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マニラ国際空港

初めての海外旅行、分からない事ばかり・・・・

私達は、ぞろぞろと前の乗客の後について歩いた。飛行機を降りると、

横幅が10メートルぐらいのコンコースに出た。すると、

前方にギターを演奏している4,5人のバンドが見えてきた。

歓迎のために、フィリピンの曲を演奏しているらしい。少し照れるような感じで、

前を通り過ぎるとき、私は思わず軽快な曲に歩調を合わせて、大股で歩いてしまった。

階段を少し降りて行くと、入国の為の審査をするホールについた。

200人も入れるような大きな部屋に、先に到着した乗客たちが並んでいた。

幾つもある審査をするカウンターに、皆一列になって並んでいる、カウンターが横に10列ほどあり、

検査官の居るカウンターは、そのうちの5台だった。何しろ乗客は何百人も居るが、一向に前に進まない。

しかも動作が遅い、女性の審査官は、お菓子をぼりぼり食べながら審査をしている。

時々隣の審査官とおしゃべりしながら、パスポートをチェック、一人の乗客の審査に相当の時間が掛かる。

私の前にはまだ、20人ほど並んでいる。日本人が約半分、フィリピン人が半分に、

白人が少々混じっていた。結局私の番が回ってきたのは1時間を過ぎていた。

意地悪されているようで無性に腹が立つ、私はうやうやしくパスポートと、

先ほど機内で書いた入国書を渡すと、審査官はしばらく書類を見て、

つっけんどんにパスポートと書類を私に返してきた。カウンターの中から何かぐちゅぐちゅ言っている、

私はそれを受け取ると、なぜ書類を返されたのか分からないまま、並んでいる列の後ろへ回った。

しばらくして幸男も私と同じように戻ってきた。私が「どうしたんだ?」と幸男に聞くと

「この書類に何か書いてない所があるみたい」と良いながら小さな2枚重ねの入国書を調べた。

すると遠くで見ていた、二人の警備員が近づいてきた。立派な制服を着て警察官のようにも見える。

警備員か警察官か分からないが、親切そうに「私がヘルプしましょう」

と、たどたどしい日本語で話しかけてきた。困っていた私達は喜んで書類をみせて

「何か書くところが分かんない」と」言うと「私に見せて」と言って、

私たちを、机のある場所まで連れて行った。するとチラッと書類をみて「ここが書いてない、

ちょっとボールペンを貸して」と言うと私の胸のポケットにさしてあった、ボールペンを抜いて、

何か入国証に書いている。「ここえサインしてください」と言って、私と幸男に書類を渡し書かせた。

その時私は、フィリピンの人は親切で、困っているとすぐ助けてくれる、良い人たちだなっと思った。

二人は私達を誘導して、並んでいる一番先頭に案内した。割り込みをする様に、書類を審査官に渡す。

今回は何事も無かった様に、すんなり審査が通った。名前の所に私のサインが無かっただけだった。

カウンターの横をすり抜け、荷物を受け取るホールに出た。前方でカタンカタンと、

大きなベルトが回っていた。その周りを乗客が取り囲み、自分の荷物が出てこないかじっと見ていた。

私達もぐるぐる回っているベルトの前で、荷物を待つことにした。すると先ほどの、

制服を着た男たちがこちらに歩いてきて、私に「ニセンエン、ニセンエン」と言いながら近づいてきた。

私は最初何を言っているのか理解できず、幸男に「こいつら何言ってんだ?」と聞いた。

「二千円頂戴って言ってるみたいだぜ?」と言って財布から千円札を二枚出して、

彼らに渡そうとしている。結局親切心で助けてくれたのじゃあ無かった様で、

お金が目的だったらしい。私にも手を出して「ニセンエン」といって金をふんだくって行った。

しばらくして「あっボールペン返してもらうの忘れた・・・」

と私は大きな声をだした。振り返って先ほどの警備員を探したが、もう何処にもいない。

あのボールペンは、友達がハワイの土産で買ってきてくれた、大事な物だったのに。

二千円を盗られたあげく、ボールペンまで・・・油断もすきも無い。

自分の荷物が出てくるのに、そうとう時間が掛かる。遅い事、遅い事、

イライラするほど待っても出てこない。すると先ほど機内で隣に座っていた、新潟の男が近づいてきて、

「出てくるのが遅いでしょう、中で鍵を開けて、現金や貴重品を盗んでるんだ」と知ったかぶりの顔で言う。

私の貴重品は、背広のうちポケットに入れてあるので安心だが、幸男が心配だ。

「幸男、お前現金はスーツケースには入れてないよな?」と聞くと「うん、春樹に言われたので、

ここにちゃんと入れてあるから」と腰の所を指差した。幸男は大きなウエストバックに、

大切なものを全部入れていた。突然乗客たちの荷物が出てきた、

私は目をこらして、自分の旅行カバンを探した。先にカップ麺の箱が見つかり、

あとからスーツケースが出てきた。私のは目立つように、

派手な色のバンドが巻いてあるのですぐ分かる。「ちょっとカートをかりてくるから、

この荷物を見ていて」と幸男に言って私はカート置き場に行った。沢山のカートが並んでいる、

係りの人が私に一台押して渡してくれた。「10ペソ」と言って私に金を要求したので、

看板を見て確かめたが、ちゃんと書いてあった。あいにくペソは持っていない、

ポケットの小銭入れから500円玉をだして「これOK?]ときいてみると

「OK,OK]と二つ返事。500円玉のコインをわたして、カートを借り、

荷物の置いてある所まで戻って行った。カートに荷物を全部積み終わると、ポーターが近づいて来て、

私たちのカートを押して、持って行きそうに成った。私は「ノーノー」と言って、カートを奪い返した。

この先幾ら金をふんだくられるか分からない、警戒してやたらに頼まないことにした。

ポーターは残念そうな顔をして、他の乗客にアタックしていた。カートを押しながら前方を見ると、

税関がある。そこで今度は荷物のチェックだ。私の前に3人ほど並んでいる、

ほとんどの日本人の乗客は、カップ麺の箱をもっている。5段も重ねて厳重に紐で結わいて、

持っている人もいた。ちょうど私の後ろに新潟の男が並んだ。彼もカップ麺を三つも持っている。

私の前に人の良さそうな、日本人のオッちゃんが税関の検査を受けていた。

いきなり係り官が、カッターナイフで、彼のカップ麺をずたずたに切り裂いた。

それを見ていた後ろの新潟の男が「鼻薬をやらないからだよ」と私に耳打ちをした。

「えっ鼻薬って?」と聞くと「チップですよ」と言った。「幾らあげれば良いんですか?」

「二人で千円で良いんじゃない?」と新潟の男は薄笑いをうかべて言った。

私はあわててパスポートの中へ、折りたたんだ千円札を入れ順番を待った。

私たちの番が来た、幸男と私のパスポートを重ねて、税申告の紙と一緒に係官にわたす。

係官は中年のおばさんで、制服がピチピチのボンレスハムの様な体をしている。

パスポートの間から起用に札を抜き取ると、ニコっと笑い、何も調べないでパスポートを返してくれた。

先ほどの、人の良さそうなおっさんは、ズタズタにされたカップ麺の箱を抱え、途方にくれていた。

この空港では何でも金しだい、地獄の沙汰もチップしだいである。今度は出口で、

税申告の紙を受け取る係官が、「チップ、チップ」と言ってうるさい。

ペソを持っていないので100円玉をあげると、小さな声で「アリガト」

と日本語でお礼を言う、馴れたものだ。また今度は出口で荷物の確認、

スーツケースに貼り付けてある、バーコードの番号を、

チケットに貼り付けてある番号と同じか確かめて、他人のものを持って行けない様にしている。

ここでも「チップ、チップ」の大合唱。余った小銭は全部取られてしまった。

空港をでてから・・・またまた大騒ぎ!

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