに掠りもしませんでした」
「まぁ元Aランクという話だしな。それはしょうがないだろう」
ルブラはだいぶ凹んでいるがむしろその年齢でよかったじゃないか。
たしかこの子らは12歳だっけか。
本登録は15歳のはずだからあと三年の仮登録期間で何かを掴むとよい。
「剣じゃなくて刀なら俺が教えてやれるんだけどな…」
「そういえばヒフミさんも武器を買ったんですね。ずいぶんと細い剣ですけど大丈夫なんですか?」
「これはこういう武器なんだよ。そのうち機会があれば見れるさ」
こっちじゃ刀ってマイナーだからなぁ…
そんな話をしているとシェリスが皿を持ってテーブルに来る。
おまいさん、受付嬢じゃないのかね…
「お待たせしました。パンとクリームスープと山猪肉のサラダ盛り合わせです」
「はいよ」
代金をシェリスに渡すが、シェリスはまだそこから動かない。
「…なにかあるのか?」
「ヒフミさんのことをもっと知りたいです」
そういう台詞を言うならもう少しさー。顔を赤くしながらとか恥じらいながら言ってくれれば俺もときめくのに。
ルブラなんかは顔真っ赤にしていろいろ妄想してるけどこいつのこれは違うからな?
こいつのは学術的な観点で知りたいって言ってるだけだぞ、きっと。
「ぼ、ぼくらは邪魔ですかね…」
「そういう話じゃないだろうから気にするな。とっとと他の奴ら起こして食っちまえ。宿も取ってあるから寝るならそこで寝ろ」
子供らとそういう話をしているとシェリスはいつの間にかお盆を返してきたらしく、手ぶらの状態になってテーブルに椅子をよせ隣に座る。
なんか周りの冒険者共の目が痛い…
子供らはなんとか起きて目の前に並んでいる料理を好き勝手にとりわけ食べている。
「さっきおすすめした本は読みました?」
「さらっとだけな。だいぶ事実じゃないことが書かれているように思えたが」
「英雄譚なんてそんなもんですよ」
まぁそういうもんなんだろうけどな。
「一時期を境にパタッと話を聞かなくなっちゃったからどうしたのか噂も色々出てたんですよ。あの『暴虐』を屈する事が出来る奴なんているのか、と」
「なんで死んだ一択なんだよ」
「さぁ。で、5年もの間なにやってたんですか」
「故郷に帰ってただけだよ。一度帰るとなかなか戻ってこれなくてな」
「へぇ…そんな遠いところなんですね」
一度行くと戻ってこれないからな…
よく5年で戻ってこれたと思うよ。
「ギルドの連絡網でヒフミさんが戻ってきたときに連絡が欲しいというものが数件ありますよ?」
「あとで書面にまとめてくれ。こっちから適当に連絡する」
どうせ顔を出せとか厄介ごととか無茶ぶりな依頼とかだろうしな。
貴族の依頼だったら即時破り捨てる。
子供らはなんとかご飯を食べつつ俺とシェリスの会話を聞いていたらしくこっちを見ている。
こっち見んな。
「ほれ、おまえら。もう食べ終わったのか?」
「あ、もう少しで食べ終わります。それにしてもヒフミさんってすごい人だったんですか?」
「年の功だ、年の功。年齢がいってるからそれなりってだけだ」
あぁもうそうキラキラした目で見るんじゃない。
「またまた…ちゃんと子供達にも教えてあげればいいのに」
「おまいは余計なことを言うな…」
俺はもう平穏に過ごしたいんだ。
荒ぶっていたあの頃のようには身体も動かないし精神的にも大人になった。
…と言っておく!
「…どうせまたトラブルを起こすくせに」
「うるさい。自覚してんだからだまっとけ」
なぜか面倒ごとばかりが向こうから近寄ってくるんだよなぁ。
そういう体質なのかね…




