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校長勇者  作者: 一条由吏
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第1話 運命の恋人

お読み頂きましてありがとうございます。


誤解されるような表現が含まれていますが決してBLではありません。


そういう表現を読みたくないという方はお帰り頂いたほうが無難です。

「今世こそ結婚してくれ。セナ!」


 王の好色そうな顔には、若干、教師としてついててやらねばと思ったが、生徒たちから、やんわりとだが拒否されたので、アーティスに付いて彼の自宅に到着した。


 そして、彼の居室に通されるなり、いきなり、プロポーズされたのだ。


 道々、彼に聞いた話だと、セナが死んでから800年の歳月が流れているという、本人は、言いたがらなかったが私のように『不老不死』になったのだろう。私の記憶通りの若々しさでとても800年経ったとは思えない。


 彼が言うには、異世界一の占星術者から、セナが異世界に転生するという予言を受け、そこから50年掛けて召喚術を習得し、異世界と繋がるあの王城で王を説得して十数回目にして、やっと私を召喚できたというのだ。


「おいおい、気は確かか。今世は、男なんだぞ。」


「だから?」


 そう言いながら、アーティスは、こちらに近づいてくる。こんなオジサンを相手にラブロマンスを演じようというのか?


 その真摯な目つきに引きこまれそうになるが、私にそんな趣味は、無い。


「こんなオジサン相手に冗談だろ。」


「関係ない。セナは、セナだ。」


 アーティスがさらに近づいてきて、顔を寄せてくる。キスでもするつもりなのか?


「や、やめろ!」


 ガタッ。突然、背後で物音がする。私が扉を引きあけると、人間が雪崩れ込んできた。良く見ると3人の生徒たちだった。


「ハロー!」


 おいおい、お前小説家だろ。言うに事欠いて、「ハロー」は、無いだろ。雪崩れ込んできた姿勢のまま、首だけを上にあげた遠山が言う。


「おいおい。なに出歯亀してるんだ。まあいい、聞いていたんだろ。説得してくれよ。私は、オジサンでそんな趣味は、無いんだ。」


 既に立ち上がっていた遠山は、トコトコとアーティスの所に歩み寄った。そうだ、なんか言ってやれ!


「よく言ったわね。がんばりなさい。応援するね。」


 そ、そういえば、コイツは、デビュー暫くは、BL作家として活躍していた時期もあったんだった。我が校から高校生デビューした作家が居ると聞いて、真っ先に買いにいって、読み出したとたん、砂を吐いた嫌な記憶を思い出した。


「ゴメン。邪魔をしてしまったわ。」


 大島がアーティスに謝っている。潔いがそれは、どういう意味かな。


「さあ、続きをがんばろうよ。」


 おいおい夏目、さっき、黄色い悲鳴をあげていたはずなのに、続きって、おまえらなぁ。どいつもこいつも、ニヤニヤしながら、こちらを伺っている。


「申し訳ありません。勇者さまたちがどうしても、こちらの男性にお会いしたいと申すものですから・・・。」


 扉の外で申し訳なさそうな顔をした執事さんが佇んでいた。


 もしかして、誤解されるぅ?


「あの、違うんです。私「セナだ。彼がセナなんだ。」」


「えっ・・・・それは、よろしゅうございました。旦那さま。お離しになられませんよう。もう、あんな旦那さまを見たくは、ございませんので。」


 えっ、セナが死んで、本当にずっと待ち続けてきたのか。冷たくなっていく、私の身体を抱き続けるアーティスの姿が見えるようだ。おそらく、想像だけではなく、きっとそうしたのだろう。そして、気の遠くなるような時を過ごしてきた・・の・・か?


「うん。ありがとう。苦労をかけた。」


 いや、考えない。考えない。もうちょっとでセナに引っ張られるところだった。今は、男なのだ。そして、いつかは、元の世界に帰るのだ。


 そこまで、考えたときに、胸の奥がズキンと痛んだ気がした。


「私は、セナじゃない!松商の校長、丸地良男なんだ!違うんだよ!」


「同じだよ。」


 なんで、解かってくれないんだ。


「器なんて関係ない。愛しているのは、おまえという魂だからだ。」


・・・・・・・


 これ以上、言い合っていても、恥かしい思いをするのは、私だけなんだ。なんで、生徒の前で、不毛な言い合いを続けなければならないのか。そう思うと私は、アーティスの屋敷を飛び出していた。


 頭を冷やそうとぶらぶらと歩いていく。そして、市場の屋台のところまで来た途端、お腹がぐぅと鳴った。そういえば、この世界に来て何も食べていないな。しかし、お金を持っていないことに気づいた。


 このまま、アーティスの屋敷に戻るしかないのか?嫌だ。とにかく、私の頭とアーティスの頭が冷えるまでは、戻りたくない。


 そうだ。何か女神が持たせてくれたかもしれない。『状態』と頭の中で考えると目の前に青白い文字が浮かび上がる。やっぱり、お金を持っているようだ。30000Gと表示されている。試しに『10G出ろ』と念じてみると、掌に銀貨が1つ出てきた。


「おっちゃん。買ってくれるのか?」


 屋台のにいちゃんが声を掛けてくる。


「なにがあるのか?」


「ラビットの串焼きが4Gだ。サービスでお茶も付けるぞ。」


 ラビットの串焼きは、ちょうど屋台の大きめサイズだ。


「じゃあ、2つとお茶をくれ。」


「ちょっと、待ってろよ。今、暖めてやるからよ。」


 屋台のおにいちゃんは、器用に炭に空気を入れ火力をあげたあと串焼きをあぶってくれる。


 私は、10G硬貨を渡さずに8Gの銅貨を出して彼に渡した。


「2本買ってくれたから、1Gオマケで7Gでいいや。ほらよ。」


 きっと、お茶が1Gくらいするんだな。その場で串焼きにかぶりつく。美味い。美味いが・・・ひょいと覗いた店の裏側の汚いこと、このお茶のコップを洗う水が酷く汚れている。どうしよう、突っ返すわけにも行かないが、そのまま、飲みたくない。


 そういえば、殺菌する魔法はないかと思い巡らすと頭の中から勝手に出てきた。そういえば、『知識』という力を貰ったよな。とりあえず、店主さんにわからないように魔法を唱えたお茶を飲んだ。


 便利だな。じゃあ、アーティスをなんとかする魔法は・・・。あいまい検索は、できないらしい。アーティスの記憶を抜く・・・へえ出来るんだ。でも却下。


 アーティスを女性化・・・へえ、魔族のユニーク魔法で無理なのか。あの美形を女性化できたら、多少背が高くても、よかったのに残念だ。『魔術』は、人族が操れるものに限られるらしい。


「そこのおっちゃん、金持ってんね。俺らに少し分けてくれない?」


 食べ終わってからも、そこに居たのが不味かったのか、ガラの悪いのが、絡んできた。


 うーん、何を使おう。ファイアボールって街中で・・・衛兵が飛んでくるのか。それは、不味いな。そんなふうに考えこんでいると、やつらがナイフを取り出して脅してくる。


「おらっ金だせっつったら、金だせよ。」


 魔法で剣は・・・作れるな。私は、魔法で剣を作り出そうと掌と掌の間に魔力を込めているとアーティスが私と奴らの間に、滑り込んできた。


「俺の女に手を出そうとは、いい度胸だな。」


 誰が女だ。だれが。


「こんなおっちゃん捕まえて、頭おかしいんとちゃうんかい。」


 もっと、言ってやって!私は、思わず心の中で奴らを応援するが、奴らは、ナイフを振りかざしてくる。


 ボキッ。ナイフを振りかざした腕が変な方向に曲がっている。折れたみたいだ、そいつは、腕を抱えて、唸っている。なんの魔法だろ・・・魔法腕か。怪力の見えない腕で折ったようだ。


「きさま、何をしやがった!」


 奴らの仲間が腰の引けた声で言う。


「腕を折ったのさ。セナに手を出そうなんて奴に容赦はしない。」


 もう、奴らはビビリまくりだ。というか、私も怖い。800年前のアーティスとは、別人のようだ。知らなかっただけなのかもしれない。昔のアーティスは、いつも笑顔で・・・。だが、それもアーティスの一面だっただけなのかもしれない。


 アーティスは、トップクラスの近衛騎士で、よく父王が褒めていた覚えがある。時には、非情に成らなければいけないときもあったに違いない。


・・・・・・・


 そのまま、アーティスの屋敷に帰り、自分に割当られた部屋に篭もる。生徒たちは、王城のパーティーに出席するために帰ったそうだ。


 しかし、さっきは、本当に容赦しなかったな。人を殺すことなんて、なんでもないような顔をしていた。どうすれば、いいんだろう。アーティスがあのまま、迫ってきたら、本気で拒否できるのか私に。


 力と力の勝負になれば、勝てるだろうが、私にアーティスを殺せるだろうか。無理だろう。無理矢理迫ってきたら・・・・。ヤメヤメ、考えても仕方が無い。そもそも、殺し合いになるはずがない。


 あんなに愛していたのだから・・・。突然、そのシーンが蘇ってくる。私が死んだシーンだ。私たちは、追い詰められ。複数の兵士に取り囲まれた、アーティスを見ていた。そして、2人の兵士の剣を1本の剣で食い止めるが、そこへ、後ろから、別の兵士が・・・。


 私は、咄嗟にアーティスとその兵士の間に割り込み。そして、切られたのだ。私を攫おうとしていた兵士たちは、呆然とした瞬間、アーティスが全ての兵士を切り伏せたのだった。


 最後にアーティスの私を呼ぶ声が悲痛な心の叫びが聞こえた気がした。それに対して、私は、なにかを伝えたかっただが、もう言葉にできなかったのだ。あのとき、私は、何を言おうとしていたのか。


すでに主人公がヤバイ状態になってます。セナと校長先生の人格がごっちゃに。がんばれ校長先生、あなたは教師なのですから・・・。


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くりかえしになりますが、小説への文句・抗議は第5話から6話辺りですべての設定が出切ると思いますのでそれ以降にお願い致します。

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