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ラマダホテル・・・

マニラの有名日本人ご用達ホテル、二人の海外のホテル初体験!はたして?

両替所を入ると、2,3人の客がいた。せいぜい10坪程度の部屋にカウンターがあり、

ガラスで仕切られていた、日本の質屋の様な感じである。初めての事で両替の仕方が分からず、

一緒に来てくれたアンナに任せた。「幾ら両替したら良いかな?」と幸男に聞いた。

「とりあえず15万で良いんじゃない?」と幸男が両替所のレート表を見ながら言った。

私は幸男の15万と、私の15万を重ねてアンナに預け、横の長椅子に座って順番を待った。

レートを確かめると、1万円で3450ペソ。しばらくしてアンナが呼ばれてカウンターへ行くと、

札束がどんっと積まれている。フィリピンでは、最高の高額な札は500ペソ、

「ちょっと来て」とアンナは、私たちにカウンターへ来るように手招きをした。

カウンターに札束が並んでいる、1束が20センチ程で、銀行の細い紙で束ねられてある、

それが幾つもあった。500ペソの束に混じって100ペソ、50ペソの束が置いてあった。

とてもポケットに入る様な物ではない、大き目の茶封筒が用意してあり、

それに札束を詰めて、背広のポケットにねじ込むが入らない。私のショルダーバッグに入れようとしたが、

入れるスペースが無く、結局札束の入った茶封筒を、重ねたまま持って、ドアを開け両替所の外へ出た。

アンナのお父さんが、心配して私達を入り口の外で待っていてくれた。

何しろマビニ通りの、メチャメチャ人の多い物騒な所に、札束を抱えた日本人が、

オープンカーの様な車に乗ろうとしている、目立つ事。ポン引きや物売りや、

物乞いの男達がじっとこちらを見ている。ガードマンがショットガンをチラつかせ、

車に乗るまで護衛してくれた。車はマビニ通りを右に折れ、十字路を一つ越すと、大きなホテルが見えてきた。

ネオンで「LAMADA HOTEL」と書いてある、14,5階は有りそうな立派なホテルである。

アンナのおじさんが、予約を入れてくれたらしい。壊れかかった、水の出ていない噴水をぐるりと回り、

ホテルの入り口でとまった。玄関には制服を着た、ホテルの従業員が客を待ち構えていた。

私はアンナのおじさんにのマルコスに、お礼にガソリン代として、千ペソを上げると、

おじさんは嬉しそうな顔で「サンキュー」と言って、金を受けとると帰って行った。

制服を着たボーイが、手押しのカートに、私達の荷物を車から降ろして積んでいた。

大きなガラスのドアを開けるとホールがあって、突き当りがカウンターに成っていた。

チェックインの為、私達は大きな大理石で出来ている、カウンターの前に並んだ。

美人の受付の女が3人、忙しそうに働いている。一人の受付嬢が、ウンターの中で何か私に言っている。

ここは現地人のアンナに任せて、二人のパスポートを預けた。床は大理石、カウンターも大理石、

一見豪華なつくりだが、待合用のソファーが、所々破けている。天井も豪華なシャンデリアが下がっているが、

半分ぐらい球が切れていた。アンナに呼ばれてカウンターへ行き、大きな茶封筒から金を出し宿泊代を払った。

ここは前払いらしく、1部屋二千五百ペソで二部屋分で五千ペソ払い、保証金を二千ペソ取られた。

預かった保証金は、後で返してくれるそうだが、、四つ星ホテルはこの程度の料金だろう。

エレべーターに乗り8階で降りて、ボーイの案内で部屋に入った。アンナとお父さんは隣の部屋へ、

私と幸男はどうやら一緒の部屋らしい。ボーイがエアコンのスイッチを入れたり、

冷蔵庫のチェックをしたりしている。それが全部終わると鍵を私に渡して、手もみをしながら待っている。

「春樹、チップをあげた?」と幸男が言う。私は気が付かなかった、外国はチップが必要なのだ。

あわてて茶封筒から百ペソを取り出し、ボーイにあげると「サンキュー」と言って出て行った。

フィリピンの相場が分からない、チップに幾らあげて良いのかも分からなかった。

本で調べた時は、平均の給料が年間20万円と書いてあったが、後でアンナに聞いてみよう。

私と幸男は、部屋を出てアンナの居る隣の805号室へ行った。ドアをノックする、

中からアンナがドアを開けて、私達を部屋に入れてくれた。

「どうぞ」と言われ、部屋に入ると、お父さんはシャワーに入っていた。

アンナに現金で2千ペソ程渡し「これ持ってて」と言うと「アリガトウ」と言って受け取ると、

嬉しそうに財布に仕舞った。アンナとお父さんは、私達を出迎える為に田舎からバスで、

12時間掛けて来たらしい。しかも安い料金のバスを使った為に、所々で客の乗り降りがあり、

余計時間が掛かったらしい。交通費は先に日本から送ってあるので心配は無いが、相当疲れたろう。

私はアンナと結婚するつもりで、毎月三万円をマガンダの店長に頼んで、アンナに送金していた。

「俺達もシャワーに入ったら、夕飯でも食べよう」とアンナに言って部屋へ戻った。

隣の806号室の前で、二人は立ち止まり、私はドアを開けようとしてノブを回した。

ガチャ、ノブを回したがドアが開かない・・・オートロックで鍵が閉まっている。

「幸男鍵は?」「春樹がもってるだろ?」「持ってねえぞ・・・」

お互いに相手が持ってきたと思い、鍵を部屋に置きっぱなしで、アンナの部屋に行ったらしい。

私は慌てて、隣のアンナの部屋へ戻った。ドアをノックする、しばらくしてドアが開くと、

アンナが「どうしたの?」と聞いた。「鍵を忘れちゃって、ドアが開かないんだ」

と私は焦ってアンナに言った。結局アンナにフロントまで一緒に行ってもらい、

ボーイを呼んでドアをあけてもらった。

また余分なチップを取られてしまった。部屋へ戻ると電話が鳴った、私は受話器を取って、

「もしもし」と返事をすると「アナタはイズミ ハルキさんですか?」と受話器の向こうで男の声がした。

「はい、いずみです」と答えると、「女は要りますか?」と聞いてきた。

「女?何ですか?」と私は理解出来ずに聞いた。「可愛いい若い女あります」と言っている。

売春婦の斡旋である、「ノー、ノー」と言って断り、電話を切った。

「どうして俺の名前を知ってんだ?」とあきれるように言った。また5分もしないうちに、

又同じ電話が掛かってきた。さっきのボーイが、男同士の私達を見て、売春の斡旋をしているのだろう。

このホテルは、日本人がよく使うホテルで、毎晩の様に女を部屋に連れ込んでいるらしい。

旅行に来る前に読んだ、ガイドブックに書いてあった。「幸男、どうする今晩、女でも呼ぼうか?」

シャワーから出てきた幸男に聞いた。「駄目駄目、ローズにばれちゃうよ」

と言って手を振った。私も服を着替える為に、シャワーに入ろうとバスルームへ行った。

鏡の前で自分の顔を見ると、鼻の穴が真っ黒で、北島三郎状態に成っている。

試しにトイレットペーパーで、鼻を拭いてみた。紙にべったりと、ススの様なものが付いている。

空港からここまで来るのに、排気ガスで襟首まで汚れていた。

シャワーに入り、さっぱりした所で、アンナ達を誘って、2階の日本レストランへ行った。

お父さんはこういう高級な所は、初めてらしく緊張している。

大都会マニラに来るのに、誰かに借りてきたのだろう、襟のついた、ばっりとしたシャツを着て、

黙ってアンナの横で座っている。この日本料理屋は、入り口に和太鼓が置いてあり、

客の人数に合わせて太鼓を打つ、着物を着たウエイトレスが、席に案内してくれる。

メニューを広げてアンナに見せると、隣のお父さんにも見せた。

しばらくメニューを見ていた、お父さんとアンナが、何故か固まってしまった。

私は「天ぷら弁当」を頼み、ビールを注文した、幸男も同じものを頼んでいる。

メニューの写真を見ると、天ぷら弁当は重箱の中に、セットでお新香や果物など入っている。

アンナに「何食べるの?」と聞いたら、「アナタに任せる」と言った。

「お父さんは?」「アナタに任せます」とアンナが返事をした。結局、皆同じ弁当を注文、

アンナはジュースを頼んだ。すると「ここのレストランは、物凄く値段が高いの、私の田舎なら、

50ペソもあれば充分」とアンナは言った。メニューを見て値段を確かめると、

天ぷら弁当が450ペソと書いてある。「私のお父さんは大工さんだけど、

一日120ペソで仕事をしているの」とアンナは言った。

この弁当を食べるのに、四日働かないと食べられない値段だ、確かに高い。

メニューを見て、固まった訳が分かった。先ほど注文したビールがまだ来ない、

日本ならビールが先に来るけど・・・アンナが、ウエートレスを呼んで催促した。

それから10分もたって、やっとビールが運ばれて来た。ところがビールが四本、

私が注文したのはビール3本とジュースが1個である。しょうがないので、

私が余分にビールを飲む事に成った。テーブルに置かれたグラスに、細かい氷が入っていた。

フィリピンではビールに氷を入れて飲むらしい。氷はお腹を壊すので、呑んではいけないと、

本に書いてあったので、グラスの氷を灰皿に捨ててから、ビールを注いだ。

しばらくして弁当が運ばれて来た、時間が掛かる事、注文してから50分はたっている。

ここのウエートレスは、着物の帯が少し上のほうへ結んであり、着こなしがちょっと変だ。

確かに値段が高いだけの事はある、天ぷらの海老が見事に大きい。しかも五本も入っている。

そのほか赤みの刺身が三切れにサラダ、漬物や果物のバナナも入っていた。


この後まだまだ、ずっこけ珍道中は続きます・・・・

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